夏のボーナスシーズン。昭和のニュースを見返すと、ボーナスの支給も含めて“現金”が主役だった。

これぞ醍醐味!ボーナス現金手渡し

朝から大量の札束を机に並べ数えては封筒に分ける。

この記事の画像(27枚)

この日は、福岡県職員へのボーナス支給日だ。昭和の時代、ボーナスは1人1人に現金手渡し。

職場で『現金手渡し』されるボーナス(福岡県庁/1978年)
職場で『現金手渡し』されるボーナス(福岡県庁/1978年)

その場で幾ら入っているかを数えて一喜一憂する様子がニュースの定番だった。

ボーナスを受け取った職員達の反応は様々だが、支給額を確認した時の思いは、時代に関わりないようだ。「少ないやっぱり!」「親子3人、これで何とか食い繋げるというところでしょうか」

「もう少したくさんあると使い途をいろいろ考えられるんですけど。まずは貯蓄。あとは好きなものを買う」と額の少なさや自分の思い通りにならないお金の“行き先”を嘆いていた。

一方、民間企業でも給料は現金手渡し。この日は、新入社員に初めての給料が支給されていた。

『どのくらい入っていた?』という取材班の不躾なインタビューに、「8万7000円ちょっと。私、もう妻子持ちですので。カミさんにそっくりあげます」と答える。

更に『一番最初に何に使いたいか?』尋ねると、「親に何か買ってやろうと前から思ってたんですけど、茶碗くらいしか買えないから茶碗買おうかなと思ってます」と生真面目に答えていた。

昭和51年(1976年)、ボーナス商戦を迎えた福岡市のデパート。店内は、人でごった返す繁盛ぶり。

当時は、買い物の支払いも現金が主流。店員がお客の目の前で売り上げの札束を数える様子もニュースでよく流れる風物詩だった。

給与ボーナス狙い強盗もちょくちょく

一方、給与やボーナスを現金で支払っていたことで、強盗事件も起きていた。

福岡・久留米市の小学校でに教職員のボーナス支給日を狙った強盗が入ったというニュース。

犯人に出くわした職員に話を聞いたインタビューが残っていた。「事務室の外で、じっとこっちを用があるように伺っていたんですね。覆っていたタオルを外して、包丁、30センチくらいの刺身包丁だったんですけど、それを出したんです。それでびっくりして私は退きました。

万札の束をバッグに掴むようにして慌てて入れて逃げたんですけど…。校長先生が後を追って出られたんですけど…」と目撃者は、実に克明に犯行時の話をしてくれていた。

現金が同じ日に同じ場所へ集まることは、こうした事件を生む危険性もはらんでいた。

熱烈歓迎!スト中の炭鉱労組に現金

意外な場面でも現金が主役だった。

昭和35年(1960年)、福岡・大牟田市にやってきたのは、労働組合の中央組織の幹部。

当時、人員削減に反対して無期限ストライキを行っていた三井三池炭鉱の組合員に熱烈に迎えられていた。

何のためにやって来たかというと…、ストライキ中で給料が支払われていない組合員のための『生活資金援助』。

なんと、自ら多額の現金の札束を手にして、直接、組合員に手渡していた。

新紙幣発行で日銀から地銀へ運搬

「九州でもきょう、福沢諭吉、新渡戸稲造、夏目漱石、文化人トリオによる新札1050億円が登場しました!」。

昭和59年(1984年)、紙幣の肖像が聖徳太子から福沢諭吉に変更されるなど新紙幣が発行された。九州全体で流通する1000億円以上の札束が、一旦、日本銀行福岡支店に集められ、それを地元の金融機関が受け取りに来る様子をカメラが捉えていた。

「日本銀行の福岡支店です。今朝9時からの支払い開始と共に、管内の市中銀行や郵便局などの金融機関が次々と訪れ、支払いを受けています。

きょう、この日銀の福岡支店からは、57の金融機関に対して、340億円が支払われた。中でも管内に本店を持つ、福銀、西銀、福岡相互銀行の3行は、引き出し額が200億円近くにのぼり、特別に支店内の荷捌き場で現金を受け取っていきました。

この荷台に載っている新1万円札の山が、ざっと20億円です」とこの日のニュースは伝えている。

その後、金融機関に到着した新紙幣は、待ち受けていたお客さんに払い出されていった。

「なんか、まだ慣れてないからね、ピンと来ないですけど、ちょっと玩具っぽく見える(笑)」「やっぱ、新札は握るとこう、気持ちがいいですね」などと新札に初めて触れた感想を語っていた。

キャッシュレス決済が進んだ現代では、滅多にお目にかかれない光景が、昭和の時代には、日常に広がっていた。

銀行振込へのきっかけ『3億円事件』

ボーナスや給料が現金支給から振り込みに変わる大きなきっかけになったのが、昭和43年(1968年)に発生した『3億円事件』と言われている。

大手電機メーカーの従業員約5000人分のボーナス、約3億円を運んでいた現金輸送車が奪われ、しかも未解決の事件だ。この昭和を代表する大事件をきっかけに、企業の間では、現金を持ち歩くリスクが意識されるようになるのも当然だ。

しかし、便利で安全なキャッシュレス時代だが、給料やボーナスを現金で受け取り、家族に手渡す昭和の時代を懐かしさだけでなく、少し羨ましく思うのは、時代遅れなオヤジだけだろうか。

(テレビ西日本)

テレビ西日本
テレビ西日本

山口・福岡の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。