熊本で震度7の地震が発生してから1週間。鹿児島県の姶良市で、ある小さなベーグル専門店が「8月6日の売り上げを全額寄付する」と決断した。その投稿をきっかけに、東日本大震災の経験者や初めて店を訪れた人々が次々と集まり、ベーグルは完売。店主の新城巧さんは「こんなに広がるとは思わなかった。びっくりです」と驚きを隠せなかった。
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焼きたての香りに引き寄せられた人たち
午前7時、姶良市にあるベーグル専門店「クロッケンベーグル」には焼きたての香りが広がり、開店前から列ができた。人気の塩バターベーグルをはじめ、同店では保存料や着色料を使わず、天然素材にこだわったベーグルを提供している。さらに、熊本県産の米粉も生地に使用しており、お米の優しい香りも味わいの特徴のひとつだ。

店を営むのは、新城巧さんと妻の美和さん。ふたりと熊本の縁は、熊本県宇城市が20周年を迎えた際のイベントに招かれたことに始まる。「すごく明るくて、その時によくしていただいた方たちもいた」と振り返る新城さん夫妻は、今回の地震のニュースに「胸が張り裂けそうな気分になった」という。

地震から2日後、インスタグラムで発信
熊本地震の発生から2日後、新城さんはインスタグラムで寄付の取り組みを発信した。その投稿を見て、初めて店を訪れた客も多かった。

ある客はこう語った。「たくさんの人が困っているので、少しでも助けができれば」。また、東日本大震災を経験したという別の女性客は、当時を思い出しながらこう続けた。「いろんなものが落ちて倒れて、『きゃー』と言うみんなの声を思い出す。みんなの力があってこそ元気が出る。がんばらなきゃと思ったことがあった」。さらに「身近に何かできる手段をベーグルと一緒に提供していただき、感謝」という声も聞かれた。

「やっていることは小さいが、誰かの役に立てれば」
新城さん自身は、この反響の大きさを予想していなかったと話す。「僕はこんなに広がると思わなかった。びっくりです。やっていることは小さいが誰かしらの役に立てるかなという思い。皆さんと一緒に力を合わせて大きなことができたらいいかなと思う」。

この日販売したベーグルはすべて完売した。一枚一枚のベーグルに熊本への思いが込められた、小さくも確かな支援の形だった。
姶良市では支援の輪がさらに広がる
クロッケンベーグルの取り組みだけにとどまらず、姶良市では他にも支援活動が広がっている。8日と9日には、姶良市役所加治木支所でお菓子や雑貨のチャリティー販売が行われ、売り上げは全額寄付される予定だ。
姶良市はちょうど1年前、大雨による大きな被害を受けた地域でもある。その経験を持つ街の人たちが、今度は熊本へと助け合いの心を向けている。被災の記憶が、支援の原動力になっているのだ。
【動画で見る▶【熊本地震】ベーグル店が売り上げを寄付 「小さいけれど力になれたら」】

