それに続けて、
「ほんとうにやさしかったら、気まずくなるのを覚悟の上で、若手を育ててあげようとして、注意もするし、厳しいことも言うでしょう。
私の場合、まずい点があってもはっきり指摘せず、こっちがカバーしてるんだから、向こうは仕事がちゃんとできるようにならない。
彼らは、ほめられて喜んでますけど、ほんとうは放置されてて可哀想なんです。私は、嫌われるのを覚悟で鍛えてあげるということをしていないことに自己嫌悪を感じることもあるんですけど、今の時代、なかなか難しいんですよね」
と、ホンネを語ってくれた。
このような葛藤は多くの経営者や管理職が抱えている。
自分の保身だけ考える上司は、どんなにできない部下でもひたすらほめていればいい雰囲気を保てるし、やさしい上司とみられるから、ラクをできるわけだが、部下のためを思う上司は、ほめることしかしにくい今の時代の空気の中で、大きな葛藤を抱えることになる。
榎本博明(えのもと ひろあき)
心理学博士。1955年東京生まれ。現在MP人間科学研究所代表。

