北海道・旭川市の神居古潭で2024年、当時17歳の女子高校生が橋から転落し死亡した事件で、主犯格として殺人や監禁などの罪に問われた内田梨瑚被告(23)に対し、旭川地方裁判所はきょう=22日、「懲役27年」の判決を言い渡しました。

内田被告は「殺意はない」などと主張していましたが、検察側の求刑通りの判決となりました。

関西テレビ「旬感LIVE とれたてっ!」には学校内のトラブル・いじめに詳しい佐藤みのり弁護士が出演し、「かなり事案の悪質性というのを重く見た判決になった」と受け止めを述べました。

■求刑どおり懲役27年の判決は「事案の悪質性を重く見た」

裁判の争点は、内田被告による『殺人の実行行為』が認められるかという点でした。

内田被告はこれまでの公判で「殺意はなかった」「橋の上から落下させてもいない」と一貫して起訴内容の一部を否認してきました。

その一方で検察側は、仮に直接突き落とす行為がなかったとしても、被害者を橋の欄干に座らせ、「早く落ちろ」「死ねよ」などと100回以上怒鳴りつけるなど、追い込んだ一連の行為が殺人の実行行為にあたると主張し、懲役27年を求刑していました。

佐藤弁護士は判決について次のように述べました。

【佐藤みのり弁護士】「殺人、不同意わいせつ致死、つまり“被害者の死亡に関するところの責任まで認めた”ということだと思います」

求刑を上回る判決が出ることも制度上はあり得ますが、佐藤弁護士は「ハードルが高い」と話します。

【佐藤みのり弁護士】「ハードルが高い中で求刑通りということですから、事案の悪質性を見たということ」

■転落の瞬間をめぐる証言の食い違いも「殺人の実行行為として認めた」

この裁判では、転落の瞬間をめぐって内田被告と共犯の女の証言が真っ向から対立しました。

“舎弟”と呼ばれる共犯の女(当時19歳)はすでに懲役23年の判決が確定し、現在服役中です。

共犯の女は公判の証人として出廷し、内田被告の主張について「デタラメで全部作り話、最初から最後まで全部ウソ」と強い口調で否定。そのうえで「梨瑚さんが女子高校生の肩甲骨あたりを両手で押した」と証言していました。

一方、内田被告側は「殺意はないし、橋から落としていない」と主張していて、両者の証言は最後まで食い違ったままでした。

その上で佐藤弁護士は、今回の判決の理由をこう述べました。

【佐藤みのり弁護士】「検察側は、『何らかの有形力の行使があった』と最初から言っているので、『突き落とした』とまでは認められなくても、何らかの有形力の行使が相まって、落ちるということを起こしてしまった。それで殺人の実行行為として認めたということだと思います」

■共犯の女と量刑の差は4年「当然のこと」と弁護士

内田被告(懲役27年)と共犯の女(懲役23年)の量刑の差は4年です。

佐藤弁護士は、主犯格である内田被告の量刑が重くなるのは当然との見方を示しました。

【佐藤みのり弁護士】「今回の事件の最初の点でも、内田被告の写真を使った、それで内田被告が怒った。その怒りから今回の事件は進んできてしまった。その動機の部分も含めて内田被告の犯行、この人が主犯である。そうすると当然、共犯の女よりは重い量刑になるということは、当然のことかなと思います」

■“無期懲役”にならなかった理由は?

殺人罪では、さらに重い「死刑」や「無期懲役」となる可能性もありましたが、なぜ懲役27年になったのでしょうか。

佐藤弁護士はこう述べました。

【佐藤みのり弁護士】「被害者が一人の場合に、まず死刑はほとんど適用されない。すごく計画性の高い事案とかだったら有り得るが、今回は『計画性はなかった』という主張を弁護側はすごくアピールして強く押し出していた」

その上で「無期懲役の可能性もあるにはあったが、不同意わいせつ致死の部分で、“わいせつ目的がなかった”というところもあり、有期刑の今回の事例における最長というところで検察側の求刑を認めるということが限度だろうという判決かな」と見方を示しました。

■遺族に謝罪も殺意は否認…“控訴”の可能性は?

今後の焦点は、内田被告側が「控訴」するかどうかです。

内田被告は最後の被告人質問で、被害者の遺族に宛てた手紙を代理人弁護士に読み上げてもらい、「怖い思いをさせてごめんなさい。痛い思いをさせてごめんなさい。つらい思いをさせてごめんなさい。女子高校生をなくしてしまった責任はすべて私にあります」と謝罪の言葉を述べていました。

法廷で初めて遺族に直接謝罪した場面もありました。

しかしその一方で、公判を通して「殺意と実行行為」については否認し続けていました。

■「大幅に刑が軽いものを想定した主張をずっとしてきた」

佐藤弁護士は控訴の可能性についてこう述べました。

【佐藤みのり弁護士】「求刑通りですし、控訴する可能性はあるんじゃないかと思います。元々、内田被告側は、『自分は死に関わってないんだ』という主張をしていた訳なので、『大幅に刑が軽いものを想定した主張』をずっとしてきたわけですから、おそらく控訴するのではないか」

内田梨瑚被告への懲役27年の判決に対し、弁護側が控訴するかどうか、引き続き注目されます。

(関西テレビ「旬感LIVE とれたてっ!」2026年6月22日放送)

関西テレビ
関西テレビ

滋賀・京都・大阪・兵庫・奈良・和歌山・徳島の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。