外国人観光客にも人気の伝統工芸品、だるま。
だるま工房で働くウクライナ人女性の日本の文化と故郷への思いとは。

2026年、創建から1200年となる西新井大師總持寺。

由緒ある寺の境内を見学しているのは、研修旅行で日本を訪れたアメリカ・アイオワ州立大学の学生たちです。

境内の見学後はこの日のメインイベント、だるま作り体験。

外国人観光客に人気のプログラムですが、だるまの作り方を説明しているのも外国の人。
ウクライナ出身のアナスタシア・マジャノウスカさんです。

東京・西新井と秋葉原に店舗を構える「はっぴーだるま工房」で働いていて、この日は団体客のガイドデビューでした。

はっぴーだるま工房の高橋美帆代表は「ウクライナから来たアナスタシアがアメリカから来た生徒さんたちをガイドして日本文化を伝えるっていう、そこにはボーダレスなものを感じる」と話します。

2003年にキーウで生まれたアナスタシアさん。
日本にやってきたのはロシアによる侵攻翌年の2023年のことでした。

大学で日本語を専攻していたため“避難”ではなく“予定通り”の来日でしたが、「やはり戦争はもう一つのきっかけとして、どうしても、あの時はウクライナを出たいなと思いましたが、出たくないという気持ちもありました。複雑ですよね」と語ります。

日本に興味を持った理由を聞くと、妹と「ひらがな」を覚える競争をした記憶はあるものの、なぜ「ひらがな」に興味を持ったのかは覚えておらず、本人にとってもちょっとしたミステリーのようです。

アナスタシアさんは山形大学で2年間学んだ後、東京で子どもたちに英語を教えていました。

そして、2026年3月からこのだるま工房で働いていますが、だるまを扱う仕事を選んだ理由について「だるまに目を入れると自分の夢とか、自分のやりたいこととか考えるじゃないですか。私もずっとそういう感じだったんで、人の夢とか人のやりたいこととかをサポートして、自分も頑張ろうかなと思いました」と話します。

この店舗では、だるまは願いをかなえようとする人の“最も身近な応援団”と表現をしていますが、アナスタシアさんはだるまのそうした一面に魅力を感じたといいます。

そして日本の文化に興味を持っているからこそ、故郷ウクライナの現状には「日本のだるまを作っているのは日本の文化に興味があるからです。みんなのウクライナのイメージが『戦争だけ』となるのが、すごく心配」という思いがあるようです。

だるまに文字を入れる練習をするアナスタシアさん。
この店舗ではだるま作りに加えて、接客のほか、ワークショップやツアーで客にガイドも行うため様々なスキルが必要になります。

それがここで働こうと思った理由でもあります。

ガイドをした感想について、アナスタシアさんは「少しずつ日本の文化と日本の伝統についてお客さまに説明すると、自分も詳しく分かるようになる。みんなも自分の日本のイメージが広がるのは、めちゃくちゃ良かった」と話しました。