障害者施設で働いていた当時16歳の少女、るなさん(仮名)が、“違法”な逮捕・勾留で自白を迫られるなど精神的な苦痛を受けた結果、摂食障害となって死亡したとして、母親が国などに対し、国と兵庫県におよそ1億円の賠償を求め裁判を起こしました。
関西テレビ「newsランナー」に出演した弁護士の橋下徹氏は、るなさん(仮名)が当時16歳だったことから、「単純な刑事事件じゃなくて、“少年”として保護しながら進めなければいけないという観点が抜けている」と指摘。
また、るなさん(仮名)が18日間の身体拘束を受けたことについて「少年法では、検察官が勾留請求する時に、特にやむを得ない事情・事由がある時にだけ勾留請求ができる」と説明し、「裁判所はやむを得ない事情があったかチェックしたのか」と疑問を呈しました。
また、ジャーナリストの安藤優子氏も「16歳の人権を守らなくちゃいけなかったはず」と指摘しました。
■暴行の疑いで突然逮捕された16歳の少女「家庭裁判所の管轄で本来進めていかなきゃいけない」と橋下氏
家族が経営する障害者施設で働いていた当時16歳のるなさん(仮名)。
訴えなどによると、去年2月、施設で開催したバレンタインデーのイベントで、重度の知的障害がある利用者の女性が、別の利用者に噛みつこうとしたため、るなさんと男性スタッフが止めに入りました。
その時に女性のあごに触れたことが虐待ではないかと相談があり、2人とも4カ月後、暴行の疑いで逮捕されました。
橋下氏は「強制捜査は必要なときにはやらなければいけない」と話す一方で、少女が16歳であることから、「家庭裁判所の管轄で本来進めていかなきゃいけない」と指摘。
【橋下徹氏】「特に今回のように障害のある方が集まる施設の中で、もしかすると虐待容疑だということがあれば、特に障害のある方を守るためにも捜査機関は踏み込まなきゃいけない。
ただし、そのあと問題ではないなと思ったときに修正が必要。いくつも修正すべき段階があって、決定的な問題点は16歳なんですよ。家庭裁判所の管轄で本来を進めていかなきゃいけないんです」
■「単純な刑事事件じゃない。保護しながら進めなければいけない観点が抜け落ちている」
【橋下徹氏】「検察官が勾留請求するときにも、少年法に明記されていて、特にやむを得ない事情・事由がある時にだけ勾留請求ができる。一般の事案と違うんです。
家庭裁判所の原則、やむを得ない事情があったかどうか、裁判所もちゃんとチェックしたのかなと。
これは単純な刑事事件じゃなくて、保護しながら進めなければいけないという観点が抜けています。保護すべき対象でもあることが完全に今回抜け落ちてましたね」
橋下氏は「こういうことを防ぐためには、弁護人が当初から立ち会う。欧米諸国では一般的な原理原則は、早く(日本でも)入れるべき」と述べました。
■「16歳の人権を守らなくちゃいけなかったはず」安藤優子氏
ジャーナリストの安藤優子氏も「障害をお持ちの方たちの事案とすると、踏み込んでその人達を守らなくちゃいけないと同時に、16歳の人権を守らなくちゃいけなかったはず」と指摘しました。
【安藤優子氏】「容疑を否認していたからこそ勾留が長引いた。と私は考えられると思います。何が一番辛いかっていうと、もしこの方が1人の独房で勾留を続けられたとすると、とにかく1人。
接見も弁護士以外は禁止されていて、自白を強要される繰り返しの精神的な圧迫。しかも16歳という年齢で、自白を迫られると、“もしかしたら自分をやったのかもしれない”くらいの思いになってしまう」
■るなさんが書いたノートには涙の跡も
るなさん(仮名)は留置場で書いたノートに「私は本当にやっていません」などと書き記していました。ノートには涙の跡も滲んでいました。
【安藤優子氏】「被疑者ノートって出てきましたよね。本人がどういう取り調べを受けてどういう気持ちだったかっていうのを克明に記すことができるんですよ。詳細をきちんと明らかにして、裁判に臨んでいただきたいと、彼女のためにもそう思います」
(関西テレビ「newsランナー」 2026年6月17日放送)
