暑さが増すこの季節、スーパーのアイスクリーム売り場には多くの人が足を止めます。

ところが今、その「身近な夏の楽しみ」をめぐって、消費者の不信感を呼ぶ事態が明らかになりつつあります。

■「カルテルの疑いが浮上」 大手6社に立ち入り検査

公正取引委員会は、国民的人気のアイスで知られる大手食品メーカー6社に対し、独占禁止法違反の疑いで立ち入り検査を実施しました。

対象となったのは、東京都内に本社を置く明治、ロッテ、森永乳業、森永製菓、大阪市に本社を置く江崎グリコ、そして埼玉県の赤城乳業の合わせて6社です。

カルテルとは、本来競合するはずの企業同士が価格や販売方法についてひそかに協力し、価格を吊り上げるなどの行為を指す違法行為です。

関係者によると、これら6社は数年前からカルテルを結んでいた疑いがあり、各社の幹部らが集まったり、メールでやり取りしたりして、値上げの幅や価格改定の時期などを情報交換していたとみられています。

■「原材料費が上がって」 値上げの理由は本当だったのか

問題の核心は、約2年前に各社が相次いで発表した値上げの「理由」にあります。

当時、各社は値上げの理由として「原材料費やエネルギーコスト等の価格上昇の影響」「物流コストや包装材価格の上昇」「人手不足の深刻化による人件費の高騰」といった説明を行っていました。

多くの消費者にとって、それはやむを得ない値上げとして受け止められていました。

しかし今回の立ち入り検査を受け、「各社が事前に申し合わせて一斉に値上げを行っていたのではないか」という疑惑が浮上しています。

■「どっちかが下げてくれたら」 買い物客に広がる不満

スーパーの売り場で取材に応じた利用客は、率直な気持ちを口にしました。

「どっちかが下げてくれたら、そっちに客が集中して、その会社もよくなるのに、みんなでって言われても、ちょっと考え直してほしいかな」。

一方、別の利用客も「全部が上がってきてますからね」と物価全般への閉塞感を漏らしました。

消費者にとって身近な商品だからこそ、不信感の重さは小さくありません。

■「なんでもありなのかな」 老舗メーカーが感じるやるせなさ

今回の疑惑は、大手とは異なる立場で戦ってきた企業にも影を落としています。

1945年創業、「北極のアイスキャンデー」でおなじみの関西の老舗メーカー、株式会社アークティックの社長は、苦しい胸の内を明かしました。

【株式会社アークティック 久保田光恵社長】「賃金であったり、ガソリン代とか、全体に上がっていますので、『なんとか価格を抑えたい』と、いろんな無駄を省いて努力をしているんです。その中でこのニュースが流れてきたら、『なんでもありなのかな』とか思ってしまう」

同社は去年、やむなく一部商品を値上げしたものの、今年は企業努力によって値上げを予定していないといいます。

社長はさらにこう続けました。「消費者のことを考えますと、なんとか今年は乗り切って行きたいと値上げをしていない中で、大手メーカーがそのように決めて、値上げをされるとなると、価格を決めるというのがどこに照準を置いて決めているのかなと疑問ではあります」

誠実に価格を抑えてきた企業が、結果的に不利な立場に置かれてしまいかねないと懸念します。

■「正直に価格を抑えてる企業がバカを見る」 コメンテーターも厳しく指摘

関西テレビ「newsランナー」に出演した橋下徹氏は「価格を上げること自体が悪いことじゃないんですよ」と前置きしたうえで、「みんなで上げたら怖くないみたいな形で一斉にやったから問題であって、上げるんだったら堂々と上げればいい。カルテルをやると、正直に価格を抑えてる企業がバカを見ますしね」と語りました。

安藤優子氏も「必然性のある値上げだったならば、堂々と理由を言って値上げすればいいことじゃないでしょうか」と指摘し、「100円とか、そういうお小遣いを握りしめてという子どもの側面から考えると、これはほんとにがっかり」と失望感を示しました。

■実態解明はこれから 今後の展開に注目

公正取引委員会は今後、関係者への聞き取りなどを進め、実態の解明を図る方針です。

FNNの取材に対し、6社はいずれも「調査に協力していく」と回答しています。

今回の疑惑が事実と認定されるかどうか、そして企業側の説明責任がどのように果たされるかは、今後の調査の進展を待つ必要があります。

(関西テレビ「newsランナー」2026年6月17日放送)

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