今、関西地方でクマの出没が相次いでいます。

影響は山林や農村地帯だけにとどまりません。都市部に近接した住宅地や観光名所にも、クマが姿を現すおそれがあるのです。

【専門家】「すぐに街中にクマが出ることは起こりえない」

専門家は繁殖期による行動の活発化と緩衝地帯の消失から、都市部近郊での目撃情報がさらに増える可能性を指摘します。

一方、兵庫県は「ツキノワグマ対策連絡会議」を開くなど、自治体レベルの対策も動き始めました。

■「車だと1〜2分で民家もありますし、保育園もあります」

6月14日(土)、京都府京丹後市のインターチェンジ付近を走行中の視聴者が、クマの出没をとらえた動画を撮影しました。

映像には親グマ1頭と2頭の子グマが確認できます。車に進路を阻まれた親グマは、道を渡るのを断念したのか、その場から逃げていきました。

撮影者は「本当にいるんだと、すごく怖かったですね。車だと1〜2分くらいで民家もありますし、保育園もあるので」と話しています。

■観光名所・天橋立にも、神戸・西宮・宝塚でも

クマの目撃は京丹後市だけではありません。

6月10日には、観光名所として知られる天橋立(宮津市)にクマが現れ、その後、捕獲されました。

11日には、神戸市北区の山林に設置されたセンサーカメラがクマ1頭を撮影。神戸市は「1歳半ぐらいの個体と推定される」と発表しました。

さらに、西宮市の市街地近くや宝塚市でも目撃情報が寄せられています。

■「痕跡がない=いなかった、ではないです」

宝塚市は6月16日、地元の猟友会などと協力し、前日夜に目撃情報があった場所を調査しました。

現場を歩いた宝塚市猟友会の永井由崇支部長は「クモの巣が残っているので、絶対通ってないです。途中で野イチゴなんかもあったが、それを食べて休んでる気配もない」と指摘しました。

足跡などの痕跡は残っておらず、クマは「道路を移動し、通り抜けていった可能性が高い」とされています。

しかし永井支部長は「ここを確実に通ったという証拠がないだけで、いる可能性は十分あります」と強調します。

痕跡がないことは、クマがいなかったことを意味しないのです。

■「繁殖期でオスがメスを求めて動き回る時期」

なぜ今、クマの目撃が関西各地で相次いでいるのか。

取材班と共にクマが撮影された神戸市北区の山を訪れた、兵庫県立大学の高木俊准教授は、この時期のクマの特徴についてこう説明します。

【兵庫県立大学 高木俊准教授】「今の時期ですと、ちょうど繁殖期にあたり、オスがメスを求めて動き回ったり、メスがオスに追われてまた動き回ったり、若いクマが生まれたところから離れていく、そういった時期になりますので、山の中での行動が活発になる時期と考えています」

また、クマが神戸市北区で撮影された翌日、約4.5キロ離れた西宮市・名塩でも2件の目撃情報が寄せられました。

高木准教授は「森の中を移動しているので、つながっている部分であれば、障壁なく移動することができる」と述べています。

■「すぐに街中にクマが出ることは起こりえないと思います」

では、市街地に直接クマが下りてくるリスクはどれほどあるのでしょうか。

高木准教授は「住宅と市街地と接する街中で目撃情報等が一切ない段階で、すぐに街中にクマが出ることは起こりえないと思います」と現時点の見解を示しました。

ただし「今後、都会に近い森林で目撃情報が増えてきたら、少し注意していただく必要はあると思います」とも付け加えています。

■フン発見との情報も、専門家は「クマのものとは言えない」

取材班が高木准教授と別れた後、西宮市・名塩でクマのものとみられるフンが見つかったとの情報が寄せられました。

現場を探した記者が手のひらほどの大きさのものを発見。

高木准教授に写真を送り確認を依頼したところ、「一緒に写っている虫のサイズからすると、クマのフンに比べだいぶ小さいように見えるので、違うかな。これをもって”クマのフン発見”とは言えない」と指摘しました。

西宮市では今後、専門家にも確認を依頼してクマのフンかどうか調査するとしています。

■「放置果樹や生ごみの対応をしっかり」、兵庫県が対策会議

兵庫県は6月15日、研究者などを集めた「ツキノワグマ対策連絡会議」を開き、県民に注意を呼びかけました。

兵庫県の斎藤元彦知事は「できるだけ集落に呼び寄せないために、放置果樹や生ごみの対応をしっかりやっていただきたい」と呼びかけています。

(関西テレビ「newsランナー」2026年6月16日放送)

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