2008年に起きた岩手・宮城内陸地震の発生から、6月14日で18年となります。震度6強を観測した宮城県栗原市で、今年創業150年を迎えたのが、「ランプの宿」として知られる三浦旅館です。苦難を乗り越えてきたこれまでの歩みをお伝えします。
美しく広がる緑の木々…。
自然豊かな栗駒山麓にあるのが湯浜温泉・三浦旅館。
山道を10分ほど歩くとたどりつき、電気はなく、携帯電話の電波も届きません。
まさに「秘湯」の宿です。
三浦旅館の4代目、三浦治さん(71歳)です。
三浦旅館4代目 三浦治さん(71)
「本当に息の長いリピーターがたくさんいて、そういう人たちに支えられて今日まで来た」
明治の初めから続き、『ランプの宿』として、多くの秘湯ファンを魅了してきました。
しかし…。
18年前の2008年6月14日、午前8時43分。
岩手・宮城内陸地震が起き、栗原市では震度6強を観測。大規模な土砂災害が発生しました。
宮城県内では14人が亡くなり、4人の行方が今もわかっていません。
栗原市花山地区の三浦旅館に続く道路も土砂崩れで寸断されました。さらに、地震の影響で源泉が止まりました。
三浦旅館4代目 三浦治さん(当時54)
「温泉旅館としては致命傷。何か…、命を…、閉ざされた感じですよね、温泉が湧かないのは」
2年後、新たな源泉を内風呂に引き込み、営業再開にこぎつけたものの、2011年に起きた東日本大震災で、またも源泉は止まってしまいました。
それでも『ランプの灯りを消したくない』という一心で、新たな源泉を掘り当て営業を再開したのです。
三浦旅館4代目 三浦治さん(当時57)
「一番は温泉が好きだという事。ただ『家族』であったり、『仲間』がいたり、それが一番のエネルギーになった」
多くの苦難を乗り越え、三浦旅館は今年、創業150年を迎えました。
治さんが「エネルギーになった」と話した家族。
息子で5代目の千空さんも、感謝の思いを抱いています。
三浦旅館5代目 三浦千空さん(37)
「震災があって親父がそれを乗り越えて今がある。2回大きい地震があって、それにも負けないで続けてこれて、私が今できている。感謝しているというか、すごいなと」
自然に囲まれた清流のすぐ横にある露天風呂…。
千空さんが三浦旅館の自慢と話すのは風景だけではなく、温泉の泉質です。
三浦旅館5代目 三浦千空さん(37)
「とろみがあるというのも、メタケイ酸という肌に良い成分が豊富に含まれていて」
三浦旅館の温泉には、数値が100を超えると『美肌の湯』とされる「メタケイ酸」の数値が「200」あると言います。
2度の震災の後、5年前に完成した露天風呂もこだわりです。
三浦旅館5代目 三浦千空さん(37)
「川の音だったり、鳥の声だったり、木から漏れる太陽の光とか、色々な自然のシチュエーションを感じながら楽しめるスペース」
岩手・宮城内陸地震の前は関東などから、年間1000人ほどの宿泊客が訪れていましたが、18年経った今も、半数程度にしか回復していません。
千空さんはSNSで栗駒山の魅力や自ら企画したツアーの告知を行うなど、新たな形で三浦旅館を広げようとしています。
地震の被害を受けてもあきらめず、父から息子へ受け継がれてきたランプの火は、これからも優しく、灯ります。
三浦旅館4代目 三浦治さん(71)
「宿に来るのを楽しみにしているお客さんがたくさんいる。そういう人たちの思いを考えると、次のバトンを渡すまでは、頑張らなくては」
三浦旅館5代目 三浦千空さん(37)
「山が崩れたところが意外と景色がよかったり、花が咲いていてすごくきれいだったり。地震はもちろん怖いですけど、そこから学べるものはいっぱいある。みなさんに見て感じてほしい」
栗駒山の雄大な自然に抱かれて…。
三浦旅館は、ゆっくりと歩みを進めていきます。