愛媛県が開発した“高級みかん”の新品種が中国に流出した可能性があることがわかった。イット!では苗木を販売する業者を直撃。市場で接ぎ木用の枝を「紅プリンセス」と説明され買ったが、本物かは分からないという。県は国と連携しながら実態の把握に努めるとしている。
県が20年かけ開発、期待の新品種
中国の大手通販サイトで販売されている、オレンジ色に実った大きな果実。

商品紹介を見ると「愛媛48号」と書いてある。その横には“紅公主”との文字が確認できる。

紅公主とは「紅プリンセス」という意味。

愛媛県が開発した高級かんきつ「愛媛果試第48号」のブランド名「紅プリンセス」と同じ名前だ。

紅プリンセスは愛媛県が約20年をかけて開発し、2025年に本格販売を始めたばかりの“新品種”。

そんな“ブランドみかん”がすでに中国に流出した可能性があり、県が事実確認を進めていることが分かった。
「またかという感じ。怒りは通り越して、あきれているかもしれない」と話すのは、「紅プリンセス」を栽培する愛媛・松山市のかんきつ農家「北条森農園」。
FNNでは2025年、本格出荷目前の農園を取材していた。

北条森農園・森涼平さん:
これ全部「紅プリンセス」です。

鮮やかなオレンジ色に実った「紅プリンセス」は、愛媛特産の「紅まどんな」のゼリーのような食感と「甘平(かんぺい)」の濃い甘みを受け継いだ期待の新品種だ。
「品質悪い偽物流通すればブランドに傷」
膨大な時間をかけ開発され、2025年、本格販売を始めたばかりの「紅プリンセス」。

ところが中国の通販サイトには「紅プリンセス」と名乗る苗木を、多くの業者が販売している。

販売されている「紅公主」のうたい文句:
口当たりが良く、瑞々しい。たくさん収穫できます。

愛媛ブランドの新品種「紅プリンセス」がなぜ中国で流通しているのか、通販サイトの販売業者を直撃すると…。

「紅公主」苗木の販売業者:
市場で穂木が売っていて、その枝を買って接ぎ木をしました。農家に「美味しいの?」と聞いたら「美味しいよ」と言われたので。もう2~3年ほど前のことですよ。

市場で売っていた接ぎ木用の枝を「紅プリンセス」だと説明され買ったが、本物かは分からないという。

日本の栽培農家は“品質が悪い偽物が紅プリンセスとして流通すれば、ブランドに傷がつく”と嘆いている。

「紅プリンセス」を栽培する北条森農園:
アウトですよね、一生懸命私たちがブランドの品質を作り上げて、その味とかが信頼で成り立ってるのに。
対策は?鈴木農水大臣「種苗法改正法案を審議」
愛媛県は事実確認を進める一方で、中国に品種登録を申請中だが、まだ登録されていないという。

そのため、中国で販売されている苗などが愛媛から流出したものだとしても、販売差し止めなどの具体的な対抗措置は取れない状況だと説明。国と連携しながら実態の把握に努めるとしている。

12日、鈴木農水大臣は会見で、“海外流出の抑止策”について次のように述べた。
鈴木農水大臣:
優良品種の海外流出の抑止に向けては、育成者権の保護を強化するための種苗法の改正法案を、今国会でご審議いただいている。

ブランド農産物をめぐっては「シャインマスカット」の苗木の海外流出が相次ぐなど深刻な問題に。

農水省などは8月をめどに、海外での無断栽培を監視し、品種登録を代行する専門機関を立ち上げ、ブランド価値の保護強化を目指す方針だ。

フードジャーナリストの山路力也さん:
海外で日本の農業が戦っていく上でも大事な取り組みだと思う。
(「イット!」6月12日放送より)
