存在感を高める“高専人材”。
その活躍の場として選ばれていたのは東京の町工場でした。

火災現場に駆けつけ消火活動を行う犬型ロボに、広角カメラを搭載した下水道点検ロボなど、製作したのはロボットやAIに強い「高等専門学校生」。

その高い技術力を求め企業が人材の争奪戦を繰り広げるなか、高専人材から支持を集めている就職先が、東京の下町にある町工場です。

ものづくりの現場が少しずつ姿を消している今、将来の日の丸技術を背負う金の卵が集まる訳とはなんでしょうか。

東京・墨田区の「浜野製作所」。
主に金属加工を手掛ける町工場ですが、約40人の従業員のうち9人が高専出身者。
2016年から働く内田さんもその1人です。

2016年入社・内田博也さん(32):
(同級生は)大手企業にいったりしているが、ここ以外は就職活動していない。

AIやロボットの普及が進み、専門人材は2040年に約340万人不足するとされ、企業の間では専門性の高い高専人材の存在感が増しています。

“超売り手市場”のなか、なぜ下町の町工場を選んだのでしょうか。

理由の一つが、アイデアはあるけどノウハウがない企業を対象にした「ものづくり相談サービス」です。

この日、工場に訪れたスタートアップの代表も、内田さんに商品の相談をしてきたうちの一人。
持ち込んだのは、座るだけで骨盤底筋をほぐすというセルフケア商品の模型でした。

内田博也さんは「これを預かって僕の方で3Dプリンタで形を作って、どういうのがいいかな」と提案します。

内田さんのアドバイスなどをもとに完成した商品は2025年、グッドデザイン賞を受賞。

moreover・大西安季代表:
ここに来てなかったら起業はしていなかったかもしれない。こんな何者でもない私を“ものづくり始めていいんだよ”と、初めて受け入れてくれた会社。

依頼されたものを作るだけではなく、相談から製品化まで関われる環境が、“高専人材にとってのやりがい”につながっているようです。

2016年入社・内田博也さん(32):
“ここだったら何でもできそうだな”と。どうしても大手だと“分業化”や“縦割り”を聞くので、僕は専門よりは広く全てのことをやりたいのでここを選んだ。

これまでにも浜野製作所では大手から中小企業まで、さまざまな製品の開発を後押し。

一方で、インターンシップや高専での説明会なども積極的に行い、ものづくりの未来を担う人材獲得に結びつけています。

浜野製作所・小林亮取締役社長COO:
自分の中で考えて実際に現場で物を作ることができる会社だし、高専の一定層には非常に相性が良い。我々の中小製造業・町工場としての存在感。新しい存在として追求していきたい。