長野県上田市のスーパーの一角に野菜が主役の人気の総菜店があります。切り盛りするのは、地元の農家と、同級生の女性。旬の野菜の魅力を広めたいという2人の思いを形にしたお店です。

■野菜が主役の人気総菜店

一見、いなり寿司のような「野菜いなり」。中身はニンジン、キノコ、カブの葉などが使われています。ドライカレーの具も大根、ニンジン、豆など野菜がメインです。

上田市古里のスーパー「やおふく古里店」の一角にある総菜店「旬菜ベジまる」。

名前の通り、旬の野菜をふんだんに使ったメニューが特徴です。

客(市内から):
「体に良い野菜とかすごく使ってくれてるので助かる」
「野菜も(味が)濃いし甘いし、安心ですよね」


■客が幸せになる総菜作り

旬彩ベジまる 店長・前田玲奈さん:
「切り干し大根のごまサラダにホウレンソウとコマツナが一緒になってるんですよ」

手際よく調理するのは、店長の前田玲奈さん(34)です。

前田玲奈さん:
「作っている時も食べてくれた人が気持ちよく過ごせたり、おいしいって幸せな気持ちになってくれればいいなという思いで作っています」

メニューの主役は「野菜」。いずれも、上田市やその周辺で採れたものを使用しています。

総菜は、常に9種類を用意していて、1種類からサイズを選んで購入することができます。

看板メニューの「野菜いなり」に、一番人気の「ドライカレー」。この2つは定番商品で、その他のメニューは、仕入れた野菜に合わせて入れ替えています。

■同級生2人がタッグを組む

松本農園・松本祐也さん:
「大体いつも5、6種類ずつここに並べるようにしていて」

野菜を持ち込んだのは、市内で農園を営む松本祐也さん(34)。店で使う野菜のほとんどを生産しています。

松本祐也さん:
「レタス系がけっこういいから、生で食べるとめっちゃうまいから、ベトナム風サラダに」

前田玲奈さん:
「やったよ!きょういっぱい新しい野菜入れたの」

親しげに話す2人。実は、中学時代の同級生。

店長は前田さんですが、店は、松本さんの農園が経営しています。総菜店は、2人の思いを形にしたものです。

前田玲奈さん:
「松本くんが育てているおいしい野菜を使えば、自分が思い描いている健康に特化した総菜店ができると思って」

■料理の道へ…Uターン決意

上田市出身の前田さん。高校卒業後に上京し、都内のCM制作会社などで10年ほど働きました。

しかし、趣味である料理の腕を生かして地元で飲食店をやりたいとの思いが強くなり、2024年、Uターンしました。

その大きなきっかけとなったのが、松本さんの野菜です。

前田玲奈さん:
「松本農園が大好きで、東京にいたけどこっちに帰ってきたら、松本くんの野菜を買って帰ったり。まさかその野菜を使ってお総菜店ができるなんて」

■農薬使わない自然な甘さ

松本農園・松本祐也さん:
「立派に育ちました」

殿城地区にある松本さんの農園では、今、ハクサイやレタス類が収穫の時期を迎えています。

松本さんも、大学進学と就職で上田を離れていましたが、耕作放棄地が増えていく地元の光景を見て、農家になることを決断。26歳で上田に戻りました。

遊休農地を借り、2ヘクタールほどの畑で年間約60種類の野菜を育てています。栽培方法にもこだわりがあります。

松本祐也さん:
「化成肥料を一切使わないし、農薬もしないんですけど、そうすると自然な野菜の甘さになる良いこともあったり、手間多いとかデメリットもあるんですけど」

■消費者の声が作る活力に

家庭菜園をやっていた母親のサポートを受けつつ、一から農業を学び少しずつ生産量を増やしていきましたが、一方で、気にしていたことがありました。

松本農園・松本祐也さん:
「『ベジまる』始める前は、評価を聞けない。消費者の反応がない中で黙々と野菜を作る。つまらなかったです、正直。ただ作って出すだけ」

育てた野菜の評価を聞く方法を探していた松本さん。2023年に同級生の集まりで前田さんと再開した際、「上田で飲食店をやりたい」との思いを聞き、話が一気に進みました。

松本祐也さん:
「『お店やりたいと思ってるんだけど』みたいな話があって、俺もやりたい!って感じで。良くないことでもいい、『まずかった』でもいいんですけど、そういう声を毎日もらえるので、より一層、野菜を作るエネルギーになる」

■野菜嫌いもハマる絶品料理

2人で農園の野菜をメインにした総菜店を開くことを決め、2024年、「ベジまる」をオープンしました。農家直営ということで、店頭には、新鮮な野菜も並びます。

この日、作っていたのは、ニンジンを酢や砂糖、オリーブオイルで和えた「ラぺ」。素材の味を生かし、野菜が苦手な人でも手に取ってもらえるよう味付けも工夫しています。

前田玲奈さん:
「お菓子みたいな感覚で甘いから食べられるのかもしれないですけど、お子さんみんな、ラぺをリピート(笑)。うれしいですよね、ニンジンけっこう苦手な子が多いから」

サニーレタスとグリーンリーフはナンプラーで味付けした「ベトナム風サラダ」にー。

葉タマネギはキクイモと一緒にトマト炒めにしました。

■手作り総菜と気さくな人柄

前田玲奈さん:
「(松本農園の野菜は)味もすごく野菜の味がしておいしいんですよ。あと安心安全というのもおいしく食べられる秘けつかなと」

松本祐也さん:
「野菜愛が強くて、僕が作る野菜をすごくほめてくれて、それを消費者の方に野菜の良さだったり、おいしさを伝えてくれるので作る活力にすごくなりますし。すごくいい笑顔じゃないですか(笑)」

前田玲奈さん:
「笑顔大事!」

店では、総菜を使った弁当やサンドイッチも販売しています。

オープンから2年余り。手作りの総菜と、前田さんの気さくな人柄もあり、連日、多くの客を引き付けています。

客(市内から):
「すごくおいしいです。野菜も嫌いだったけど大好きになりました」
「いろんな種類があるから目で見て楽しめるし、食べて楽しめるというね。いつも笑顔で迎えてくれるからついなんか買っちゃう」

■「日常に溶け込む店に」

最近は、店が休みの日に農園の仕事も手伝っているという前田さん。作り手の思いも感じながら、これからも旬の野菜の魅力をより多くの人に発信していきたいとしています。

旬彩ベジまる 店長・前田玲奈さん:
「ここに来れば野菜が手軽に買えて食卓に並べられるよな、とか日常に溶け込みたい。飽きずに、毎回楽しく選べるような店にしたい。野菜のおいしさを食べて知ってほしい。好きな人はもちろん、苦手な人もぜひ食べてほしい」


旬菜ベジまる
営業時間 午前10時半~午後6時
定休日 水曜日、木曜日

長野放送
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