7年ぶりの北朝鮮訪問で大歓迎を受けた中国の習近平国家主席は9日、北京に戻った。北朝鮮側の手厚い“おもてなし”とその裏にある“思惑”とは何か。
テーブル中央に何百本もの真っ赤な“バラ”
首脳会談で中朝のトップが向かい合うテーブル。
その中央には何百本という真っ赤なバラらしき花が飾られていた。

歓迎式典の会場には、白馬の群れが連なり、中国・習近平主席が移動する際には、約20台のバイクが隊列をなして先導していた。

朝鮮中央テレビ アナウンサー:
歓迎の歌が鳴り響く中、金正恩同志は李雪主夫人と共に習近平同志と彭麗媛夫人を歓迎しました。
2019年以来、7年ぶりとなる習主席の北朝鮮訪問。現地の映像から紐解く手厚い“おもてなし”とその裏にある“思惑”とは何か。
旗を手に飛び跳ねる子供たち
8日、平壌の空港で習主席の到着を待ち受けた、北朝鮮の金正恩総書記。両者は両手で握手を交わしていた。

赤いネクタイの習主席に対し、金総書記のネクタイは白。そして2人の夫人はどちらも白一色の装いだ。

まず向かったのは、歓迎式典が行われる金日成広場。

そこには、「朝中親善は永遠」というスローガンが掲げられていた。
風船にも“歓迎”の文字が躍り、会場の中央には両首脳の巨大な肖像画が掲げられていた。
21発の礼砲が鳴り響いた後、両首脳を待ち受けていたのは、中国や北朝鮮の旗を手に飛び跳ねる子供たちだった。
5月、北京での米中首脳会談で中国がトランプ大統領に対して行ったのと同様の歓迎を北朝鮮から受け、習主席も満足げに右手を掲げた。
朝鮮中央テレビ「歴史的な会談」
続いて向かったのが、首脳会談が行われた迎賓館だ。

会談が行われるテーブルの中央には、両首脳の間を埋め尽くす数百本の真っ赤なバラらしき花が…。
9日朝の朝鮮中央テレビでは、会談中、この“赤い花”が常に映り込むように映像を紹介し「歴史的な会談」だったと報道した。
この会談で、習主席は軍事分野の交流強化や経済分野の協力拡大を提案し、金総書記も“中朝関係の発展を最重要の戦略的事業と位置づける”と話したという。
その後も、次に映し出されたのは…。

朝鮮中央テレビ アナウンサー:
金正恩同志は習近平同志の訪問を歓迎し晩餐会を用意しました。

木蘭館(モンラングァン)と呼ばれる晩餐会会場。エントランスに習主席の車が横付けされ、金総書記が出迎えていて、常に両首脳の友好ぶりを報じていた。
「歓迎公演」に“パンダ”も登場
夜9時から平壌体育館で行われた「歓迎公演」では…。

ステージでは、ブランコや大車輪を使ったパフォーマンスに加え、歌と踊りのショーを展開。
途中、パンダも登場する展開に、観覧する両首脳の会話も弾んでいるように見える。

一夜明けた9日も、そろって植樹行事に参加する様子が報じられるなど、今回の習主席の訪朝は両首脳の友好ぶりと北朝鮮側の歓迎ムードが目立つ。
2人並べた肖像画の意味とは
ただ、そうしたなかにも両者の関係性に微妙な変化が生まれていると専門家は指摘する。

甲南女子大学・鴨下ひろみ教授:
金日成広場で大々的に習近平主席と金正恩総書記の肖像画を並べて飾っているところからも、金総書記が権力基盤を固めて、海外でのロシアとの友好関係も含めて中国と対等の立場で話し合う、そういった力をつけてきたんだという、新しい中朝関係をアピールする場になっていたと思う。

7年前、習主席が訪朝した際に中国側の発表にあった「朝鮮半島の非核化」については今回、中朝どちらも触れなかったという。
(「イット!」 6月9日放送より)
