持続可能な漁業と食の在り方を学ぶ新たな教育プログラムを取材しました。

刺し身や焼き魚、煮付けなど、世界でも“有数の魚食文化”を持つ日本。
しかし、ある危機が迫っています。

「シェフス フォー ザ ブルー」代表理事・佐々木ひろこさん:
海にいる魚がかなり減少している。日本の漁獲量のピークは1984年の1282万トン。現在の漁獲量は約3分の1、400万トンを下回る。

“100年後も豊かな海と魚食文化を守りたい”という思いで始まったのが、次世代のための教育プログラム。

持続可能な漁業や食の近未来に触れて、学び、考え、伝える。
水産業の未来を担う若者たちを育てる「ブルーキャンプ」に迫りました。

水産業を学ぶ大学生や、卒業後、寿司職人になる専門学生など、全国から選抜された学生たちが、約半年間にわたり海の課題を学ぶ教育プログラム「ブルーキャンプ」。

服部栄養専門学校・足立昇大さん:
寿司は魚がないと成り立たない。魚が減る中、海と向き合わないといけない。

日本の漁獲量は現在、ピーク時の3分の1以下に落ち込む中、漁師や仲卸業者、トップシェフを交え、持続可能な漁業と食の在り方について学習し、学びの集大成として学生自らがメニューを考え、期間限定のレストランをオープンします。

「東京農業大学」応用生物科学部・西山真未さん:
海の課題に対して行動したいと思いつつ、何も行動できずにいた。多くの魚がどのような過程で食卓まで届くのか見えていなかった。生産者と消費者をつなぐ現場であったり、その違いが色づけされる感覚。

「シェフス フォー ザ ブルー」代表理事・佐々木ひろこさん:
水産物の流通は多くの人が関わっている。様々な現場に足を運ぶ「体験型プログラム」。

この日は漁船に乗り、漁師から伝統的な漁法や、魚が減りすぎないように取る量やサイズ、時期などを制限する資源管理について学びます。

「白鷹丸」漁師・仲地慶祐さん:
魚が減っていて、どうにかしないといけない。明らかに魚を取りすぎている。“資源管理”が大事になってくる。

さらに、魚の鮮度を長く保ったり、臭みを抑えるための血抜き、神経締めといった高度な処理技術を学習します。

「さかな人」代表・長谷川大樹さん:
一匹一匹に時間をかけて丁寧に「神経締め」することで、最終的な味、レストランで作った時のお皿の価値が上げられる。

処理によって料理の質や保存性にどう影響するかまでを考え、レストラン研修へ。

「メログラーノ」シェフ・後藤祐司さん:
魚の全体数がそもそも少ない。豊洲で仕入れをする時も、良い状態の魚が少ない。

使用頻度の少ない魚や、市場に出ずに廃棄される「未利用魚」などを活用した持続可能な料理開発にも触れ、食文化を守る技術を身につけていきます。

「北海道大学」水産学部・加藤桃香さん:
出合ったことのない魚や調理方法、初めて見るものばかり。

様々な現場に足を運び、過剰漁獲、海の環境汚染など、魚が減り続ける理由を知った学生たち。

寿司職人になる学生も、本番に向け就職間近で坊主頭に。

どんな料理を提供するかみんなで考えていき、いよいよレストランオープンです。

100年後も豊かな魚食文化を守るため、使用頻度の少ない魚を活用したり、海の課題を反映した料理を次々と提供します。

「海のプレート」は“今”と“未来”で用意しており、“今”のプレートではアサリやアナゴ、スルメイカなど5種類の魚料理を乗せていましたが、“未来”のプレートでは、そのような愛されている海産物が食べられない未来を表現しました。

100人以上のお客さんに向けて調理・料理説明を行う学生たちの姿が。

無事に全プログラムを終えて、学生たちは「海の課題に対して多くの仲間が取り組んでいること、小さな一歩を踏み出し続けられる寿司職人になりたい」「食を通してメッセージを伝えられる場所。食で思いを伝えられる仕事がしたい。この5カ月間で魚や海への思いが強くなった。未来でも魚が食べ続けられる提供方法を選ぶ」と振り返りました。