「この疑惑は軽視できない問題なのに、高市総理は曖昧な答弁をしている」
関西テレビ「旬感LIVE とれたてっ!」に出演した政治ジャーナリストの青山和弘氏は、「週刊文春」が報じている、高市陣営が去年の総裁選やことし2月の衆院選で、誹謗中傷動画を作成し、SNSで拡散したという疑惑をめぐる国会審議をこう評しました。
そして、高市総理は「良くも悪くも自分で仕事を抱え込んでしまうタイプ」だと指摘し、「何か自分に都合が悪いときがあったときに、“みんなで相談して”という体制ができていないという問題が露呈した」と説明しました。
■週刊文春が報じた内容と高市総理の答弁
ことの発端は4月29日、週刊文春が、去年10月の自民党総裁選及び、ことし2月の衆院選において、高市陣営が他の候補などを誹謗中傷する動画の作成・発信に関与したと報道したことでした。
これを受けて高市総理は5月11日、「他の候補に関するネガティブな情報の動画の作成・発信は一切行っていない」と否定。
5月28日には「特定の候補・人格を批判したことはない。それが私の主義であり矜持」とも述べ、秘書と動画作成者のやり取りについては「確認もできず、記録もない」と説明しました。
そして6月3日、週刊文春は動画作成者と秘書のオンライン会議の音声データを有料会員向けに公開しました。
高市総理は6月4日の参議院予算委員会で「有料会員ではないので確認できない」と答えましたが、その後、確認したといい、翌日には「秘書本人かどうか、あのような音声をもとに判断することは難しい」と答弁するなど繰り返し報道を否定。
音声が本人のものか確認したのかという質問には、秘書が「なぜ有料会員にならないといけないのか」などと話し、「キレられた」と説明しました。
■青山氏「民主主義の土台に関わる問題」と指摘
青山氏はこの問題について「民主主義の土台に関わる」と厳しく指摘します。
【青山和弘氏】「自民党総裁選と、2月の総選挙でも、このような誹謗中傷動画を主導したと今指摘されている。
この動画がどれだけ選挙結果に影響を与えたのかは難しいですけれども、一定程度影響を与えた可能性は、今このSNSの時代だから十分あります。
“SNSと選挙の関係をどうしようか”とまさに国会で、法律でどのように制限しようかと話し合っている最中。
まさにそういった段階で、総理大臣の陣営がもしこういったことを指導していたとしたら、大変な問題。
一部言論の中には、“森友・加計”と安倍さんのときに出てきた問題と同列する見方もありますが、まさに民主主義の土台に関わる問題なので、そういう意味では私はより重い問題だと言っていいと思います」
■法的責任は?「道義的問題は免れない」
現時点での法的リスクについても、青山氏は具体的に言及しました。動画の作成者に金銭や利益が渡っていた場合、利益誘導罪に問われる可能性があるということです。
作成者は「無償でやった」と説明していますが…
【青山和弘氏】「この動画を作成した人は”サナエトークン”の作成にも関わっていた人なので、そこで利害が一致していたんじゃないかという指摘も野党から出ています。
罪に問われるかどうかはそういったところで変わってくる。ただ、間違いなく道義的な問題は免れない。
公設秘書ですから、税金で高市さんが指名して雇っている人です。監督責任は免れないし、公職選挙法違反となれば、連座制の適用になる可能性もある。そんなに簡単な話ではないということは確かです」
同時に青山氏は、現時点では、誹謗中傷動画の作成・発信を直接禁じる法律は存在しないと指摘しました。
【青山和弘氏】「有料でなければ表現の自由もある。選挙の途中の映像を流したり、政策を批判したりするのはいいんです。そことの線引きをどう作るかを今まさに話し合っている最中に、こういう問題が起きているということです」
■青山氏 高市総理は「良くも悪くも自分で仕事を抱え込んでしまうタイプ」
青山氏は、高市総理が”一人で抱え込むスタイル”であることが影響しているという見方を示します。
【青山和弘氏】「基本的に高市さんという人は、良くも悪くも自分で仕事を抱え込んでしまうタイプ。よく言えば責任感はあるけど、悪く言うと周りの人と協力体制をなかなか取らないタイプ」
具体的なエピソードとして、青山氏は国会答弁の準備過程を挙げました。
音声データの確認を求める野党からの要請は、審議の前日昼の段階で来ていたといいます。
【青山和弘氏】「歴代総理であれば、政務の秘書官や官房副長官らとチームで『どうやって音声を入手し、どういう答弁をするか』を話し合います。答弁のすり合わせをして、防衛ラインを決める。
ところが高市さんは、自分1人で決めてしまう。予算委員会でこういう質問が出ると知ったのも、『朝の3時半だった』と言っている。有料会員になる術がないから、『確認できませんでした』で当日を迎えてしまっている」
■「官房長官でさえ『何でそんなこと言ったの』ということも」と青山氏
その結果、情報共有の齟齬が生じ、今回の予算委員会の答弁では「官房長官さえ、なぜそんなことを言ったのかと首をかしげることがあった」と、青山氏は自身の取材をもとに明かしました。
【青山和弘氏】「そもそも高市さんというのは、色んな人に相談しないし、秘書官を入れずに1人で確認して、分からないことがあったときだけ秘書官に連絡して、『これどうなってんの?』と聞くというやり方をしている。
そういうやり方をしていると、どうしてもそこで知恵とか出てこないし、みんな同じ防衛ラインで行きましょうというのが確認できていないので。
例えば今回の予算委員会の答弁でも、官房長官さえ『何でそんなこと言ったの』ということも実際あったと私の取材では聞いている。
どうしても“攻め”のときはいいけれども、危機管理、“守り”のところで弱いという、このチーム高市の弱さが今回ある意味、露呈したケースじゃないか。
高市さんは“やりたいことがしっかりしていてぶれない”というところもあるが、何か自分に都合が悪いときがあったときに、“みんなで相談して”という体制が、実はできてないんじゃないかという問題が露呈した」
(関西テレビ「旬感LIVE とれたてっ!」2026年6月8日放送)