北海道旭川市の女子高校生殺害事件の裁判が結審し、検察側は内田梨瑚被告(23)に懲役27年を求刑した。判決の焦点は殺人の実行行為と殺意の有無で、内田被告の証言の信用性や供述の変化に加えて、裁判員がどのように判断するかが注目される。
旭川17歳女子高校生殺害 “主犯”内田被告に求刑…なぜ懲役27年?
榎並大二郎キャスター:
旭川市で起きた女子高生殺害事件で、内田梨瑚被告の裁判が結審しました。
山﨑夕貴キャスター:
きょうの裁判、そして判決に向けてのポイントについて、ここからは平松解説副委員長に聞いていきます。
平松英敏解説副委員長:
よろしくお願いします。
遠藤玲子キャスター:
無職の内田梨瑚被告(23)は2024年、北海道旭川市で、当時17歳の女子高校生をつり橋から川に落として殺害したなどとして殺人、監禁、不同意わいせつ致死の罪に問われています。8日、旭川地裁で開かれた裁判で、検察側は、「(高校生の)尊厳を踏みにじる極めて残忍で悪質なもの」と指摘、内田被告に対し懲役27年を求刑しました。
榎並キャスター:
平松さん、求刑は懲役27年ということですが、刑の重さはどうみればいいですか?

平松解説副委員長:
女子高校生を4時間監禁して暴行を加えて、気温5度で小雨の降る中、屋外で全裸にして、その様子を動画で撮影した上で、橋の上から突き落として殺害した罪です。あまりにも残虐で悪質、人間の尊厳を踏みにじるものです。しかもご遺族が、極刑を望んでいる。てっきり無期懲役が求刑されるかと思いました。しかし検察は、共犯の女が懲役23年の判決が確定していることを考慮し、その判決とのバランスを考えて、懲役27年を求刑したとみられます。つまり、裁判の公平性を重んじたということです。
判決の焦点は殺人の実行行為と殺意の有無
遠藤キャスター:
では判決に向けて、どんな点がポイントになってくるのでしょうか?
遠藤キャスター:
平松解説副委員長によると「殺人罪が成立するかどうか」が最大の焦点で、ポイントとなるのがこちらの2つ。【1】殺人の実行行為の有無 【2】殺意の有無 を裁判所がどう判断するかがだといいます。

遠藤キャスター:
1つめの「殺人の実行行為の有無」については、共犯の女は、「内田が肩甲骨あたりを両手で押した」と法廷で証言、内田被告が橋の欄干から女子高校生を落としたとしています。一方で、内田被告は「橋から落下させていない」と殺害の実行行為を否認しています。
山﨑キャスター:
平松さん、この食い違う主張を裁判所はどうやって判断するのでしょうか?

平松解説副委員長:
ポイントは、内田被告の仲間である共犯の女とX(暴行を目撃した少年)の証言です。この2人の証言を、裁判官と裁判員がどう評価するのか。共犯の女は自らの罪を認めて、懲役23年の判決を受け、確定しました。そうした証人の証言は、かなり信頼性があると判断されます。なぜなら、自分に不利益なことまであえて認めているからです。さらには、Xは内田被告の「落ちろ」「死ねや」という声を聞いたと証言している。これは共犯の女の証言を裏付けています。このような状況から見て、検察側の主張の方が理に適っていると判断されるのではないか。

遠藤キャスター:
2つめの「殺意の有無」については、内田被告は初公判で「殺意はありませんでした」と証言した一方で、被告人質問では「人が死ぬ可能性は分かっていた」「今は殺意があったと言われても当然」という証言もしています。
山﨑キャスター:
裁判の中で内田被告の証言がやや変わった印象もありますが、こうした点は、判決に影響はあるのでしょうか?

平松解説副委員長:
法廷戦略の一つとも言えるのではないか。仮に殺人罪が成立するとして、量刑を少しでも軽くする狙いがあるということです。実際に被告人質問では、内田被告は「取り返しのつかないことをした」などと反省の言葉を述べています。遺族への謝罪を口にして、涙を流す場面もあったということです。裁判官と裁判員が、この態度を一定の反省の態度とみるかどうかが注目されます。
遺族の強い処罰感情…裁判員の判断は?
遠藤キャスター:
論告に先立つ意見陳述で、高校生の母親の代理人弁護士は「より重い厳罰を心より願っている」との言葉を代読しました。
遠藤キャスター:
また父親は法廷で被告を指差しながら「どうか、私の娘が望む判決を下してください」と泣き叫びながら訴えました。
榎並キャスター:
遺族は強い処罰感情を持っていますが、双方の主張が対立しているなかで裁判員がどう判断するのかも注目されますね?

平松解説副委員長:
裁判の流れをみると、内田被告には圧倒的に不利であり、有罪になる可能性は高い。あとは、どういう量刑になるのか。裁判員という一般市民が、人の尊厳を踏みにじるような殺人事件に、 どういう判断を下すのか。懲役27年をまるまる認めるのか、それとも、減軽、軽くした判決にするのか。その点が注目されます。
(「イット!」6月8日放送より)
