飼い主のいない野良猫たちを地域でお世話する、保護猫活動。
動物の殺処分を減らそうと、さまざまな地域で広がっています。
大阪では、住み着いた猫たちが観光客に人気となっている地域もあります。
保護猫活動に密着取材すると、マナー違反などのトラブルや厳しい現実も見えてきました。
神社の境内で猫にエサを与えている女性。
地域に住み着いた野良猫を世話している山本光恵さん(63)です。
山本光恵さん:
地域の方みんなで見守っていこうと活動をさせていただいています。
山本さんは飲食店を営む傍ら、10年以上前から猫の保護活動を行い、これまで約450匹の野良猫を保護してきたといいます。
今では地域の人気者となった猫たち。
一方でさまざまな問題も抱えています。
猫の健康を脅かす“身勝手なエサやり”。目の当たりにした保護活動の厳しい現実。
その実態を取材しました。
イット!取材班が訪れたのは大阪市曾根崎にある、“お初天神”の名で知られる「露天神社」です。
参拝客でにぎわいを見せる中、ひときわ注目を集めていたのは…、神社に集まる何匹もの猫。
今では猫を目当てに訪れる観光客も多く、神社では猫をモチーフにした御朱印なども売られています。
また、ここにいる猫をよく見てみると…。
山本光恵さん:
耳のカットされたものが桜の花びらになるから“さくらねこ”。去勢不妊手術をしているという印。この地域で見守っているという印にもなります。
山本さんたちが行っている保護猫活動とは、野良猫を捕獲し、動物病院で不妊去勢手術を受けさせ、元の場所にかえすこと。
その後もトイレやエサ場などの管理をし、世話をしながら共生を目指しているのです。
山本さんたちがこの活動を始めたのは10年ほど前。
多くの飲食店が軒を連ねるこの地域では、かつて繁殖する野良猫の鳴き声やふんなどの悪臭被害に悩まされていたことがきっかけでした。
現在は15人のメンバーが町会などに許可を得て約100匹の、さくらねこの世話をしていますが課題も…。
保護猫活動を行っているサポートメンバー:
エサ代は個人で出していて、毎日(猫の)ご飯補充していくというのが結構大変なんですけど。
こうした地道な活動もあってか、大阪市では2014年度に約2200匹が殺処分されていましたが、2024年は150匹と15分の1にまで減少したのです。
しかしトラブルは絶えないといいます。
この日「野良猫がいる」との連絡を受け訪れた、山本さん。
現場に到着すると…、黒い野良猫を発見。
捕獲器を設置し、その場を離れますが、何と、地面に無造作にまかれた猫の餌を発見。
山本光恵さん:
こんな砂の上に(エサを)置くとね、猫も砂を食べてしまうので、こういうやり方は一番してほしくない。
エサと一緒に砂を飲み込むと、猫が病気になる恐れがあるだけでなく、放置されたエサが異臭を放つといいます。
置きエサをやめるよう注意を呼び掛ける貼り紙も貼っていたのですが…。
翌朝、設置した捕獲器の様子を見に来ると、そこには猫ではなく1人の男性の姿が。
話を聞くとこちらの男性、何と、前日にエサを置いていた人物だったのです。
「かわいそうだと思って(エサ)あげるのはいいんですけど、せめて皿かなんかに入れてください」と、山本さんが男性を説得。
保護猫活動に理解を示し、帰っていきました。
しかし、置きエサ問題は解決したものの、肝心の黒猫の捕獲は難航。
山本光恵さん:
警戒心の強さにびっくり。今までで初めてってぐらい。
熟練の山本さんでも、野良猫の捕獲は一筋縄にはいかないといいます。
別の場所でも捕獲を依頼された山本さん。
そこで目にしたのは野良猫ではなく…、建物の隙間にいたのはじっとこちらを見つめる“さくらねこ”だったのです。
猫は、けがをしていたのか足を引きずりながら奥へと行ってしまいました。
山本光恵さん:
だいぶ弱っている可能性があるので、捕獲器を仕掛けてちょっと様子を見てみます。
しかし翌朝、事態は一変。
取材班が現場に駆け付けると、捕獲器の隣に1つの段ボール箱が。
山本光恵さん:
(Q.その段ボールなんですか?)連絡をいただきまして、猫が亡くなっていたということで。昨日の子やわ、ずっと動かなかった子。だいぶ弱っとったんやな、かわいそうに。助けられへんでごめんね。病院連れていけばよかった。いや、もうやっぱりつらい。この活動して一番つらいのはね、本当に外猫が亡くなるのが一番つらい。毎回毎回泣かんとこ思うけどね、野良猫がおるというのは、私ら人間がつくった罪ですよ。
保護した猫はもといた場所へと放されるため、けがや病気などその後の体調の変化に気が付きにくいといいます。
山本さんは「もう課題としては、年老いていく猫たち。できるものなら引き上げたいという気持ちはありますけど、それはできない」と話します。
それでも山本さんたちの懸命な活動が理解を得て最近では、保護した猫を引き取る人も増えてきているといいます。
山本光恵さん:
(保護猫活動を)全うできるような形で見守っていきたいなと。(保護猫活動を)私は誇りに思っています。