北海道旭川市で2024年、全裸の女子高校生が橋から転落し死亡した事件で、殺人などの罪に問われた内田梨瑚被告の6回目の裁判が6月3日に行われた。

 被告人質問のほか、内田被告の母親が証人として出廷し、娘への思いを語った。

■「自分の都合のいい話しかしていないんじゃないですか」変わる供述

 被告人質問から始まった3日の裁判。内田被告は初めてマスクをしないまま法廷に現れた。

 開廷直前まで手元の資料を確認し、落ち着いた様子で証言台に座った内田被告。しかし、検察側からの質問は鋭かった。

 まず検察側から「供述調書はすべて目を通しましたか」と問われ、内田被告が「はい」と答えると、供述調書と5日目の被告人質問との矛盾を指摘する質問が続いた。

 Q5月29日の被告人質問では女子高校生と会う目的はお金ではないと言っていたが、変更はないですか?
 はい

 Qラインで「50万積ませるわ」と共犯の女らに連絡していましたよね?その目的で会いに行ったんじゃないですか?
 違います

 Q供述調書には「黙って乗ってろよ。バッタバタにしてやるから」と供述していますが、会う前に暴力ふるおうと思っていたんじゃないですか
 違います

 Q当時検察にはどう説明したんですか
 すみません、覚えていないです

 Q職場でのストレス、けんかしていないのでうっぷんがたまっていたとありますが今もそう認識していますか
 はい

 Qなぜ5月29日にそう言わなかったんですか
 当時の気持ちが思い出せなかったからです

 Q裁判が始まるまで、当時の気持ちを思い出したり、供述調書を読んだりして整理してこなかったのですか
 しました

 Q自分の都合のいい話しかしていないんじゃないですか
 違います

 受け答えの声が徐々に弱々しくなる内田被告。ところどころ言葉に詰まり、服を脱がせた理由について問われると、2分ほど沈黙が続く場面もあった。


 その後、欄干の上に女子高校生を座らせた場面について問われると…

 Qあえてそのような状態に置いて、泳いで助からないのはわかっていたんじゃないですか
 はい

 Q人が死ぬ可能性があるとわかっていたのではないですか
 はい

 Qそれは殺意があるのだと思いませんか
 今は思います

 Q今は思うというのは?
 当時は殺意があって座らせたり体を押したりしたわけではなかったですが、今はそんなに危険なことをしていたので殺意があったと言われるのは当然だと思います

 5月25日の初公判ではっきりと「殺意はなかった」と話した内田被告。しかし6月3日改めて当時の自分の行動を振り返って「殺意があると思われるのは当然」と語った。

■内田被告と懲役23年の“舎弟”の女

 5月27日、証人として出廷した共犯の女。内田被告に“舎弟”と呼ばれ、懲役23年が確定している女は、「梨瑚さんの調書は全部でたらめで、最初から最後まですべて嘘です」と語っていた。

 内田被告は3日、共犯者の女の供述に対して初めて意見を述べた。

 「殺意を認め懲役23年が確定した受刑者の立場からすれば、事件から2年経った今も殺意について争っている私に対し腹立たしい気持ちがあるのかなと思いました」

■「同じ目にあわせてやりたいが、できない。極刑を望む」遺族の思い

 午後には死亡した女子高校生の遺族の供述調書が読み上げられる場面もあった。

 「私の一番の願いは生きて帰ってくることです」

 「生きているのか死んでいるのかわからないなか、家族みんなで探しました」

 「遺体の損傷が激しいので見ない方がいいと言われ、さらしでぐるぐる巻き、顔見るのもできず、髪の毛1本も見えなかったので、目の前にいるのが本当に娘なのかわからなかったが、警察からDNAで娘だと…」

 「生きたまま橋から落とされたとき感じた恐怖や悲しみはどれほどのものだったか」

 「死んでしまったとわかって本当に悲しかったです。一方でやっと帰ってきてくれたとも思いました」

 「犯人を同じ目に遭わせてやりたいですが、わたしにはできません。犯人には極刑を望みます」

 遺族の心の叫びが痛いほど伝わる供述調書。内田被告はどんなことを思っていたのか…

 聞いている間、その表情を変えることはなかった。


■母出廷で内田被告が初めて見せた涙…「梨瑚の証言を信じています」

 証人尋問には内田被告の母親が証人として出廷した。

 母親は内田被告を明るい性格としたうえで、高校時代の交友関係について「友人関係がすごく広くなって私の把握できないような広い友人関係になりました」と証言。

 裁判が始まって6日。母親の証言を聞き、内田被告が涙を流す場面もあった。

 暴力団関係者との付き合いを知っていたか問われると、母親は「はい」と答え、梨瑚被告が20歳くらいのときに暴力団関係者から電話で「金を貸しているので返してほしい」と言われ、夫婦立ち合いのもと、金を返したことを明かした。

 そして「2度と関わるんじゃないと怒って約束させました」と話した。

 その先も関係を切らずこのような事件を起こした内田被告。母親は内田被告が逮捕されてから2年間、毎日面会に行っていたという。

 事件が起きたことについては「後先考えず自分の欲求のために周りを振り回して間違った行動をしたと思っています。成人してましたけど大人になり切れず人としても未熟で正しい判断をできなかったんだと思います」と話したうえで、「梨瑚の証言を信じています」と言い切った。

 被告人質問は4日も引き続き行われる予定だ。内田被告の証言はどう変わっていくのか。裁判の行方が注目される。

北海道文化放送
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