初詣を前倒して行う“幸先詣”でコロナ対策

2020年も、残すところあと1カ月半ほどで終わる。

既に政府の新型コロナウイルス対策分科会が、感染予防対策として、年末年始の休暇を1月11日までの延長や分散を求める提言をしているが、多くの人が三が日に「初詣」で訪れる神社でも、対策に乗り出した。

例年三が日には60万人の人が訪れるという広島市の広島護国神社では、初詣を前倒して行う幸先詣(さいさきもうで)を呼びかけ、人の密集を緩和させようとしている。

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たしかに三が日には、どこの神社にも多くの参拝者が集まり、対策をしないと初詣で密になることが予想される。

では、あまり聞き慣れない言葉の幸先詣は、具体的にはどのようなものなのだろうか。初詣とどんな違いがあるのだろうか?
広島護国神社にお話を伺った。

破魔矢・熊手・土鈴などの縁起物も年内に授与

ーー幸先詣は、前倒しで行うこと以外にどのような意味があるの?

年内にその一年のお礼参りということは昔からありましたが、この幸先詣とは、元々あったものではなく、新型コロナウイルス感染予防対策として、初詣の分散を目的とした試みです。様々な新しい生活様式が提唱されている中の一環としてご理解ください。

命名の由来は「幸先よく新年を迎えられますように」という願いが込められていて、「年内に神様へ今年1年間の神恩を感謝し、新たな年のご加護を願うというもので初詣の混雑を避け、ゆったりとご参拝いただき、新年の『幸(さち)』を『先(さき)』に戴きましょう」という意味です。

当社の場合は、期間は12月13日の「正月事始め」の日から12月31日までです。正月事始めとは、新年を迎えるための準備を始める日として、昔から「煤払い」や、門松の材料を取りに行く「松迎え」、お雑煮をたくための薪などを山に取りに行く習慣がありました。また幸先詣では、例年年明けに授与していた破魔矢・熊手・土鈴などの縁起物も年内に授与もいたします。

ーー年を越さずに“初詣”をしても問題はないの? ご利益などに変化はある?

初詣というのは江戸時代ぐらいからのもので、古くは年末年始に「年籠り(としごもり)」や「恵方参り(えほうまいり)」や「初縁日(はつえんにち)」など様々な形があり、現在のような初詣の形式はここ100年ぐらいのものです。

元々正月は、歳神様を自宅に迎えるもので、門松は目印、鏡餅は歳神が宿るご神体のようなものでした。一般家庭にしめ縄を飾るのも神様を迎えるからでした。ですから、年末年始の参拝には色々な形があっても問題はないと考えます。


ーー人が密集しないようにその他の行事を早めたり、分散させたりする予定は?

幸先詣だけではなく、初詣の分散をしていただくために、本来は立春正月と言って立春から年が変わる2月までにお参りいただければ大丈夫だという告知などを行います。

おみくじは結ぶ所を設置しない

ーー他にはどのような新型コロナの感染防止対策をしている?

感染症の専門家の医師の助言をいただき、当社の立地が広島城址で出入口が2カ所あるため、三が日限定で入口と出口を決めて参拝者の流れを一方通行にするということを基本にして、その他、密集を避けるために、手水舎を封鎖し、授与所では御守、御札などの見本や一覧の看板を設置して、不特定多数の人が授与品に直接触れないようにします。

また、おみくじは結ぶ所を設置せず、すべてお持ち帰りいただきます。更に願い絵馬も掛け所を設置せず、書いたらその場でお預かりして後日お祓いと祈願をするように変更します。


ーー参拝者にはどのようなことを呼びかけたい?

神社としても様々な対策や方法を講じて対処しますので、その趣旨をご理解いただき、参拝される多くの皆様が何よりも安全に安心して参拝いただき、気持ち良く新しい年をお迎え頂きたいと思います。

例年の初詣の様子

幸先詣は元々あったものではなく、新型コロナ対策として考えられたものであった。広島護国神社の幸先詣の期間は12月13日から31日までで、年明けの初詣も2月までのお参りでも大丈夫だという。

なお幸先詣は、広島護国神社の他に、邇保姫神社(広島市)や日峯神社(北九州市)などでも呼びかけている。人の密集が予想される三が日を避けたいという人は、幸先詣でのお参りも検討してほしい。
 

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