新型コロナウイルスの感染拡大はいまだに終息の兆しが見えない。
そんな中、シリーズで連載する「名医のいる相談室」では、各分野の専門医に病気の予防法や対処法などをわかりやすく解説してもらう。

今回は、「過敏性腸症候群の原因と治療方法」について、大腸・肛門外科の名医・前田孝文先生に話を聞いた。 

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前田先生は、辻仲病院柏の葉で便秘の専門外来を担当する医師。

便秘と下痢を繰り返すのは「過敏性腸症候群」

<質問>
下痢・便秘の症状が続く原因は何ですか?

前田孝文先生:
便秘と下痢を繰り返す人でお腹の痛みを伴う場合、便秘症ではなくて「過敏性腸症候群」である可能性があります。

過敏性腸症候群の人は、便秘でお腹が痛くなったり、下痢でお腹が痛くなったりします。便が出ると痛みは和らぎます。便秘と下痢を繰り返すタイプの過敏性腸症候群もあります。

腸の中に何かできているというよりも、機能的な問題で症状がでてきます。腸の動きになんらかの問題があり、痛みや便秘・下痢を引き起こすのです。
 

善玉菌」「悪玉菌」「日和見菌

<質問>
代表的な腸内細菌は何ですか?

前田先生:
大腸の中には1000種類以上の腸内細菌が100兆個以上もいると考えられています。人間の体を作る細胞を全て合わせても37兆個程度と言われているので、いかに腸内細菌が多いかわかると思います。

腸内細菌は人間にとってどのような働きをするかで、「善玉菌」「悪玉菌」「日和見菌」と分けて考えることが多いです。

善玉菌は人間にとって良い働きをする菌のことです。体によい酸(乳酸や酢酸・酪酸(らくさん)など)を作ることなどで、腸内環境が良くなったり、免疫力が上がったりすることがわかっています。

ある種の善玉菌はエクオールという物質を作り、その作用によって皮膚のしわが少なくなるといった美容的な効果がわかっています。また、うつ状態など精神状態に関係するセロトニンの産生に関わる善玉菌がいることもわかっています。

一方、「悪玉菌」が増えると腸内環境が悪化するだけでなく、腸炎を起こすこともあります。
 

水溶性食物繊維をたくさん摂ること!

<質問>
便秘型の過敏性腸症候群の対処法は?

前田先生:

一番は、やはり食事に気を付けましょう!
基本的な考え方としては食物繊維のうち、水溶性食物繊維をたくさん摂ることが大事です。
食物繊維は肉や魚には含まれず、野菜に含まれています。
 

水溶性食物繊維を多く含む、お勧め野菜は「ゴボウ」です。普段私たちがよく食べる食材の1つでとてもお勧めです。
 

ゴボウより水溶性食物繊維が多く含まれる野菜は?

一番多く水溶性食物繊維が含まれているのは、実は「らっきょう」です。

らっきょうはとても食物繊維が多いのですが、食べ方に少し注意が必要です。私たちがよく食べる、らっきょうの甘酢漬けの場合、甘酢に食物繊維が溶け出してしまいます。生のらっきょうを調理して食べるのが、一番効果的です。
 

甘酢漬けの場合は、甘酢も併せて摂取することをお勧めします。
 

名医のいる相談室
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