自由気ままな子どもたちに、いつも親はハラハラドキドキ、時にもやもや。
「笑った!困った!」…でもウチの子はどうしてこんなことするんだろう。その行動の裏には、知られざる“子どものココロ”が隠されているはず。

今回、元気なココロちゃんとマナブくんきょうだいの育児に追われる小木(こぎ)さん一家に寄せられたのは、こんなエピソード。

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「カーテンの隙間や床に落ちているゴミ……ある日突然、いろいろなものに『怖い!』と言い出した……一体どうして?」

今まで何でもなかったはずのものを突然怖がりだした子どもたち。
「おばけ」や「虫」など、大人でもちょっとコワイものならわかるけれど、ネット上では「洗濯機」「トイレの窓」「おもちゃの恐竜」「ぬいぐるみ」などなど、どうしてこれが怖いの?と首をひねってしまう物も……

育児に役立つ“子育て心理学”を発信している公認心理師・佐藤めぐみさんに、“いきなり何でも怖がる”子どもゴコロについてお話を聞いた。


――何でも恐がる子ども…理由は?

心理学で、「闘争・逃走反応」と呼ばれるものがあります。同じ“とうそう”でも、“戦う”と“逃げる”なので、リアクションが真逆なのですが、いずれも恐怖を感じたときに、わが身を守る防衛策です。このように、人間は生き延びるために、自分を脅かす存在に対し、大きくリアクションするようにできているので、その子が怖いと感じたら、その子にとってはそれが恐怖の存在となります。ですので、年齢はいつでも起こりうると言えます。

ただ一方で、起こりやすい年齢はあるように思います。赤ちゃん時代は怖いもの知らずで、公園や動物園などで自分より大きい動物にも平気で近寄っていってしまっていた子が、なんらかのきっかけで動物を避けるようになったり、あとは幼稚園くらいで暗さやお化けを極端に怖がるようになったりというお話しはよく聞きます。

これは、想像力や記憶力の発達とも関係していると言えます。たとえば、おばけが怖い子は、暗い部屋の中におばけがいるイメージを頭に想像しているものですが、このような「あるイメージを頭に浮かべる」というのは、認知面の発達とともにできるようになってくることで、生まれたての赤ちゃんにはできません。その点を踏まえると、幼稚園時代あたりが、年齢的には多いように思います。

お化けやおもちゃの恐竜などはこれで説明がつきますが、「どうしてこれが?」という 想定外の対象物(洗濯機など)は、なんらかのきっかけがあったと考えられるでしょう。たとえば、あるとき洗濯機の方から大きな物音がして、びっくりしてしまったなど。 その対象物自体でなくても、それに付随した刺激により、「怖いもの」とインプットされ てしまうことは、心理学の実験でも明らかにされています。 


――どんなものが「怖い」と思われがち?

○○恐怖症という言葉を聞いたことがあると思いますが、この○○に入る対象はある程度決まっています。つまり、人間が怖いと感じやすい対象は、わりと似通っているということです。 子どもの怖がりでとくに多いのは、次の3つのカテゴリーです。

・暗闇系(暗い部屋や場所、そこでの物音、それに伴ってお化け、鬼など)
・病院系(痛い注射、白衣を着ている先生、歯医者さんなど)
・生き物系(ヘビ、クモ、昆虫など)

親が「困った」と感じやすいのも、おそらくこの順番でしょう。暗い部屋が怖くなると、トイレに1人で行けない、寝るのが怖い、など日々の生活に支障が出やすく、親の困り感が高まります。また、予防接種や検診などの病院系は頻度は多くないものの、その1回のパンチが子どもにとって大きいので、これもまた親泣かせになることが多いものです。もちろん、一番困っているのは、その子自身なのですが……。

以前はなんでもなかったものを怖がるようになるのは「想像力」と「記憶力」が育ってきている証拠かも。
想像が膨らみあれこれ“連想”できるようになるのは成長の証だが、カーテンの隙間からおばけが出てきたら、床に落ちているゴミが実は苦手な虫だったら……そんなマイナスのイメージを思い浮かべてしまうのが、「なんでも怖がり」に繋がっているのかもしれない。

「怖くないよ」はNG声掛け

とはいえ、「トイレの窓が怖い!」と言ってひとりでトイレに行けなくなってしまった…というのは、パパママにとっても困りもの。
「こんなもの怖くないよ!」と笑い飛ばしてあげるのがいいのか、それとも、怖くなくなるまで根気よく待つべき?


――パパママはどんな風に声かけしてあげるのがいいの?

いったん怖がるようになると、親が「怖くないよ」と言っても、残念ながら恐怖はなくなり ません。
親からすると、「なんでこんなものが怖いの」と言いたくなることがありますが、その子にとって怖いものは怖く映ってしまうものなので、親の主観で諭すのはやめましょう。

恐怖心は、慣れることで緩和されることが多く、実際に心理療法でも、怖い存在に少し触れつつも、「大丈夫だった」という体験を繰り返し、徐々に恐怖を和らげる方法が用いられています。たとえば暗闇が怖い子であれば、暗い所なのにドキドキしないで済んだという経験が大事になります。暗い部屋に1人で入るのは無理でも、家族みんなで夜空のもとお散歩したり、花火をしたりするのは大丈夫な子も多いと思います。楽しいことと組み合わせるのはやりやすい方法でしょう。

でも、一番大事なのは、恐怖の引き金を引かないことです。怖がりは、いったんはじまってしまうと、長引く傾向があるからです。これは、大人の導き方で工夫できることも多いので、2つ大事なポイントをお伝えしておきます。

まず1つめは、恐怖は学習によるものがほとんどなので、親自身も大げさに怖がらないことが大事になります。虫を極端に怖がるお母さんの子はたいがい虫を怖がるように、親の声かけやふるまいは子どもに影響を与えることが多いので、言動、行動ともに、子どもに恐怖感を学習させていないかを気にされていくといいと思います。

次に、「鬼が来るよ」「おばけが来るよ」と言って、言うことを聞かせようとするのも要注意です。子どもが即効言うことを聞いてくれるので、「これはしめた!」とキメ技にしがちですが、「おばけが来るから早く寝なさい」で早く寝ていた子は、のちのち「おばけが来るから怖くて寝られない」ということになりかねません。鬼やお化けをしつけに使ったことで、怖がりが促進されるケースは多いので気をつけてください。


「聞きコミ PRIME online」では皆様からの「育児あるある」エピソード投稿をお待ちしています。

・「もういらない」と言ったから代わりに食べたおやつ。「やっぱり食べる!」と言われて大慌て…同じものを用意しても「さっきのがいい!」と泣かれて大苦戦!
・無くしたと思っていたスマホを冷蔵庫の中から発見!なんでここに入れちゃうの!?

などなど、あなたの「育児あるある」に隠された子どもたちの気持ちを探ってみませんか?

※入力された内容は記事で紹介させて頂くことがございます。
※改めて取材をさせて頂く場合もございます。

(解説:佐藤めぐみ/公認心理師)
英・レスター大学大学院修士号取得・オランダ心理学会認定心理士。欧米で学んだ心理学を日本の育児で取り入れやすい形にしたポジ育メソッドを考案。アメブロの「ちょっと子育て心理学」(http://ameblo.jp/la-camomille/)にて発信中。

(漫画:さいとうひさし)