バイデン候補勝利演説も…
アメリカ大統領選挙はバイデン候補の勝利にようやく至った。
旧知の日本の警備当局元幹部は早速「これで4年以内に女性大統領が誕生しますね。(万が一を防がなければならない)警護担当のシークレットサービスは多忙になります。」
と半ばジョークながら、気になる発言をしている。
確かにそうだと思う。
内容についてここでは触れないが、バイデン候補の先程現地7日夜の勝利演説は声の張りという点では20歳くらい若返ったような力強さだった。
戦いに勝利したという高揚感の為せる業でもあるのだろうが、既に喜寿を迎えた御仁とは筆者には思えなかった。

しかし、この演説に登壇した際のバイデン候補の小走りはやはり年齢を隠せなかったように思う。
もちろん、その齢を考えれば十分立派な走りっぷりだったが、就任時に78歳になっている史上最高齢の大統領がいつまでその職務を続けられるのか、小首を傾げざる得ない向きはやはり多いのではないだろうか。

早くも4年後を考える
つまり、バイデン大統領が2期目を目指して4年後も選挙戦を戦うのは極めて想像しにくい。
そして、そうならば、当然、ハリス副大統領が民主党候補の一番手になる。
余程の不測の事態が起きない限り、初の女性・黒人副大統領が、初の女性大統領を目指すことになる。
この見方が冒頭の元幹部の発言に繋がる訳である。
となると、共和党は、今回の敗戦の反省を生かしつつ、右派ながら中道寄りの白人女性を候補に押し立ててくるかもしれない。
そうしなければ対抗できない可能性が高い。
鬼が笑う話になってしまい恐縮だが、実際、ハリス次期副大統領の“勝利演説”は既に相当にプレジデンシャル(=大統領にふさわしい)でもあった。
そう、早くも4年後を考えざるを得ないほど、バイデン候補は高齢なのである。

敗北を認めていない トランプ大統領
敗れたはずのトランプ大統領は、この原稿執筆時点で敗北を認めていない。
どんな根拠があるのか不明だが、法廷闘争に望みをつないでいるらしい。
この大統領はやはり尋常ではない。
ワシントン在住の知人は「この際、彼にはフロリダでゴルフ三昧に興じてもらうのが、一番面倒がなくて良い」と手厳しかった。
実際、支持者たちに抵抗を呼び掛けでもされたら、非常に面倒な事態に陥る恐れがある。

バイデン陣営は次期政権の立ち上げに向けて既に動き始めている。
アメリカ国務省で香港総領事や在東京米国大使館でDCM(=首席公使)を務めたベテラン外交官のカート・トン氏は「バイデン氏はまず新型コロナ対策・厚生チームを最優先で立ち上げるだろう。ついで経済チーム、その次に外交チームになる」と述べている。
つまり、これが次期政権の政策分野別優先順位ということでもある。
我が国にとって重要なバイデン政権の対日・対北・対中政策を、次の稿で占ってみたいと思っている。
執筆:フジテレビ解説委員・二関吉郎