広島県と広島大学発スタートアップ「ドットピーク」が共同で開催した就活イベントに、大学3年生を中心に約300人、50社超が参加した。スーツ禁止・履歴書不要といったルールで学生がリラックスして対話できる場を作り、企業側も学生の個性や志向に寄り添って「一緒に適職を探す」形式を採用。従来の説明会とは異なる設計が手応えを得た。
過去最高の集客反響
県主催としては過去最大規模となる今回のイベントは、申し込みが早期に締め切られ、キャンセル待ちが出るほどの盛況だった。参加学生の多くは就活準備が始まった段階で、「不安を解消したい」「自分のやりたいことを見つけたい」といったニーズを抱えており、気軽に相談できる場を求めていた。主催側は従来の「大人目線の似た企画」に疑問を抱き、学生接点の強いドットピークと連携して学生ニーズを起点に設計を進めたという。
服装・持ち物のルール意図
目を引くのは「スーツ禁止」「履歴書不要」という運営ルールだ。形式的な服装や書類が学生の本音を抑え、参加のハードルを上げているとの問題意識から、ラフな服装で手ぶら参加を促した。会場ではリラックスした雰囲気が広がり、学生からは「緊張せずに質問できた」「普段着で来やすかった」との声。外見や形式の制約を外すことで対話の質が高まり、より実践的な情報交換が可能になった。
学生視点で設計された企画
ドットピークは多数の学生ヒアリングを行い、「学生が本当に知りたいこと」を抽出した。それは「自分に合う仕事は何か」「業界の実像」「就活の進め方」といったもので、そこからイベントは「学生が方向性を見つける場」という目的に舵を切った。行政側も運営に協力し、学生の声を活かした共同企画として実現した点が今回の成功要因の一つだ。
対話重視の回遊導線
従来のブース型説明会と異なり、学生が企業テーブルを順に回る方式を採用。企業側は単なる会社説明だけでなく、性格診断や社員のキャリア体験を基に個々の学生に合う働き方や職種を一緒に考える役割を果たした。企業担当者も「自社の枠を超えて職種の可能性を示せる」と評価し、学生も「心理テストを踏まえた話が分かりやすい」と手応えを得ていた。
現場でのやり取りの深さ
会場では社員が自身の失敗談や転職経験を率直に語る場面が目立ち、学生は「どんな性格やスキルが向いているか」「入社後の成長イメージはどうか」といった具体的な質問を投げかけていた。企業は具体例や日常業務のイメージで応答し、短時間ながらも深い理解につながるやり取りが生まれていた。
参加者の声と企業の感触
学生からは「業界や職種のイメージが明確になった」「これから何を準備すべきか分かった」との感想が多く、企業側は「学生の段階に応じた助言ができる点は有意義」「短時間で将来像を共有できた」と評価した。一方で、短時間で個々の適性を見極める難しさや、フォローアップの必要性を指摘する声もあった。
今後への示唆
今回の試みは、形式に頼らない運営と学生目線の設計が高い集客と満足度につながることを示した。企業・行政・学生発ベンチャーの連携により、就活イベントの在り方を見直す一歩となった。今後は参加学生の多様性をさらに取り込み、短期の出会いを継続的な支援につなげる仕組み作りが課題となるだろう。
テレビ新広島
