高知県は少子化対策の一環として「マッチングアプリの入会金や利用料などに最大2万円を助成する制度」を4月からスタートさせた。

20歳~39歳の独身者で、4月1日以降に「インターネット型結婚相手紹介サービス認証」を受けているマッチングアプリの利用を開始した人が対象だという。

人口減少を「最重要課題」とする県の政策だが、お金の補助だけでうまくいくのか?

マッチングアプリから結婚相談所までさまざまな婚活サービスを提供する株式会社IBJで、行政や自治体と共に地域の少子化対策に取り組む、執行役員 兼 地域創生部の森宏樹統括に詳しく聞いた。

お金のバラマキだけでは支援にならない…

【株式会社IBJ執行役員 兼 地域創生部 森宏樹統括】
現在、4人に1人がマッチングアプリ(以下マチアプ)を利用して結婚しています。(※こども家庭庁調べ)今、マチアプは“出会い”の形として一般的な方法なのです。

高知県の助成条件には「4月1日以降に、指定の民間のマッチングアプリの利用を開始した人」とあります。つまり、あまり利用経験がない人を対象に考えているのだと思います。

株式会社IBJ執行役員 兼 地域創生部 森宏樹統括
株式会社IBJ執行役員 兼 地域創生部 森宏樹統括
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しかし慣れていない人にお金だけ渡しても、果たして恋愛や結婚までスムーズに進むでしょうか。

そもそも、女性の場合、多くのマチアプで利用料金は無料です。男性の利用料金は、利用プランや契約期間によって変わってきますが、2万円の助成金だと「数か月~1年程度の利用料金」に相当します。

これまで「マチアプを利用したいけど、料金がかかるからどうしようかな…」と足踏みしていた方には一歩踏み出すチャンスになるでしょうが、全体として大きな促進につながることは難しいと思います。

“利用者に寄り添ったサポート”が必須

恋愛や結婚に結び付くためには、もっと利用者に寄り添った形の、お金ではない付加価値をサポートすることが重要です。

例えば、より具体的な方法…マチアプの選び方から始まり、異性に選ばれるためのコツ、実際に会うまで、会ってからどういうことをすべきか、などをひとつひとつ丁寧にレクチャーする。そして、その都度生じる疑問や相談を一緒になって考えアドバイスする。

少子化対策として本気で婚活支援をするなら、こういった細やかな対応は不可欠です。

マチアプで結婚する人が増加する一方で、トラブルが多くあるのも事実です。デート商法的に相手に商品を買ってもらおうというケースや、肉体関係だけを求めている人もいます。

トラブルを未然に防ぐため、注意喚起や防衛術を事前に伝えることが重要となってきます。

まずは「スタートアップセミナー」などを開催して、必要な情報をしっかり丁寧に伝える。

助成の条件としてこうした支援を組み合わせることで、単なる利用促進ではなく、実効性のある支援へと変えることができると思います。
(※注:県では同様のセミナーを今年2月に開催しており、今後も定期的に開催する予定)

アプリは「登録が面倒なところ」を

まずはアプリ選びですが、ひとつの目安として『登録に手間がかかる』というのがあります。

例えば、自治体が発行する「独身証明書」は、現在独身であることを公的に証明する書類です。2025年以降、マイナンバーカードを利用してオンラインで即時提出できるようになったこともあり、取り入れるアプリが増えています。

提出すると「独身マーク」などが表示される形が多いようですが、相手に安心してもらうために登録される方も多いと思います。

マチアプの利用者は「気軽に恋活したい」人から「真剣に婚活したい」人までさまざまです。『登録に手間がかかる』というのは、婚活への本気度をはかる目安となると思いますので、しっかり見極めて下さい。

あとはやはり「登録者数が多い」ところ。たくさんの人に利用されているのは安心材料のひとつです。口コミなどもしっかり確認して「結婚したい人が登録しているアプリ」を選んで下さい。

プロフィール写真は“盛ったらダメ”

マッチングしないと何もはじまりません。「マッチングしやすいプロフィール(写真と自己PR)」は重要ポイントです。

写真を“過剰に盛る”のはダメです。婚活に大事なのは「誠実さ」と「信頼」。実際に会うことを想定して、写真は慎重に選ばなければいけません。

背景は無地よりも、公園やカフェのテラス席など、清潔感があり、日常の延長を感じられる場所が適しています。相手に「一緒に過ごすイメージ」が伝わるようなロケーションを選びましょう。

そして“笑顔”は必須です。普段通りの自然な笑顔の、素敵な一枚を選んで下さい。“別人にならない”ことが大事です。

自己PRは“誠実”に

自己紹介は、“適切な長さ”が大事です。短すぎると相手に真剣さが伝わりません。スマホで利用する方がほとんどですから、1画面で読めるぐらいの長さが良いと思います。

アプリによっては自己PRをAIで作成してくれるところもあります。自分の紹介文を考えるのはなかなか難しいので、AIの助けを借りるのもひとつですが、言葉が不自然になるケースなどもありますので、必ずしっかり確認をして下さい。

文章の上手い下手よりも、「真面目に婚活したいと思っています」という、やる気と誠実さを見せることが大切です。

連絡先の交換は会ってから

ラインや携帯といった連絡先の交換は、実際に会って“交換しても大丈夫”と見極めてからにしてください。

マッチングするとすぐに連絡先を求めてくる人もいますが、しばらくはアプリ内でのやり取りのみにとどめるのが安心です。

また、気になることは会う前にしっかり確認することが大切です。趣味や理想の家庭像など、やり取りを繰り返すことで、相手の人となりが見えてきます。

「真剣に婚活をして結婚したい」と思っていれば、お互いにやり取りを重ねることを煩わしく感じず、むしろ積極的に質問を交わしあうのではないかと思います。

少子化対策に求められる“設計力”

少子化対策として「婚活支援」に取り組む自治体は全国的に増えています。地域ごとに状況や課題は異なりますが、共通して求められるのは、「出会いの機会創出にとどまらない支援設計」です。

行政が持つ安心感と、民間が持つノウハウや専門性。それぞれの強みをどう組み合わせ「出会いの先」まで支える仕組みを作れるかが、課題だと思います。
(株式会社IBJ執行役員 兼 地域創生部 森宏樹統括)

取材: 高知さんさんテレビ
 

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