赤やピンクのバラが見頃を迎えた京都府立植物園に、とんでもない”お宝”が眠っていた。

古びた木箱の中に納められた朱色の表紙の本。
それが、鑑定額1億円という衝撃の結果をたたき出した「本草綱目(ほんぞうこうもく)」です。

■「箱の中に入っているのがお宝になります」

舞台は京都市左京区にある京都府立植物園。100年以上の歴史を持つ、日本最古の公立植物園です。

企画係長の山本和喜さんが案内してくれたのは、棚に並んだ普通の本の隣に、ひっそりと置かれた木箱でした。

中を開けると、数十冊の本がずらり。葉っぱや魚、さらには龍のような架空の生き物まで、さまざまな絵が描き込まれています。

これが「本草綱目」です。

■”某人気番組”が起こした大逆転

この本の価値が明らかになったのは、植物園が”あの人気のご長寿鑑定番組”に出品したことがきっかけでした。

番組内で鑑定額が発表される瞬間、ゼロがひとつ、またひとつと増えていき…最終的に1億円という数字が並びました。

山本さんは当時をこう振り返ります。

【京都府立植物園企画係長 山本和喜さん】「ゼロの数が増えていく瞬間が、すごくやっぱり緊張しました。泣いちゃいますね。血圧が上がって、倒れるんじゃないかって思ったぐらい」

■AIには「3万円」と査定されていた

実はこの本、番組出品前は職員たちも”本物かどうか”半信半疑だったといいます。

AIに鑑定を依頼してみると、「明の時代ではありえない紙質」と返ってきて、査定額はたったの3万円ほど。

学芸員は「あの白井光太郎先生が偽物をつかまされたのかっていう、大きなショックがありましたけど。もう(AIを)信じてしまいました」と苦笑いしていたそうです。

■世界にわずか8組 徳川家康も愛した書物

では、なぜこれほどの価値があるのでしょうか。

「本草綱目」とは、中国・明の時代の医師・李時珍(りじちん)が16世紀にまとめた書物。植物・動物・鉱物、さらには龍のような架空の生き物まで含め、あらゆるものの薬効を網羅した百科事典のような存在です。

世界の医学の発展に貢献した書物としても知られ、日本には儒学者の林羅山が長崎で入手し、徳川家康に進呈したという逸話も残っています。

創業100年以上、古今東西の書物を取りそろえる「キクオ書店」の会長・前田さんも興奮気味に語ります。

【キクオ書店 前田司会長】「初版っていうのはオーラがあるんですよ。ほんまもんやないとあかん」

初版本がほぼ全巻そろった状態で現存するのは、世界でわずか8組と言われています。

■「次の100年に向けて」 植物園の切実な事情

お宝と判明してからは、扱いもがらりと変わりました。

それまで他の本と並べて棚に置かれていたものが、今や気密性の高い専用ケースの中に。急きょ開催した展示会にはたちまち人だかりができ、4000人近くが訪れました。

6月からは”お宝展”の実施も決定。職員手作りの猫のイラスト入りポスターや、ガチャの景品を使った”あの人気のご長寿鑑定番組”っぽい展示物まで登場し、園内は盛り上がっています。

ただ、その背景には切実な理由があります。

近年、植物園の入園者数は減少傾向にあり、猛暑の影響を受けた2025年の夏は、2年前の夏よりおよそ2割も落ち込んでいるのです。

山本さんはこう話します。

【京都府立植物園企画係長 山本和喜さん】「入園料が減っちゃうんで、植物の管理も影響が出る。こういう古い書籍でもし入園者数が増えるのであれば、次の100年に向けて残せるちゃんとした建物で、そういう設備のあるものを何か作っていきたい」

特別展示は2026年5月17日まで実施中(入園料は別途必要、展示は無料)です。

(関西テレビ「newsランナー」2026年5月13日放送)

関西テレビ
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