カメラを向けられると、どうしても緊張で表情が硬くなってしまう。そんな人も、30年の経験と独特の「魔法の声かけ」で瞬時に自然な笑顔へと導くカメラマンがいる。ただ記録するだけでなく、数年後に見返しても当時の空気感や心情まで鮮明に蘇る「最高の一枚」を追求する、日高さんの撮影現場に密着した。

 様々な人たちの緊張を解く声

4月、入学や入社など人生の節目を迎えるこの季節、記念撮影の需要が1年で最も高まる。

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写真館美光スタジオ 日高英紀さん:
ニカニカでいくよ。お願いしますね。

元気に声を出しながらシャッターを切るのは、写真館美光スタジオの2代目、日高英紀さん、52歳。この道30年のベテランだ。

緊張で表情が硬いフォトウェディングの撮影現場。

新郎新婦に「笑顔でいってみよう~ニカニカで、そう、もう一回そのままで~」と笑顔で声かけをする。

日高さんによって徐々に緊張がほどけ、自然な笑顔が引き出されていく。

そして、いつの間にか素敵な写真が完成している。

新郎は「美光スタジオさんに任せてよかった。すごく良い写真を撮ってもらって、ありがとうございます。最初緊張してたけど、ほぐれて、めちゃめちゃ楽しかった。筋肉痛になりました。早かったですね。あっという間で寂しいな」と撮影を振り返った。

写真館美光スタジオ 日高英紀さん:
基本的にはその場の雰囲気づくり。お客さまのペースに合わせたり、自分のペースに持ってきたり。こっちの押しつけの写真にならないように、皆さんで楽しんでいただけるような雰囲気づくり。それだけですかね。

新年度が始まったこの時期の日高さんは大忙しだ。活動範囲はスタジオ内に留まらず、宮崎市内のホテルで行われた県内企業の合同入社式では記念撮影を担当。

大勢を前にしても、日高さんの姿勢は変わらない。ニコニコ笑顔と大きな声で、緊張している新入社員の自然な笑顔を引き出していく。

写真館美光スタジオ 日高英紀さん:
(Q.どうして声が大きい?)元々声がでかいんじゃないですかね。多いときは100名様の集合写真を撮らせていただくこともあるので、自分をしっかりお客様にアピールして、伝えたいことを伝えるために、自然とそうなっていったんじゃないかなと思う。

日高さんは「写真を見た時に、本人たちの入社した時の心情だったりを思い出していただきたい。フレッシュな気持ちを忘れずに、一生懸命頑張ってもらえるような1枚になるとありがたいなと思う」と話す。

4月10日、小学校の入学式が行われた。入学式が終わると新1年生と保護者の集合写真を撮影する。

「みんなきをつけ~上手かな~ はい、いってみよ~」日高さんは6年生の卒業アルバム撮影も1年間担当する予定だ。そのため、急遽6年生の撮影も行うことになった。

写真館美光スタジオ 日高英紀さん:
運動会が先にくるから、その前に顔と名前を覚えておきたいなというのがあったんで、ラッキーです。よかった。

「はいチ~ズ みんな良い顔だ~ そのままいこ~」日高さんの声かけに、みんな笑顔になっていく。

6年生児童は「あのような人が撮ってくれたら僕たちは嬉しい」と話す。

写真館美光スタジオ 日高英紀さん:
「日高さん」とか声をかけてもらえる。写真って結局そこだと思う。いかに知ってもらって、いかにこっちが近寄れるかだと思うので、こういうきっかけをくださるとすごくありがたい。

アルバムを開くと蘇る記憶

スタジオに戻ると、すぐに撮影が始まる。

お祝い事などの節目で撮影したものをアルバムにしている常連のお客さんは、結婚式の時から子供が生まれてからも毎年、美光スタジオで撮影しているという。

常連のお客さん:
実際に写真で見るとその時の記憶とかも蘇ってくるので、撮ってもらってよかったなと思う。アルバムが2冊目になるので、どんどん増えていくのも嬉しいし、記録として残るので、これはずっとアナログで残していきたいなと思う。

写真館美光スタジオ 日高英紀さん:
5年後、10年後にアルバムを開いた時に、今日の撮影の風景をみんな思い出してくれるらしいんですよ。こうやって写真館で写真を撮るとか、お客様にとってもとても特別なことだと思うので、その特別な思い出を写真をみるたびに思い出してくれたら最高ですね。

写真館美光スタジオ 日高英紀さん:
カメラマンとしてはまだまだ未熟者なので、もっと上手になりたい。いつになったら行き着くんでしょうね。多分、死ぬ間際になってわかるんじゃないですかね。「あ、俺が撮りたかった写真はこういう写真なんだ」って。

日高さんは、カメラマンという正解も終わりもないこの仕事に向き合い、今日も誰かの大切な1枚を撮り続けている。

今回取材したテレビ宮崎の川越カメラマンは「同じカメラマンとして刺激を受けた。撮影する技術以上に撮っている人への気持ちを大事にしているという言葉が印象に残った」と話す。

レンズの向こう側にいる人の心に寄り添い、真摯に向き合い続けるその姿勢は、撮影される人だけでなく、同業者も笑顔にする。これからも日高さんのシャッター音が、宮崎のどこかで誰かの「特別な宝物」を生み出し続けることだろう。

(テレビ宮崎)

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