脳の病気で、9年前に突然、体が不自由になった47歳の男性。子供を育てる中で、生活のために目指したのは、「ネイリスト」という道でした。

障がいや難病を理由に、すぐに一般企業で就労することが難しい人が通う事業所です。
その中で行われていたのが…

爪に色やデザインを施す、「ネイル」の講習です。
指導を受けるのは、宮城県多賀城市に住む、佐藤邦彦さん、47歳。今年に入り、月に2回ほど指導を受けています。

高橋咲良アナウンサー
「授業自体はいかがですか?」
佐藤邦彦さん
「本当に初めてで、元々ネイルを知らなかったし、声かけてもらった時に自分男じゃないですか。女性というイメージがあったが、「指先の仕事」と聞いて少し自信があったので、じゃあやってみようと。やり出したら楽しい」

指導するのは、ネイリスト歴30年以上の千葉照実さんです。佐藤さんの「器用さと真面目さ」がネイリストに向いていると話します。

ネイリスト 千葉照実さん
「私が直した方が良いと言ったところを、回数はかかったとしても直してきてくれる。練習しておいてねと言ったら、ちゃんと練習してくれる」

佐藤さんは、9年前、脳の病気で右足が不自由になり、利き手だった右手も力が入りづらくなりました。左目もほとんど見えていません。

佐藤邦彦さん
「気付いたら病院のベッドの上だった。点滴だらけで、それこそ、『ここはどこの世界』だった。起き上がれって言われて起き上がれなくて、それが悔しくて」

シングルファザーとして5人の子供を育てる中で、建設業の仕事も続けられなくなりました。

佐藤邦彦さん
「真っ暗でした。本当に真っ暗で、入院中もそうだったが、自分が分からなくなった」

それでも生きていくために…暗闇の中で一筋の光となったのがネイルとの出会いでした。

佐藤邦彦さん
「希望が持てるようになった。悔しい思いしてたのが、外に出られる喜び、仕事できる喜び、また味わえて、なおかつ今回の(ネイリストへの)チャレンジもいただいて、ネイリストでもう一度生計を立てられるようになれたら。賭けですよね、自分の」

仙台市内でネイルサロンやスクールを経営する千葉さんですが、障がいがある人への指導は、佐藤さんが初めてでした。

ネイリスト 千葉照実さん
「(ネイルなどの技術を身に付ける)支援学校で科があるが、世間的にあまり知られていないですし、そこ経由でプロになったという声も聞いたことがなかった。指導して終わるのでなくって、職業になるまでいきたいと思っている」

千葉さんは、「ネイリスト」という職業に、障がいがある人も活躍できる可能性を感じています。

高橋咲良アナウンサー
「障がいのある人にとって可能性がある職業?」

ネイリスト 千葉照実さん
「(ネイリストは)どちらかの手が使えるのであれば、何かしらできると思っているので、障がいの重度、軽度にもよるが、可能性としては広がるのではないか思って、支援を始めました」

この日、佐藤さんが向かったのは、ダンスイベントの会場です。
千葉さんのネイルスクールがブースを出店し、佐藤さん、ここで初めて、お客さんにネイルを施すことになりました。

この日、初めてのお客さんがやってきました。

佐藤邦彦さん
「はい、じゃあはじめます。」

小さな爪を華やかにしていきます。

高橋咲良アナウンサー
「どうですか?ネイルの出来栄えは?」
女の子
「とっても良いです」

生きる希望を与えてくれたネイル。今度は佐藤さんが、指先から「幸せ」を与えられるネイリストに…

ネイリスト 千葉照実さん
「教室の中で黙々と練習している時より生き生きして楽しそうなんで、良かったなと思っています」

高橋咲良アナウンサー
「やっぱり楽しいですか?」

佐藤邦彦さん
「楽しいです。やはり障がい者なので、世に出るということがあまりなかった。ある程度の障がい者はみんなそうだと思うが、(事業所を通して)先生と会って、いま勉強させてもらって。やっと日の目に当たれる」

高橋咲良アナウンサー
「どんなネイリストになりたい?」
佐藤邦彦さん
「先生に負けないような…(笑)」
ネイリスト 千葉照実さん
「頑張ってください!」

佐藤さんの夢を家族も応援していて、5人兄弟の末っ子の息子さんは「とにかく自分がやりきったと思うところまでがんばってほしい」と話していました。
佐藤さんは今後、資格を取得するなど1年ほどかけて技術を身につけて、サロンで働くことを目指します。

体に障がいのある方で、今回のネイル指導に興味を持ったら、佐藤さんも通う就労継続支援B型事業所「COM’S」に問い合わせてみてください。(022ー766ー9373)

仙台放送
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