8畳2間に163匹…多頭飼育崩壊の現場

可愛がっているペットが繁殖で増えすぎて、飼育不能に陥る「多頭飼育崩壊」。
この「多頭飼育崩壊」が島根・出雲市で起きていて、解決に向けて今、多くの人が力を尽くしている。

テーブルの上に乗り、狭い隙間にすし詰め状態の犬。
ペットが過剰に繁殖し世話ができなくなる、これが多頭飼育崩壊の現場。
出雲市内の一般住宅。8畳2間の室内にいる犬の数は163匹。

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専門家によると、一般家庭で起きた多頭飼育崩壊としては、国内でこれまでに類例のない最大級の事例だという。

アニマルレスキュー.ドリームロード・原ゆかり理事長:
一番最初はびっくりしましたけど、あまりの数に

こう話すのは、保護した犬や猫を新しい飼育先に渡す活動などを続けている、出雲市のNPO法人「アニマルレスキュー.ドリームロード」の原ゆかり理事長。
原さんが飼い主からの連絡を受け、実際に家に入り目の当たりにしたのは…

原ゆかり理事長:
ひどいなと思ったけど、この生活が飼い主さんには日常なんだなと思って。わたしたちにも飛びついてきて、尻尾をふる犬が多くて、決して虐待はなくて、ただただマヒして増えてしまった

においに鳴き声・・・近隣住民から相次ぐ苦情

犬の飼い主は3人家族で、飼育歴は30年以上。
元々は数匹を屋外で飼っていたが、雌犬が子どもを産んで数が次第に増えてくると、家の中で飼うようになったという。

ただ、新しい飼い主を探すこともなく、何より不妊や去勢の手術を行わなかったため、とうとう160匹を超える異常な状態を作り出してしまったという。
島根県では、7年ほど前に犬が逃げ出すトラブルなどがあった際に、数十匹の飼育を確認はしていたが、現在の異常事態については…

島根県健康福祉部薬事衛生課・中村祥人さん:
これほど多くの犬を飼っているということは、把握はできておりませんでした

近隣住民からは鳴き声や、においの苦情が相次いでいて、県などにも立ち入り調査の要望が出たとしている。

島根県健康福祉部薬事衛生課・中村祥人さん:
犬にとっても良好な状態ではないので、これをまず改善することによって、周辺住民の苦情を解決していくことが大事。

あらためて考える「生き物を飼う責任」

県や動物愛護団体によると、こうした状況にさすがの飼い主も飼育数の削減を決断したという。
その一歩として、現在 県内4つの団体が保護のため犬を連れ帰っていて、アニマル.レスキューでは早速、子犬の譲渡を始めている。

アニマルレスキュー.ドリームロード・原ゆかり理事長:
譲渡できる子からしていって、数を減らしていかないと

さらに、将来も数を増やさないための抜本的な対策として、大規模な不妊と去勢の手術が決まった。
これは、島根県が、全国でさまざまな対策を手掛けている公益財団法人の「どうぶつ基金」に救済を要請する形で実現したもの。11月に、基金が出雲保健所に獣医5人を派遣して実施する。
費用は約800万円近くにもなるということだが、基金が負担する。

どうぶつ基金・佐上邦久理事長:
一般家庭で飼われている多頭飼育崩壊で、史上最高の多さだと思います。犬も飼い主さんも普通の生活に戻してあげる第一歩として、不妊手術をしてあげたい

アニマルレスキュー.ドリームロード・原ゆかり理事長:
飼い主も、もう十分に反省しておられるので、協力をして前向きにやってきたいと思います

「生き物を飼う責任」
事あるたびに言い続けられるこの言葉の重みを、今また噛みしめなければならない。

(TSKさんいん中央テレビ)