紆余曲折の末に新会社決定…大山スキー場運営をめぐり町議会が紛糾 「10倍差」の納付金問題も焦点に
鳥取・大山町にあるスキー場の2026年度以降の運営を担う新たな会社が、ようやく決まった。
再公募を経るなど紆余曲折をたどったこの問題。
地元の旅館やスキーショップからは安堵の声が上がる一方、4月24日の町議会では「町の中長期計画は破綻している」、「どんぶり勘定だ」という厳しい指摘が相次ぎ、約2時間半にわたる紛糾した議論の末、賛成9、反対5でようやく承認された。
焦点は「指定管理納付金」をめぐる、町の計画と事業者提案との間に生じた「10倍の差」だ。
地元経済の要に“ひとまずの安心” 大山スキー場の新体制決定と今後の課題
大山町のスキー場は、鳥取県の冬の観光を支える重要な拠点だ。
2026年度以降の営業が不透明な状況が続いていたため、周辺の旅館やレンタルスキーショップにとっては死活問題でもあった。
レンタルスキーショップなどを経営する大杖正彦さんは、「地元では非常に心配していましたが、新しい会社が決まって、ひとまずは安心しています」と胸をなでおろす。
宿泊施設「川床屋」の小椋康一さんも「スキー場の営業が止まってしまうと宿泊者数も落ちるわけで、そこの見通しがつき今の段階では安心」と話した。
地元にとって、運営会社の決定は当面の不安を払拭するものだった。
しかし、小椋さんは「これから交渉する段階だと思うので、なるべく町の負担にならないようにうまく交渉していただきたい」と続けた。
安堵の言葉の裏に、先行きへの不安がにじむ。

指定管理納付金の目標と提案のギャップ…浮き彫りになった計画の「食い違い」
4月24日に開かれた大山町議会で、最大の論点となったのは「指定管理納付金」を巡る数字の乖離だ。
「指定管理納付金」とは、スキー場や温泉などの施設の運営を請け負う指定管理者が、収益の一部を自治体に支払う仕組みである。
大山町は、老朽化した設備の改修などに向けて20年間で90億円の設備投資を見込んでおり、その財源を確保するために、指定管理納付金の10年間の目標額を合計30億円と設定していた。
ところが、公募で選ばれた兵庫県の新運営会社「アドバンス」が提案した10年間の納付金は約3億8000万円。
町が目標とする30億円のわずか10分の1ほどにすぎない。
公募に応じた別の社からの提案も2億から5億円程度だったといい、複数の事業者が「そこまでの収益は上がらない」と見ていることになる。
反対票を投じた議員からは、議会の場で「今回の事業者の指定管理納付金の提案は、10年間で3億8000万円ほどでしかない。この時点で中長期計画の見通しは、完全に破綻していると言わざるを得ない」、「10年間で約3億8000万円というアドバンスからの提案に対し、町の計画には、10年間で30億が必要と書いてある。どういうふうに帳尻を合わせていくかは現時点で不明」という声が上がった。

新運営会社へ業務委託決定も…執行部に「どんぶり勘定」の批判
議員たちが「どんぶり勘定」と指摘する背景には、当初の町の見立てが現実の市場感覚とかけ離れていたという事実がある。
複数の事業者の提案がいずれも町の目標額を大きく下回っていたことは、そのことを端的に示している。
約2時間半に及んだ討論の末、議会は賛成9、反対5で新運営会社への業務委託を承認した。ただし問題が解決したわけではない。
大山町の竹口町長は、今後の方針について「全体の投資額としては抑えられたので、計画としては回るという絵も当然あると思います。そこを詰めていくのは、これからの事業者が決定したあとの町と事業者での協議による部分でありますので、今いいか悪いかというところを論じるのは無理がある」と述べた。
町は現在、設備投資額90億円を半分程度に圧縮することも視野に入れながら、運営会社との協議を進めていく方針だ。

「絵に描いた餅」にしないために…スキー場運営決定後に迫られる財源計画の再構築
山陰地方を代表する観光資源である大山のスキー場運営に、ようやくめどが立った。
しかしその先に待ち受けるのは、財源計画の抜本的な見直しという容易ではない作業だ。
町が描いてきた中長期計画と、事業者が現実的に見込む収益との間には、依然として大きな溝がある。
地元の旅館やショップが安心して次の冬を迎えられるよう、「絵に描いた餅」に終わらない、より現実的な計画の再構築が求められる。

