経済波及効果「80億円」 数字が示すドラマが生んだ熱量
松江市ゆかりの文豪・小泉八雲と妻セツをモデルにした連続テレビ小説「ばけばけ」が残した経済波及効果は、2025年9月の放送開始からわずか半年間で、約80億円にのぼると試算されている。
放送終了から2か月…舞台となった松江を訪れる観光客の足は止まらない。
その熱を冷まさせないために、松江市も次の一手を打とうとしている。
5月17日オープンへ…市長が直接発表した新たな一手
松江市の上定市長は、「5月17日に庁舎1階・多目的スペースに八雲とセツのドラマ館がオープンします」と発表した。
市役所の1階、市民が日常的に行き交う場所に、ドラマの世界が出現する。
セットの再現、小道具、衣装。
スクリーンなしでも「ばけばけ」の空気を体感できる空間が、2027年3月まで設けられる予定だ。
入場は無料。
平日の午前9時から午後4時半まで開放される。

観光客が前年比1割増
数字がドラマの影響力を静かに証明している。
「ばけばけ」は2025年9月から翌3月まで全国放送された。
その間、松江市を訪れた観光客は前年比で約1割増加。
島根県内への経済波及効果は放送開始から1年間で約80億円、そう試算されている。
聖地巡礼を目的に松江へ足を運んだ観光客が宿に泊まり、食事をし、土産を買った。
その積み重ねが、80億円という数字を作り上げた。

“朝ドラ効果”を一過性で終わらせない…松江市が挑む『ばけばけ』後の観光戦略
ドラマ効果には、必ず終わりが来る。
放送が終われば話題は薄れ、観光客の足も遠のく。
そうした懸念は、地方の「聖地」が繰り返してきた共通の課題でもある。
松江市が今回、新施設の開設に踏み切った背景には、その危機感がある。
展示施設「八雲とセツのドラマ館」は、単なる記念展示にとどまらない。
ドラマの世界観を体験できる空間として、まだドラマを知らない人も含めた新たな来訪者を呼び込む拠点として機能することが期待されている。

朝ドラ『ばけばけ』の世界を“日常の動線”へ 松江市が選んだ象徴的な場所
新施設の場所が「市役所1階」であることは象徴的だ。
観光施設でも博物館でもなく、市民の生活の動線上に置く。
その選択には、聖地巡礼の観光客だけでなく、地元の人々にもドラマの記憶を日常の中に持ち続けてほしいという意図が読み取れる。
5月17日、松江市役所の1階に「ばけばけ」の世界が広がる。
八雲とセツの物語は、放送終了後も松江でひっそりと、しかし確かに続いていく。

