2025年11月、196棟が燃えた大分市佐賀関の大規模火災。
5月18日で発生から半年を迎えますが、現地はいまだ焼けた家屋のがれきなど爪痕が残っています。

被災したのは人間だけではなく、住民に親しまれている地域猫も火災により行き場を失いました。
自らも被災しながら猫たちのために奮闘する地元の人々を取材しました。

大分市佐賀関で発生した大規模火災から、まもなく半年。
街にはまだ爪痕が残されています。

4月25日に火災があった場所を訪れると、火元となった家から遠く離れた家まで燃えた跡がありました。
被災した住宅の一部は解体が始まり、復興に向け一歩ずつ歩み始めています。

多くの住民の生活を変えた火災。
被災したのは人間だけではありませんでした。

街の人に親しまれてきた地域猫は、佐賀関の地名にちなみ“関ねこ”と呼ばれています。

被災した住民たちは、この関ねこを復興のシンボルにしようと活動しています。

2025年11月、炎に包まれた佐賀関。
強風のため、瞬く間に延焼し約6.4ha、196棟が焼け、鎮火までは2週間以上を要しました。

現在も、54世帯85人が市営住宅や民間のアパートなどで生活しています。

市は11月末までに、全ての解体・撤去作業を完了させる計画です。

漁業が盛んな佐賀関では、火災が起きる前から猫は大漁を招くなどとして家庭のペットではない地域で暮らす関ねこたちが街に溶け込み親しまれてきました。

そんな関ねこたちの世話をしている、大野富子さん。
7年前に大分・別府市から引っ越してきましたが、当時、街には異臭が漂っていたといいます。

大野富子さん:
こっちに住み始めた頃に猫がいっぱいいるなと。風が吹いたりすると臭うんですよ、ふん尿の。よく見ると道とかに猫のふんとかボロボロ落ちてて、ふんを見つけたら拾うというのを始めて。

異臭対策のために始めたのは、エサやトイレを整備した猫の居場所づくり。

大野さんはさらに繁殖を防ぐため、不妊・去勢手術も受けさせました。
猫の耳は手術済みと分かるように、“桜の花びらの形”にカットされているのが特徴です。

現在、火災の被害が大きかった田中地区にいるのは23匹の関ねこたち。
1匹1匹につけられた名前のほとんどを大野さんが付けました。

これまで大野さんが世話をしてきた関ねこは60匹以上。

猫たちは毎日のように大野さんの自宅にエサを食べに来ていましたが、大野さんの自宅も火災で全焼してしまったのです。

大野富子さん:
ここがうちですね。ここが玄関があって、宅配ボックスで。もう見事に何も残っていませんが。

わずかに残っているのは塀と物置のみ。
それ以外は何も残らず、がれきと化してしまいました。

大野富子さん:
多分これが2階にあった事務机なんですよね。落ちてきてるんですよ。何もかもがもう…。ここにあれがあって、何があってという状態はまだ頭の中に鮮明に残ってるんで…。

現在は近くで仮住まいをしていますが、「今後も佐賀関を離れることはない」といいます。

大野富子さん:
離れられませんね。多分地域から離れるのもできないんだけど、猫から離れられないのが一番大きいかもしれないですね。

以前の自宅が住めなくなったため、すぐそばの空き家を購入し、以前のように、関ねこたちのエサ場となるようリフォーム中です。

しかし、この家も一部がすすけ窓ガラスが割れていたりと、現在も火災の跡が残っています。

家の屋上から広がるのは爪痕が残る街。
夫の正義さんは、まだこの光景に慣れないと話します。

大野正義さん:
住んでいいよと言われて買い取ったときにここ(屋上)に上がってみたんですよ。全部見えるじゃないですか。結構気分沈みましたね、落ち込んで。(光景に)慣れないし、やっぱり戻せるなら戻してほしいって感じですよね、本当に。

関ねこを世話するのは大野さんだけではありません。
近くに住む橋本康聖さんも、一緒に関ねこたちを見守っています。

橋本康聖さん:
こういうふうに写真付きの名前をこれ(ボード)で管理してますというのを見せるようにしたんですよね。

炎は自宅のすぐ裏手まで迫ってきましたが、ギリギリ延焼を免れることができました。

大野さんの自宅を含め数か所あったというエサ場が焼けたため、今では多くの関ねこが橋本さんの家に集まってきます。

デザイナーでもある橋本さんが火災後に考案したのが、猫の顔の模様に漢字の「関」があしらわれたデザインの“関ねこのロゴ”です。

橋本康聖さん:
佐賀関の関という漢字をもとに猫の顔の形でやってたんですけど、地域猫の活動ということで桜猫というか、耳をカットして。

大野さんは橋本さんとともに、“関ねこロゴ”で街を元気にしたいという計画です。

お祭りではこのロゴをあしらったシールとキーホルダーを販売し、売り上げは、猫たちの医療費やエサ代などに充てる予定です。

大野富子さん:
田中(地区)の復興も一緒にかけていると言ったらあれですけど、関ねこ=田中地区だから、関ねこがみんなに注目していただければ、ちょっとでも昔のようなにぎわいが取り戻せたらいいのかなと。見てくれる方に、おかげでこんなになりましたという成果を見せたい。

大規模火災からまもなく半年。
被災した住民も猫も笑顔を取り戻すため奮闘しています。