岩手県大槌町の山林火災は、5月2日に鎮圧が宣言されましたが、6日午後、再び山林火災が発生するなど、依然、現地は予断を許さない状況が続いています。
4月22日の発生直後に現地で取材した記者の報告です。
記者リポート
「町中心部近くの沢山地区ですが、辺り一帯、白い煙が立ち込めていて焦げ臭い」
私は、火災発生から2日後に大槌町に入りました。現地では東日本大震災後に再建された住宅にも炎が迫り、消防による懸命な消火活動が続いていました。
三陸道を走行していた時の映像です。車には窓を閉めているにも関わらず、煙の臭いが入り込んできました。この区間は取材した直後に通行止めに…
日常に迫る火災の恐怖に、町の人たちも強いストレスを感じていました。
住人
「震災の時を思い出すような、煙に赤が反射しているような赤い炎が見える感じ」
「怖いですね。夜も眠れなくて」
この山林火災では、一時、町民の3割にあたる、3257人に避難指示が出されました。
私が現地で特に課題に感じたのは、体の不自由な人たちの避難です。このホテルには、町内の高齢者施設の利用者、115人が避難していました。そのうち8割が寝たきりや車いすの人たちです。
記者リポート
「こちらの施設から大船渡市の施設へ1時間ほどかけて移動するということです」
施設とは違い介護設備が十分ではないことから、体調不良を訴える人もいて、避難したホテルから別の施設にさらなる避難を余儀なくされました。
施設の防災担当 芳賀新さん
「やはり負担はあると思う。ただここにいる危険性であるとか、(避難の期間が)長くなるかもしれない。だったら少しでも安定した環境で、生活していただきたいというところがあるので、苦渋の選択になるかもしれないですけど、そこは見極めて選択していきたい」
この高齢者施設では以前から、避難訓練を行っていたほか、岩手県内の他の施設との連携も確認していたため、スムーズな移動ができたといいます。日ごろから備える必要性を、改めて感じる瞬間でした。
火災は発生から11日目の5月2日、鎮圧が宣言されました。焼失面積は町の8パーセントにあたる1633ヘクタールに上り、去年、岩手県大船渡市で発生した林野火災に次いで、平成以降、国内2番目の規模となりました。
延焼が拡大した要因の一つとされているのが、大槌町にみられるリアス海岸と呼ばれる地形です。斜面が急で火の駆け上がるスピードが速いことや、風向きが変わりやすく強い風が吹きやすいという特徴があります。
記者リポート
「山から出ている煙は避難指示が出ていないエリア、北西方向へと流れているのが分かります」
取材中も時折、強い風が吹いて、煙の向きや勢いが刻々と変化していました。
住人
「風向きによってはもう2日くらい前なんかは本当にけむくて。この山が目の前で高くて、全然見えないから、いったいどこまで火が来ているのかなって不安なんですよね」
リアス海岸は、宮城県内にも存在します。同じような山林火災が宮城県で起きないとは限りません。
現地に派遣された県内の消防隊員も、環境の厳しさを感じたといいます。
緊急消防援助隊・宮城県大隊 小林邦彦隊長
「風が強かったり乾燥しているので砂、灰が乾燥していて足場が悪い。また、急傾斜地であったりもする。自然の怖さ、そういったところは我々では計り知れないことがある」
専門家は、山林火災の多くは野焼きやたばこの不始末など、人為的な要因で起こるとして、一人一人の意識の重要性を訴えます。
東京理科大学 桑名一徳教授
「条件がそろえばこれはどこであっても山林火災が起きやすい。ちょっと燃えるとわ~っと広がっていきますので、本当に最初はちょっとしたところから起こるが、それが思いのほか、重大な結果につながってしまう可能性があるということを常に意識することが重要」