2026年4月11日に石川県金沢市二俣町の県道で発生した道路陥没事故を受け、石川県が管理する道路の総点検が進められた。点検の結果、金沢市と珠洲市のあわせて6カ所で、陥没の原因となった「素掘りの地下水路」が新たに確認された。さらにそのうち1カ所では、亀裂や風化が確認され、陥没の可能性があるとして通行止めの措置がとられた。地元・医王山小中学校のスクールバスの迂回路にも影響が及んでおり、早期の復旧が求められている。

「素掘り」とは何か――陥没の引き金となった地下水路の正体

この記事の画像(11枚)

今回の一連の問題のキーワードとなっているのが「素掘りの地下水路」だ。素掘りとは、コンクリートや石などで内壁を補強せず、土をそのまま掘って作られたトンネルのこと。

4月11日、金沢市二俣町を走る県道の路面が突然陥没した。調査の結果、原因は道路の真下を通っていた素掘りの地下水路が内側から風化し、支えを失った路面が崩れ落ちたためと判明した。こうした地下水路は地図上や図面からは場所を特定できるものの、実際に内部がどのような状態にあるかは外からは見えない。陥没は予告なく起きるため、その危険性は深刻だ。

2週間で888カ所を現地確認、浮かび上がった「新たな6カ所」

陥没事故を重く受け止めた石川県は、4月13日から管理する全道路の総点検に乗り出した。図面などをもとに地下水路がある可能性のある888カ所を洗い出し、すべてを現地で確認するという大規模な作業だ。

約2週間にわたる調査の結果、金沢市と珠洲市のあわせて6カ所に、素掘りの地下水路が通っていることが新たに確認された。

確認された6カ所は、金沢市内の複数箇所と、珠洲市の宝立町大町泥木・小島ダム付近など。県はただちにこれら6カ所の水路をハンマーで叩くなどして内部の状態を調べる点検を実施した。

「亀裂や剥離、風化も」――金沢市小二又町の1カ所を通行止めに

6カ所の点検を終えた結果、そのうちの1カ所、金沢市小二又町を通る県道について、県は4月28日から通行止めの措置をとった。

通行止めとなった金沢市小二又町の県道
通行止めとなった金沢市小二又町の県道

県の木村土木部長は会見で、通行止めの理由についてこう説明した。
「天井部、あるいは側壁、横の壁ですね、ここに亀裂や剥離が生じておりまして、また風化も一部見られましたことから、今回、通行規制の対象としたものでございます。」

会見場で資料を手に状況を説明する土木部長。「ここに亀裂やはく離が生じております」と語った
会見場で資料を手に状況を説明する土木部長。「ここに亀裂やはく離が生じております」と語った

地下水路の天井部と側壁に亀裂や剥離、さらには風化が確認されたことで、いつ路面が陥没してもおかしくない状態にあると判断されたわけだ。今月の二俣町の陥没と同じ事態が繰り返されることを未然に防ぐためだ。

残り5カ所は「問題なし」、ただし監視カメラと看板を設置

一方、今回通行止めとなった金沢市小二又町の1カ所を除く残りの5カ所については、点検の結果、現時点では問題がないと判断された。

問題がないと判断された5カ所に設置された監視カメラ。念のため安全確認のための監視体制がとられている
問題がないと判断された5カ所に設置された監視カメラ。念のため安全確認のための監視体制がとられている

ただし、素掘りの地下水路という構造上のリスクが残ることから、県は念のため5カ所すべてに監視カメラと、注意を呼びかける看板を設置した。外見上は問題がなくても、今後の雨や地下水位の変化によって状況が変わる可能性もある。定期的な監視体制を敷くことで、異変の早期発見につなげる狙いだ。

スクールバスの迂回路まで通行止めに――影響は地域の子どもたちへも

今回の通行止めは、道路を利用するドライバーにとどまらず、地域の子どもたちの通学にも直接影響を与えている。

通行止めとなった金沢市小二又町の県道は、もともと医王山小中学校のスクールバスが利用していた道ではない。11日に発生した二俣町の陥没事故を受けて、スクールバスがすでに迂回路として使っていた道路だった。その迂回路がさらに通行止めになったことで、スクールバスはもう一段階迂回を強いられることになった。

スクールバスの迂回ルート
スクールバスの迂回ルート

医王山小中学校は、金沢市街地から離れた山間部に位置する学校だ。スクールバスの運行ルートが二重に迂回を余儀なくされることは、子どもたちの通学時間の延長につながりかねない。地域にとって、これは決して他人事ではない問題だ。早期の復旧が強く望まれる理由がここにある。

「専門家と確認しながら」――山野知事が復旧への方針を示す

今後の補強工事や復旧の見通しについて、山野知事は会見でこう語った。
「どんな形で補強工事をしていくのがより安全が確認できるのか。工事も簡易なものでもないと思いますので、専門家と確認しながら、確認でき次第しっかり取り組んでいく。」

定例会見の山野知事。「専門家と確認しながら確認でき次第しっかり取り組んでいく」と語った
定例会見の山野知事。「専門家と確認しながら確認でき次第しっかり取り組んでいく」と語った

素掘りの地下水路を補強・修繕するためには、道路を一時的に掘り返すなど大がかりな工事が必要になる場合もある。「簡易なものではない」という知事の言葉が示すように、その作業は容易ではない。専門家の知見を借りながら、安全性を最優先に工事の方法を検討していく姿勢が示された。

なお、今月11日に陥没した二俣町の県道については、県は7月中に片側交互通行の形で開通を目指している。通行止めの解消に向けて工事が進んでいるが、完全な復旧にはさらに時間がかかる見通しだ。

「見えない危険」に向き合う県の課題

今回の一連の問題が浮き彫りにしたのは、道路の「地下」に潜む見えないリスクの存在だ。888カ所という膨大な数の地下水路を短期間で点検した県の対応は迅速だったといえる。しかし、素掘りの水路が各地に残っているという実態は、今後も継続的な管理と対策が不可欠であることを示している。

陥没や崩落の多くは、日常的に見過ごされてきた老朽化が積み重なった末に起きる。今回の事故を機に、石川県がどのような長期的な点検・補修の仕組みを整えていくかが問われている。地域の道路を安全に使い続けるために、県の取り組みを引き続き注視していく必要がある。

(石川テレビ)

石川テレビ
石川テレビ

石川の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。