男性の約1200万人が発症や疑いのある疾患、AGA=男性型脱毛症。
しかも、発症すると、何もしなければ どんどん進行していきます。
では、AGAになる男性とならない男性の違いはどこにあるのか。
実は、そこには遺伝が大きく関わっています。薄毛の遺伝と言うと、父親からの遺伝と考えてしまう人が多いかもしれません。
しかし、実はAGAは母方の祖父からの影響がとても大きいのです。
今回、松澤宗範医師(アウラニクリニック統括院長)の監修で、AGA発症への遺伝の影響等についてまとめました。
確実に進行する脱毛疾患
日本の男性の約1200万人が発症や疑いがある疾患。それがAGA=男性型脱毛症です。また、約3人に1人が薄毛の進行を感じているとも言われています。
初期のサインとしては、
・抜け毛の増加
・産毛のような短く細い毛(ミニチュア毛)の増加
・髪のハリ・コシの低下
…などが挙げられます。
そういう時には、既にAGAを発症しているかもしれません。
ほとんどの男性は、出来ればなりたくないと思う疾患であり、若い年齢でAGAになってしまうと、非常に深刻な悩みになる場合も少なくありません。
しかも、AGAは確実に進行する脱毛疾患です。何もせずに放っておくと、髪の毛は減り続け、徐々に薄くなっていきます。
では、AGAになる男性と、ならない男性の違いはどこにあるのでしょうか?
そこには、遺伝が大きく関わっているのです。
男性らしさは維持されるが…
AGAの直接的な原因は、次の2つです。
・強力な男性ホルモン「DHT(ジヒドロテストステロン)」
・毛包の感受性(遺伝的要素)
さらに生活習慣・環境も関与する多因子疾患です。
精巣で作られている「テストステロン」という男性ホルモンがあります。
筋肉の発達、声変わり、体毛の生成、性機能の維持など、男らしくあることに関わる重要なホルモンで、毛髪の成長を促す働きも持っています。
しかし、「テストステロン」は20代をピークに減少していきます。
そこで働くのが、「5αリダクターゼ」という酵素です。
この酵素は、「テストステロン」を、より強力な男性ホルモンである「DHT(ジヒドロテストステロン)」へと変換します。
「5αリダクターゼ」がせっせと「DHT」を生成することで、男性らしさは維持されます。

しかし、「DHT」は、髪の毛に作用した場合のみ、厄介な反応が起きます。
「DHT」が毛根の受容体と結合すると、毛母細胞は「成長が終了した」と認識してしまうのです。結果的に、
・ヘアサイクルの短縮
・毛髪の細毛化
・抜け毛の増加
…といった変化が起こります。

そして、AGA発症の分かれ目は、毛母細胞の受容体が「DHT」にどれだけ反応しやすいかという「感受性」なのです。
そして、この感受性は遺伝によって決まるのです。
母方の祖父が薄毛の場合、AGA発症の確率アップ
薄毛で遺伝…と言うと、つい自分の父親からの遺伝の影響と考えてしまう人が多いかもしれません。
しかし、実はAGAは母方の祖父から隔世遺伝する可能性が高いのです。母方の祖父が薄毛の場合、孫(男性)がAGAを発症する確率を約75%とする説もあります。
父親がふさふさでも、安心は出来ません。
これは、「DHT」への感受性に関わる遺伝子がX染色体にあり、男性は母親からX染色体を受け継ぐためです。
性染色体の組み合わせは、男性はXY、女性はXXです。
男性は、Y染色体を父親から、X染色体を母親から、それぞれ受け継ぎます。
つまり、「DHT」への感受性に関わる遺伝子は、母親から受け継ぐのです。
そして、母親が持つ2本のX染色体のうち、どちらが子に受け継がれるかは50%の確率です。
2つのX染色体の1つは薄毛になる遺伝子を持つもの(祖父由来)、もう1本は薄毛になる遺伝子を持たないもの(祖母由来)である場合は、兄弟であっても、兄は薄毛になり、弟はならないということも起こります。

しかし、もし母方の祖母の父親(曽祖父)もAGAであったなら、祖母自身も保因者である可能性があります。その場合、母親は祖父からだけでなく、祖母(曽祖父)からも薄毛になる遺伝子を受け取っているかもしれません。
つまり、母親が2つのX染色体の両方に薄毛になる遺伝子を持っていることになり、その場合は子供(男性)がAGAになる確率はさらに上がります。約90%とする説もあります。

とは言え、AGAは多因子疾患であり、主要因子の一つはX染色体上のAR遺伝子ですが、他の遺伝子も関与します。
また、遺伝だけではなく、喫煙や過度の飲酒、睡眠不足、ストレス、栄養不足なども要因となります。
早目のAGA外来受診も検討を
AGAは強力に脱毛を促進する疾患ですので、気になりはじめてから短期間で薄毛になる可能性があります。
主な治療薬には、
・フィナステリド(「DHT」生成を抑制)
・デュタステリド(より強力に「DHT」を抑制)
・ミノキシジル(血流改善・発毛促進)
…などがあります。
有効な治療法が確立されていますので、早目にAGA外来の受診を検討されるのも選択肢の1つになります。

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