高知県の推計人口が4月1日時点で64万人を割り込んだ。高知に住む私たちにとっても、このニュースは非常に複雑な思いを抱かせる。2025年の同じ時期と比較して1万人近く減少し、人口減少の波は止まる気配を見せない。人口減少に対する県民の受け止めと、県の新たな取り組みを取材した。
高知県によると、4月1日時点の県全体の推計人口は63万8338人。2025年の同時期と比較して9975人の減少となった。ピークだった1955年の88万2683人と比べると3割ほど減少しており、過去最少を更新し続けている。
特に春は、進学や就職を機に若者を中心に県外へ転出する、いわゆる「社会減」が多くなる傾向がある。実際、2026年3月だけで2125人の「社会減」を記録した。
県民が抱く「将来への不安」
この数を県民はどう受け止めたのか。高知市内で話を聞くと、切実な声が帰ってきた。
「最近減っていくスピードめちゃくちゃ早いですね。将来が恐ろしいです」と語るのは、高知市内に住む男性。「自分が一度県外に出ているので、(子どもには県外に)出て外の世界を見てほしいなというのもあるが、出てしまうともう戻ってこないと思う」と、親として複雑な胸中を明かした。
また、高知市の女性は経済的な側面を指摘する。
「若い人がどんどんいなくなっているなという実感はあります。親を見ていると給与があまり高くないので、仮に(一時的に)給与が上がったとしてもそこまで上がらないのではないかというのが透けて見えて厳しいのではないか」
2050年、県人口は45万人まで落ち込む可能性が
ここで注目したいのが、国立社会保障・人口問題研究所が取りまとめている「将来推計人口」のデータだ。直近では2023年に公表されていて、2020年の国勢調査を基に2050年まで5年ごとの推計人口が算出されている。
そのデータによると高知県は、2025年で64万8000人と推計されていて、これは県が2025年春に発表した数字とほとんど変わらない。
そしてこの研究所の推計では、2035年には60万人を大きく割り込む56万8000人、2050年には45万人にまで落ち込む見通しである。
「元気な未来創造課」の新たな対策
県も手をこまねいているわけではない。2026年度の当初予算では、人口減少対策に向けた予算を前年度より75億円増額、656億円を計上した。移住・定住対策の強化や、結婚を希望する若者を後押しする出会いの場の拡充に乗り出している。
その司令塔となるのが、2026年4月に新設された「元気な未来創造課」だ。
これまで各部署に分散していた少子化対策や出会いのサポート、共働き・共育ての推進業務を一元化。14人体制で、迅速な事業展開を目指す。
池忠俊課長は「減少傾向に歯止めがかかっていないことを重く受け止めている。業務が一つになった利点を生かし、対策を前に進めたい」と意気込みを語る。
私たちが歩む「これからの道」
人口は、そのまま地域の活力に直結する。県がリーダーシップを発揮し、既成の概念にとらわれない強力な取り組みを展開することが、今まさに求められている。
インタビューの中では、結婚を望みながらも経済的な不安を口にする若者も多かった。所得の向上をいかに実現し、若い世代が「ここで生きていく」という希望を持てる環境をどう作るか。
一人一人の生活に寄り添った施策が、高知の未来を左右することになるだろう。