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  • ㈱T2代表取締役CEO 熊部雅友(左から2番目)
  • ㈱T2事業開発本部長 國年賢(左端)
  • ㈱T2事業開発本部 経営企画部部長 亀谷直樹(右から2番目)
  • ㈱T2事業開発本部 ソリューション企画部プロジェクトマネージャー 木村泰雄(右端)
  • 日本郵便㈱執行役員 五味儀裕(中央左)
  • 日本郵便㈱郵便・物流ネットワーク部係長 石橋亮(中央右)



まえがき

日に日に目にすることの多くなった自動運転のニュース、その段階は運転支援の度合いに応じて、レベル1から5の段階に分かれる。物流業界が2024年、2026年問題といった大きな問題を前にする中、高速道路という特定の条件下でシステムが完全運転を行うレベル4に向けて、日本郵便と自動運転のスタートアップであるT2(ティーツー)社との取り組みについて、現状の課題から目指す未来について関係者に聞いた。


課題だらけの物流業界、運送の根深い課題

インタビュアー: 現在の日本郵便の物流が抱える課題、特に運送における課題は何でしょうか?


日本郵便執行役員五味(以下、日本郵便五味): トラックドライバーが不足することに伴い輸送能力が不足し、従来のように荷物が運べなくなる可能性があることです。最近では、トラックドライバーの時間外労働に上限規制が適用されることに起因した2024年問題が話題になりましたが、トラックドライバーの高齢化や若年層のなり手不足により、更にドライバー不足が見込まれています。重要なインフラとしての物流網を維持する必要があるため、輸送能力の確保が喫緊の課題となっています。この構造は2030年に向けて、更に悪化すると予想されています。



T2代表取締役CEO熊部(以下、T2熊部): 現場ではドライバー不足が深刻化しています。当たり前の結果ですが、連動して輸送力が低下してきています。具体的な数値で言うと、何か対策を講じなければ2030年には34%ぐらいの輸送力が不足する結果になってくると予想されています。すると今後は物流のコストが上昇します。それらを放置することによって、7.5兆円から10兆円レベルの経済損失が顕在化するということも指摘されています。



インタビュアー: 課題は大きいですが、解決の糸口はあるのでしょうか?


日本郵便五味: 人口動態の構造変化を考えると、人手不足の深刻化のストーリーが描かれがちですが、我々のように物流にかかわる事業者としては、看過できません。


日本郵便では、他社との共同運行による積載率向上や中継拠点の整備、モーダルシフト(鉄道・航空利用)などを進めてきています。さらにはトレーラーを連結したスーパーフルトレーラー「SF25」といったものも活用していますが、まだまだ人手不足の決定的な解決策には至っていないと認識しています。


人がいないのなら、自動化の技術で解決できないか、ということになるわけですが、そこで自動運転の技術を持つスタートアップであるT2社との取り組みが、非常に大事になってくるわけです。T2社の自動運転トラックが実現すれば、トラックドライバー不足の解消に大きく貢献されると期待しています。もはや課題は業界の課題ではなく、社会課題です。そこの解決につなげていきたいという想いがあります。


T2熊部: T2では、そのご期待に応えるべく、自動運転のトラックを活用した新しい物流の形を提案することによって、新たな形の輸送力を提供したいと思っています。自動運転の技術開発は、世界を見ると結構進んでいます。みなさまも米国や中国の映像を見る機会があるでしょう。この環境下で我々は自社で自動運転の技術を開発していますが、その技術を自ら活用して、実際の運送事業まで踏み込んでいることが、我々の大きな特徴になっています。技術開発と事業開発の両輪を回していくという感じですね。


インタビュアー: 人口動態の変化、労働力不足の中、大きな一歩になりそうです。日本郵便とT2の取り組みについて具体例を教えてください。



日本郵便 郵便・物流ネットワーク部石橋係長(以下、日本郵便石橋): 2026年の1月から、T2社の自動運転トラックによる神奈川・大阪間の物流幹線輸送の単独便の運行を開始しました。以前から西濃運輸様と共同で、自動運転トラックの利用に取り組んできましたが、安定した運行が確認できたことから、レベル4の自動運転トラックの導入を見据え、新たに単独運行に段階を進めました。


また、T2社が主催する自動運転トラック輸送実現会議に参画しています。そこにはレベル4の自動運転のオペレーション確立や普及拡大に向け様々な事業者が参画しており、当社もそのうちの1社として、実証実験への協力などに取り組んでいます。


総合商社とユニコーンが組んだ運転技術のT2社とは

インタビュアー: T2社は、総合商社である三井物産とユニコーン(時価総額の大きい未上場企業)であるPreferred Networks(プリファードネットワークス)の共同出資によって、2022年に設立されたと伺っています。その生い立ち、狙いについて教えてください。


T2事業開発本部長國年(以下、T2國年): T2の設立は2022年の8月なのですが、実際の構想はもう少し前の2020年の5月からありました。三井物産がPreferred Networks(以下、PFN)に出資したという背景もあり、もっと何かできないか、シナジーを創出できないか、というところが始まりでした。




掛け算としては、三井物産のビジネス構築力とPFNの技術力になるでしょうか。PFNと議論をする中で、自動運転トラックの領域に思考を拡げていました。


その自動運転ですが、乗用車の分野には、すでに多くのプレーヤーがいたので、商用車の分野かつ幹線輸送での自動運転が世の中の役に立てるのでは思ったのです。


インタビュアー: 偶発性と社会的ニーズから着想が広がっていったT2社ですが、現在の環境下で目指すところについて教えてください。


T2熊部: さきほど、五味さんがおっしゃったように、商用車の分野には課題が山積しています。さらに、詳細をブレイクダウンしていくと、商用車の中でも特に「幹線(幹線輸送)」、都市間や主要な物流拠点を結ぶ、長距離かつ大規模の貨物輸送に課題があることが、分かりました。


まず、関東と関西を結ぶ幹線でのレベル4自動運転(高速道路という特定の条件下でシステムによる無人運転)が目標です。すでにレベル2(人がサポートをする自動運転)については、日本郵便をはじめ40社あまりの事業者の方と実証をしています。


私たちが介することによって、自動運転を物流・運送分野における「社会実装」に持っていくことが、大きな命題だと思っています。


T2との協業は自然な流れ

インタビュアー: 日本郵便はなぜT2をパートナーとして選んだのでしょうか?


日本郵便五味: 「社会実装」に向けて、技術面と技術面以外の点に取り組んでいる点が大きいです。T2社はレベル2自動運転のトラックの公道実証を経て、安定的にトラックの自動運転走行を実現していることに加え、多くの行政・事業者と協働して、技術面以外の検証、法制面の整備や社会的受容の醸成に向けた取り組みを行っていることから、当社としても協業したいと考えました。


全国にネットワークを持つ日本郵便は、社会的プラットフォームとしての役割もあります。日本郵便の現場の課題を解決しうる技術を持つT2社と組むことは、日本郵政全体の未来のプラットフォームを構築することに直結すると思います。


インタビュアー: T2によって、日本郵便グループからの出資はどのような意味合いを持ちましたか?


T2熊部: 我々が使命としている「自動運転技術を活用して日本の物流を共に支える」という点において、物流事業者との連携は必須だと考えていました。その中でも日本を代表する物流事業者である日本郵便との協業、共創は非常に大きな意味を持っています。


また、T2には現在200名以上の社員がいますが、誰もが知っている日本郵便と取り組みをしているということは、モチベーションの源泉にもなっています。


実証実験の狙い・見えてきたこと

インタビュアー: 実証実験の狙いや見えてきたことはありますか?


日本郵便五味: まず、実証実験に参加することによって、技術面以外の課題、故障時の緊急対応、運行管理の方法、切替ポイントの運用等、クリアすべき課題と方向性が見えると考えていました。例えば故障車両が発生した際にどこで受け入れるかなどの事前のルール作りが必要になります。


日本郵便石橋: 「自動運転」に関してはニュースでもよく見かけますが、どこか未来の話というか具体的にイメージすることが難しかったものの、実証実験を通じて実際に自動運転トラックを運行することで、安定的な運行が可能ということを理解できたことに大きな意義がありました。


また、T2が主催している自動運転トラック輸送実現会議からの発見、気づきもあります。レベル4の実現に向けて、ワーキンググループ内の議論は非常に示唆深い視点、意見を交換することが出来ています。



T2事業開発本部経営企画部部長亀谷: 自動運転トラック輸送実現会議ですが、日本郵便様には当初から参画いただいています。その中でも、月次のワーキンググループでは、非常に貴重な現場の知見をいただいています。時には厳しいコメントも頂戴しながら、我々の企画、事業に対して反映させていただいています。昨年の7月と今年の1月には、実証実験をやらせていただきました。このうち後者は関東・関西間の48時間の2往復です。これはまだ誰もやったことがない初の試みでした。非常に協力的にご参加いただき、我々としては大変ありがたく思っております。


また、日本郵便様が持っているいろんなアセット、例えば各拠点の利活用にも興味があります。規模感が違いますから、さらに未来を見据えた取り組みができるのではないかと感じています。


T2事業開発本部ソリューション企画部プロジェクトマネージャー木村(以下、T2木村): 当然、物理的な気づきもあります。積載方法一つを取ってもパレット(フォークリフトで運搬する際に使用する平らな荷台)で積んだらどうなるか、ロールボックスパレット(キャスターがついたカゴ台車)で積んだらどうなるかといった点は効率面で非常に大切ですし、重い荷物を運ぶ際、どのような配置で積載したほうが自動運転にとって、より安全で効果的かといった点についても実証しています。


レベル4の社会実装に向けて

インタビュアー: レベル4に向けての目標や、その先の展開はありますか?


T2熊部: まず、近いところで、我々は2027年度にレベル4でトラックを走らせたいと思っています。これが第一段階です。次に商用運行の本格開始。2029年を目指しています。エリアの拡大では、より西のほうに延伸すること、装備面では、トラックの種類を増やして、トラクタートレーラー(牽引型)を導入することも計画しています。


大きな視点でいうと、諸外国は国策として、自動運転に取り組んでいるように見えます。一方で、日本ではまだまだ普及していないのが現状でしょう。国土交通省の「自動運転の社会実現に向けた国土交通省の取組について」によると、第3次交通政策基本計画の⾃動運転KPIとして、2030年度における ⾃動運転サービス⾞両数として、10,000台が掲げられています。そのうち1割ぐらいはトラックと言われていますので、期待は大きいです。


日本郵便五味: やはりレベル4の自動運転、まずここを実現したいですね。単に技術を開発するだけでなく事業として開発し、社会実装をする。責任を持つと言うとちょっと言い過ぎかも知れませんが、レベル4の自動運転がある社会、世界を作っていきたいです。


実際はトラックのスペック、運用面の課題のクリア、道路のインフラの状況把握など、様々な要素が組み合わさらないとこの社会実装には至りません。そこで、関係者・ステークホルダーのみなさまに声掛けして巻き込みながら、実現に向けて進んでいきたいです。


また、若干手前味噌ですけれども、我々のような規模感のある物流事業者が、自動運転運行にコミットするということも非常に重要だと思っています。


T2木村: 今は関東・関西という括りで実証実験を重ねていますが、超長距離、中国地方・四国地方・九州地方にまでカバー範囲を広げてT2の自動運転トラックを走らせたいですね。


T2熊部: 自動運転が当たり前の時代になってくると自動運転に向いている荷物の形や公共インフラといったものが出てくるでしょう。様々な調整や擦り合わせが必要になると思いますが、物流業界全体で盛り上げていければいいですね。


日本郵便五味: 自動運転で置き換わっていくものは多くなると思います。日本郵便の郵便や宅配便を届ける際の仕組みも大きく変わるでしょう。いままで局内における仕分け等は自動化が進んでいましたが、ドライバーの領域は、自動化が非常に難しかった領域です。


T2社との取り組み、自動運転の社会実装によって、変化するのは、物理的なモノの移動だけではなく、働く人のワークライフバランスの変化、向上になると思っています。


あとがき

自動運転と聞くと、まず目に浮かぶのは自動車やトラックが無人で走っている姿だが、最前線で自動運転に取り組むプレーヤーが目指しているのは、その先の「社会実装」であることが大変印象的だった。それは、部分最適ではなく、サプライチェーンの構築や公共インフラの整備に近く、最終的にはワークライフバランスにつながっていくということは、今後の日本の人口動態、経済動向に大きなインパクトを与えていくことを示唆していると強く感じた。


文/株式会社ディスラプターズ 執行役員 曽根 康司









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