【“怪物・江川”甲子園に登場 4試合で60奪三振伝説】
遠藤:
そして初めてのセンバツ、甲子園出場ということになるわけですが、この年の成績が、1回戦完封勝ち、2回戦先発7回投げて、この時も8 - 0で勝って、準々決勝も完封と。
なので、準々決勝までは本当に1失点もなく勝ち上がって、ついに準決勝。

[ 作新学院3年(1973年) 春のセンバツ
1回戦 2 - 0 北陽 9回4安打無失点19奪三振
2回戦 8 - 0 小倉南 7回1安打無失点10奪三振
準々決勝 3 - 0 今治西 9回1安打無失点20奪三振
準決勝 1 - 2 広島商 8回2安打2失点11奪三振 ]
江川:
負けるんですね、これが。
徳光:
広島商業にね。
奪三振60で、これがセンバツの記録になるんですよね。

江川:
これね、でも決勝行けなかったので惜しいんですよ。
決勝までいけば、たぶん70かもうちょっといってると思うんですよ。
徳光:
そうか。
江川:
もう1試合あるから。
徳光:
そうですよね。
江川:
そうすると、ちょっとしばらく抜けない感じだと思うんですけど、4試合なのでちょっと抜かれる可能性があるなと思ってて。

[ 1大会60奪三振は現在でもセンバツ記録。江川以外50奪三振以上した投手は決勝まで投球 ]
遠藤:
4試合で60って。
徳光:
そうだよね。
遠藤:
考えられないですね。
徳光:
33イニングで60奪三振だからね。
江川:
そうですね。
遠藤:
そして迎える準決勝。広島商業戦なわけなんですが、こちらも以前出演してくださった達川光男さん(広島商)の証言があります。
江川:
みんないろんなこと言っていただいて、ありがたいですね。
徳光:
本当に多いんだよ、江川さんの話。

2025年10月7日放送:
達川光男:
江川と対戦したというのはもう。
徳光:
江川と対戦したわけですか。
達川:
これはもう一生忘れないね。
徳光:
これやっぱり、ものすごい試合になりました?
達川:
2 - 1で勝ちましたけど、やっぱり実力はもう江川ですよ、すべて。
遠藤:
これ江川さんから1点、ここで取ったってことですよね。
達川:
私のね、火の出るようなフォアボールで。

達川:
江川が50歳の時に、江川が「達川、今だから言うんだけど、俺寝違えてたんだ」と。
徳光:
あの時に。
達川:
あのね、「あの時雨降ったろ」って言うから、「雨降ったよ。順延になったよ」。
あの時に、(試合前日)少しソファかなんかで寝たらしいんですよ。
その時に寝違えたらしい。
痛み止めも何もなかったんで、そのままやったんじゃないのかな、言えないし。
徳光:
今の寝違えの話は本当なんですか?
江川:
本当です。たまたま広島商業との試合の前の日は雨が降って中止になったんですよ。
宿舎にいますよね。宿舎にいたら報道関係の方が、普通ロビーまでしか入れないんですけど、部屋に入ってきちゃったんですよ。
インタビューしようとして、部屋にみんな入ってきたので、部屋に来られたら困るんで、どっかないかなと思ったら、2階に食堂があったんですけど、食堂がカーテンを閉められて、そこに180cmのソファがあったんで、そこに隠れてたんですね。
そしたら疲れてたんで寝ちゃったわけですけど、僕183cmあるんで、寝て、少し首がこういうふうに傾けてないと入らないんですよ。
で、起きたらね、ここのとこが寝違えで動かないんですよ。

江川:
それで広島商業の試合になった時に、全然ファースト見られないですよ。
それで試合やったっていうのを達川に、50歳の時って言ってましたね、伝えたんですけど。
どうしようかなと思ったけど、やっぱり達川には本当のこと言っといた方がいいなと思って。
徳光:
でもその寝違えたことは広商は分かんないでしょうけれども、明らかに(広島商の)迫田穆成監督の作戦として、「江川対策」みたいなものはお感じになりました?

[ 迫田穆成(さこだ・よしあき、2023年没・84歳)
現役時代は広島商の主将として1957年に甲子園優勝。監督として広島商で春夏通算6回出場し、73年夏は優勝に導いた ]
江川:
あんまり打ってこなかったですね。待ちでしたね。ずっとこう。
振ってこないで、ボールをいっぱい投げさせようとしてるんじゃないかなっていうふうに思ったんですけど。
高めでいつも振るボールはみんな見逃してきたので、球数がどんどん増えていったと思いますね。
だからフォアボールがね、たぶん寝違えてるんで、8つぐらい出してるんですよ。
徳光:
そのくらい出てますね。

江川:
たぶんフォアボール8個だと思います。
遠藤:
そうですね。
江川:
でもヒットは2本しか打たれてないんですよ。
徳光:
打たれてない、そう。
江川:
その2本のうちの1本が、佃君のライト前ヒットで。
徳光:
そうですね。
江川:
それで1点取られたんですけど。
徳光:
で、ダブルスチールを敢行されたじゃないですか?
今、その寝違えでわかったんですけど、寝違えでなければダブルスチールはなかったかもしれない。

[ 8回広島商はランナー1・二塁からダブルスチール。捕手から3塁への送球がそれて本塁生還、決勝点に ]
江川:
でもセカンドなんで、こっちは見えるんですよ。
徳光:
そっちは見えたんですか?
江川:
こっち見えないだけでで、こうやってやったら、見てて投げようとしたら、(2塁ランナーの)金光興二君って言うんですけど、スタートしたんですけど、タイミングがアウトのタイミングだったんですけど、キャッチャーがちょっと高く投げまして、サードのをレフトに投げちゃったんで。
徳光:
そうなんですか。

江川:
それで1点入ったんですね。
でもそれも迫田さんっていう監督さんが考えた奇襲ですね、2アウトからですから。
2アウト1塁・2塁ですから。
僕はキャッチャーにものすごく大きな声で「投げるな」って言ったんですよ。だって2アウトだから。
別にバッターをアウトにすればいいことなんで。

江川:
走っても走らなくてもいいわけじゃないですか。2塁・3塁でも1塁・2塁でも一緒なので。
だけど、甲子園の「うわー」って歓声で、キャッチャーに「投げるな」って聞こえなかったんですね。
徳光:
そうですか。
江川:
それで、3塁からホームイン来て、それで2 - 1で負けたんですね。それがたぶん…。
予選から138イニング目だか、145イニング目だかなんですよ。
遠藤:
140イニングぶりの失点。

[ 5回裏の1失点は、2年秋の新チーム結成以来、140イニング目「初失点」だった ]
徳光:
甲子園の野球人生、高校野球時の人生としまして、ずいぶん悔しい思い出になったでしょう。
江川:
でも広島商業に負けた時に思ったのは、ああこういうちゃんとした細かい野球をするチームがあるんだっていうことを自分が知らなかったので、勉強になったなと思ってましたんで。
全然悔しいっていうよりも、なるほどすごいチームがやっぱり日本全国ってあるんだなっていうのは印象なんですよ。
徳光:
それが江川さんの印象?
(BSフジ「プロ野球レジェン堂」 2025年4月14日放送より)
「『空白の一日』「小林繁とのトレード」本人が語る真相」へ続く。
「プロ野球レジェン堂」
BSフジ 毎週火曜日午後10時から放送
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