京都府南丹市の山林で13日に遺体で発見された小学6年生・安達結希さん(11)をめぐり、京都府警は15日朝、死体遺棄の疑いで安達さんの自宅の家宅捜索を行った。

捜索は午前7時過ぎに始まり、11時間以上にわたって続いた。

捜査員が母屋横の倉庫を含む敷地内を広く調べる一方、警察は親族からも慎重に話を聞いているという。

なぜ11歳の小学生が突然姿を消し、遺体で発見されたのか。

関西テレビ「newsランナー」は、元静岡県警科学捜査研究所出身で犯罪心理学が専門の関西国際大学・中山誠教授と、2500体の解剖実績を持つ山口大学・藤宮龍也名誉教授(法医学)とともに、各現場を検証した。

また、スタジオでは元京都府警捜査一課長の樋口文和さんも加わり、解説した。

■「消防団が捜索したときには間違いなくない」 カバン発見の不可解

中山教授がまず向かったのは、学校の西側におよそ3キロ離れた山中の峠道だ。

3月29日、この場所で親族が安達さんの通学用カバンを発見した。

ただし、その前日などに消防団が周辺を捜索していたにもかかわらず、カバンは見つかっていなかった。

「消防団が捜索したときには、間違いなくない。見つけてないんだから。その後、1日後に見つかったというのは、誰かが置いたか」と中山教授は述べ、第三者の関与の可能性を指摘した。

さらに教授は、カバンが目立つ形で置かれた“意図”についても言及。

元静岡県警・科捜研 中山誠教授:見つけてほしくないものと東西南北、逆方向に置く。そこに注意を集中させる、そういう意図はあった可能性がある。

元静岡県警・科捜研 中山誠教授
元静岡県警・科捜研 中山誠教授
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■「証拠隠滅」か、「偽装工作」か 5キロ以上離れた場所で靴が発見

4月12日、今度は安達さんが履いていた靴に似たスニーカーが、カバンの発見現場から南に5キロ以上離れた山中で見つかった。

カバンの発見現場とは変わって、人目につきにくい場所だった。

中山教授は「ここに何か置く、遺棄するということは、今度は証拠隠滅。見られないような場所に捨てた可能性はある」と話し、カバンの場合とは「まったく逆だという気がします」と述べた。

元静岡県警・科捜研 中山誠教授
元静岡県警・科捜研 中山誠教授

■「靴に付着した土が重要な証拠になり得る」

こうした場所では、靴に付着した土が重要な証拠になり得るという。

元静岡県警・科捜研 中山誠教授:土に含まれる鉱物性成分や植物性成分から、歩いてきたのか、靴だけ捨てられたのか、その違いは出てくる。ここに結希さんの意思で歩いてきていないと立証することで、第三者が浮かび上がる。

また、現場に残る足跡の有無についても、「人通りが少ないのであれば、足跡は部分的には残っていると思う。それがないとなると、靴を履いて歩いてきたのではなく、捨てられたか」と述べた。

元静岡県警・科捜研 中山誠教授
元静岡県警・科捜研 中山誠教授

■「ギリギリの気持ちで運んだんじゃないか」 遺体発見現場で感じた焦り

13日夕方、小学校から南西におよそ2キロ離れた山林で子どもとみられる遺体が発見され、14日に安達さんと確認された。

この現場を実際に訪れた中山教授は、ある“違和感”を覚えたという。

元静岡県警・科捜研 中山誠教授:意外というか、見通しがきくというか、かなり遠くからでも見える。ご遺体を早く自分の車から遠ざけたい、焦ってギリギリの気持ちで運んだんじゃないですかね。計画的にするのであれば、もっと山の奥へ行く。一刻も早くという時間的な焦りを感じる。

教授は3つの発見地点の関係性についても分析し、「遺体と靴は時間的に連続しているが、カバンはまったく別の日ではないか」と述べた。

カバンについては「注意の方向を違うところへ向けて、遺体や靴の発見を遅らせるような偽装工作だった可能性がある」と指摘。

こうした状況を総合して、教授は事件性について明言した。

元静岡県警・科捜研 中山誠教授:結希さんが3カ所を1人で歩きながら、カバンを置いて靴を脱いでということは考えられない。事件性は非常に高いと思います。

元静岡県警・科捜研 中山誠教授
元静岡県警・科捜研 中山誠教授

■「死因は不詳」 司法解剖の結果と法医学の壁

14日に実施された安達さんの司法解剖では、死亡時期は3月下旬ごろとされたものの、死因については「不詳」と発表された。

藤宮名誉教授は、死因が不詳とされた理由について次のように説明。

山口大学 藤宮龍也名誉教授:(死因)不詳とする典型例は白骨化死体です。腐敗や食害、小動物等からの損壊で体が白骨化した場合には、所見をとることができませんので、典型的な死因不詳になります。

遺体には刺し傷や切り傷はなかったと報告されていますが、今後の死因特定の可能性については「組織検査・薬物検査・DNA検査等、色々なものを含めて、1〜2カ月後に鑑定書を作るのが一般的で、そこで一つの結論を出すのが法医学の流れになります」と述べた。

また、仮に薬物が死因に関与していた場合は、鑑定結果が出るまでに1カ月ほどかかることがあり、現時点では死因を特定できないこともある。

山口大学 藤宮龍也名誉教授
山口大学 藤宮龍也名誉教授

■子どもの解剖に特有の難しさ 「抵抗がほとんどできない状態に」

藤宮名誉教授は、一般論として子どもを解剖する場合に特有の困難さも指摘した。

山口大学 藤宮龍也名誉教授:子どもの場合は骨が柔らかいので、所見が出にくい可能性がある。痕跡というのは基本的に抵抗することによってできる。鼻と口を押さえても、避けようとして顔が動いたりすると擦過傷などができる。ところが、子どもと大人では外力が圧倒的に違うので、抵抗がほとんどできない状態になり、非常に所見が少なくなります。

例えば窒息の場合、成人では舌骨(喉仏のすぐ上にある骨)が折れることで、痕跡を確認できるケースがありますが、子どもの場合は骨が柔らかいために折れにくく、発見が困難になるという。

こうした見解に対し、中山教授は「藤宮先生がおっしゃっている『子ども』というのは、もっと幼い年齢を指している可能性もある。5年生、もうすぐ6年生になろうという年齢でも、この見解が通用するかどうかは、少し考える必要がある」と述べ、年齢・体格・男女差によっても所見の出方が変わることを示唆した。

また、元京都府警捜査一課長の樋口文和さんによると、小学校高学年の男の子であれば「抵抗するのではないか」と推測する一方、「薬物などを使用して犯行に及んだ場合は抵抗できないと思う」と指摘。

子どもの解剖に特有の難しさ
子どもの解剖に特有の難しさ

■捜索11時間超 敷地内に加え裏の雑木林にも

15日に行われた家宅捜索では、午前中から捜査員が敷地内をメジャーで計測したり、ボードに書き込んだりする姿が確認された。

また、自宅裏の雑木林にも捜査員が入り、捜索範囲が敷地の外にも広げられた可能性があるという。

夕方から雨足が強まる中、捜索は11時間を超えても続いた。

捜索の容疑は死体遺棄だが、中山教授は「今は死体遺棄ということだけでやっているが、おそらく殺人ということまで想定してやっていると思う。犯行場所の特定、例えば車の中に尿失禁の跡がないかどうか、そういった方向で進めていると思います」と述べ、「捜査がすでに犯行立証の段階に向かっている」と解説した。

捜査関係者によると、自宅の倉庫も含め敷地内を広く捜索しており、終日かかる見通しだという。

警察は親族からも慎重に話を聞くなど、捜査を進めている。

捜索の様子
捜索の様子

■「捜査を撹乱するためにカバンを置いたのでは?」「時間軸は一つではない」

元京都府警捜査一課の樋口文和さんは「捜査を撹乱するためにカバンを置いたのでは?」と指摘した。

カバンについては、どちらかというと、その捜査の目を逃れるために置いて捜査を撹乱するような目的がある。捜索中に何らかの形で車で移動しておいた可能性がある。

また、中山教授は「時間軸は一つではない」と指摘。

中山教授:遺体が置かれた場所から靴は(時間軸が)連続している。かばんは全く別の日じゃないか。かばんの方はもし偽装工作というか、注意の方向を違うところに向けて、発見を遅らせるような方向でやっている。そこへ行くのに歩いて行ったと思えないので。第三者が捨てたとして、かなりの距離がありますからね。

また、遺体を遺棄した時間については樋口さんは「夜に焦って遺棄したのではないか」と推測し、中山教授は「午前中に遺棄したのではないか」と推測した。

(関西テレビ「newsランナー」2026年4月15日放送)

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