船舶事故での迅速な救助・救急活動など海の安心・安全を守る海上保安庁…。
しかし近年、喫緊の課題となっているのが『人材の確保』です。
身長・体重制限を撤廃するなどして採用活動が進められる中、瀬戸内海を中心に担う第六管区海上保安本部も『最大かつ最新鋭』の練習船を使って、身近な海を守る魅力を積極アピール。
そんな船内をキラキラとした眼差しで見学していたのは、愛媛県松山市から訪れた当時高校3年生の曽我部銀治郎さんです。
【曽我部銀治郎さん】
Q:どうでした?
A:「すごく遠くまで見えて本当にこんなに見えるんだとビックリした」
きっかけは、去年1月にたまたま立ち寄った店で開かれていたイベントだったといいます。
そこで、海上保安庁の仕事を初めて知り、憧れから目標へと変わりました…。
この体験航海後、進路を海上保安庁一本に絞り、夢に向かって努力を重ね見事試験を突破しました。
先月、高校を卒業し地元愛媛を離れた曽我部さんの姿は、新たな生活の拠点、呉市の「海上保安大学校」にありました。
【曽我部銀治郎さん】
「このようなベッドメイクの作業も、実際に船に乗った際に使うことがあると、一つ一つの行動に意味があると思い、常に全力を心掛けております」
入学式の数日前から寮生活が始まり、毎日の就寝・起床時に整える布団のたたみ方など、早くも訓練を受けていた曽我部さん…。
【曽我部銀治郎さん】
「なかなか寝つきが悪くて少し寝不足です…」
Q:海保の一員になったなと思う瞬間は?
A:「こちらの第一種制服の袖を通したときです」
高校生から一転、日本の安全を守る責任を背負う立場に…。
心の準備はしてきましたが、厳しい規律に沿った寮生活や訓練で不安なときに力をもらう心の支えがあります。
【父:雅之さんからの手紙】
「これから進む道は今までにないほど厳しく、険しいものかもしれない。でも、人生の逆境は乗り越えられる人にしか訪れないもの。自分が信じた道を、銀ちゃんらしく進んでいってほしい」
【母:香織さんからの手紙】
「銀ちゃんなら大丈夫。きっとうまくいくよ。いつも応援してるよ」
実家を出るときにもらった両親と兄からの手紙…。
家族のエールを胸に堂々と入学式に臨みました。
「曽我部銀治郎」
「はい!」
今年、高校卒業して入学した同期は67人。
海上保安大学校によりますと、学生採用試験の「実質倍率」は3.1倍と『過去最低水準』だった前年より0.4ポイントアップ。
人材確保に向けた課題は残るものの、切磋琢磨し入学した未来の海上保安官たちに学校長がエールを送ります。
【海上保安大学校 澤井幸保 校長】
「自覚と覚悟を持ち、周りの仲間とともに日々努力を積み重ね成長していくことを切に期待しています」
新たなスタートラインに立った息子の勇姿を会場で目に焼き付けた両親…。
【父:雅之さん】
「今まで通り自分らしくたくましく育ってくれたらいい」
【母:香織さん】
「あまり笑わないですね。よく笑う子なんですけどね。口元がギュッというか…」
【曽我部銀治郎さん】
「少し口角があがらなくなってきたというか…。ここら辺でとまってしまう」
Q:それはなぜ?
A:「緊張感が常にあるからです」
そして両親と記念写真に収まった曽我部さん…。
「頑張ります…!」
優しいまなざしを向ける母親を前に思わず涙が溢れます。
「この生活になって両親に支えてもらったことの感謝を…」
離れて気づく親の存在の大きさ…。
「もう泣かん!」
「私は日本中の海を守りたいので、たくさんの地で船長や主任航海士を務め、この日本の海を守りたいと考えています」
強い決意を胸に幹部海上保安官への一歩を踏み出しました。