4月4日、富山県氷見市でおよそ3年ぶりとなる大相撲春巡業「氷見場所」が開催された。会場はこの日を待ちわびた相撲ファンで朝から長蛇の列をなし、最終的におよそ4400人が訪れる満員御礼の盛況ぶり。中でも最大の注目を集めたのが、幕内復帰後、初めての地元凱旋を果たした朝乃山関だ。


「白まわしで帰って来られて良かった」

昨年の富山市での巡業では、まだ幕下在籍中だったため黒まわしで登場した朝乃山。しかし今回は、十両以上の関取だけがつけることを許される白まわしを締めて地元のファンの前に姿を現した。
「一年前は富山市での巡業で、その時は黒まわしだったが、今回氷見巡業は白まわしで帰って来られて良かった」

朝乃山本人がそう語るように、今回の凱旋は本人にとっても特別な意味を持つものだった。握手会ではひときわ長い列ができ、一番の人気となっていた。「すごい楽しみにしてきょう来ました」「お目当ては朝乃山です」と口をそろえ、相撲ファンは朝乃山を熱烈に歓迎した。
恩師の長男・鶴英山に約5分間、胸を貸す


巡業の中でもとりわけ会場が沸いたシーンがあった。朝乃山が、富山商業時代の恩師で今は亡き浦山英樹さんの長男・鶴英山におよそ5分間にわたって胸を貸したのだ。地元ならではの感慨が会場を包んだ。
「鶴英山は小さい時から知っているので、こうやって胸を出せるのは自分も嬉しかった。幕下で頑張っているので早く関取になってほしいという思いを込めて胸を出した」
そう語る朝乃山の言葉には、先輩力士としての温かさと、恩師への敬意がにじんでいた。
コミカルな「初切」、髪結実演……巡業ならではの楽しさも満載

取組だけでなく、巡業ならではのイベントも会場を大いに盛り上げた。禁じ手などをコミカルに紹介する「初切(しょっきり)」では終始笑いと歓声が絶えず、朝乃山の髪結実演も観客の熱視線を集めた。

さらにファンからの質問コーナーでは、こんな直球質問が飛び出した。
「どうしても気になるんですけど、結婚はいつごろでしょうか?」

これに対して朝乃山は「まだ決まっていないので、来年か再来年にはできるようにする」と答え、会場をわかせた。
取組では宇良を豪快な上手投げで撃破

イベントだけでなく、肝心の取組でも朝乃山は存在感を見せた。人気力士・宇良と対戦し、豪快な上手投げで勝利。スタンドからは大きな歓声が上がった。

「カッコよかった」「戻ってきてくれて良かった。これから益々上にのぼっていってほしい」
ファンの言葉が、地元の期待の大きさを物語っている。一方で「昇進よりも怪我だけ、それだけ気を付けてもらえれば」と、心配しながらも温かく見守る声も聞かれた。
「二桁以上目指して頑張りたい」 5月場所へ向けて力強い言葉
春場所では二桁勝利に届かなかった朝乃山だが、次の目標はすでに定まっている。

「5月場所はしっかり稽古して、二桁以上目指して頑張りたい。富山県民の皆さんの応援が一番力になるので、期待に応えられるように残りの相撲人生もやっていきたい」

地元・富山のファンたちの声援を力に変え、朝乃山は再び上位を目指して土俵に上がる。氷見の地に沸いた熱気と声援が、その背中を確かに押している。
(富山テレビ放送)
