3月30日、ロンドンの自然豊かなリージェンツパークで、日英桜植樹プロジェクトの関係者が集まった。日本とイギリスの間で変わらない友好を象徴する桜。このプロジェクトは、年内にイギリス国内で桜1万本の植樹達成を目標に活動を続けており、2024年には天皇皇后両陛下による記念植樹も行われた。

「日本の心」でイギリスを元気づけたい

「日英桜植樹プロジェクト」は、2019年に本格始動した。当初は1000本の植樹を目標としていたが、ロンドンにとどまらず、各地の自治体や学校が積極的に受け入れたことで、その規模は着実に広がり、今では約1000カ所に9400本の桜が植えられるまでに至った。

左:鈴木浩氏(現駐英大使)右:佐野圭作氏(現桜色実行委員会会長)(2026年3月30日)
左:鈴木浩氏(現駐英大使)右:佐野圭作氏(現桜色実行委員会会長)(2026年3月30日)
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プロジェクトの発端は、2016年6月、イギリスによるEU離脱決定直後にさかのぼる。
当時、イギリスを拠点にヨーロッパ事業を展開してきた日本企業の先行きに不透明感が広がっていた。そうした中、イギリスにある日本人会の会長であった佐野圭作氏は、「日英の変わらぬ友好を象徴する形」として、桜の植樹を提案したという。プロジェクトは、当時日英協会理事長の塚本隆史氏、そして安倍晋三総理の秘書官だった鈴木浩氏らとともに立ち上げられた。

最初の桜植樹(2019年)
最初の桜植樹(2019年)

2017年には、メイ英首相と安倍総理が交わした日英共同宣言にも、パートナーシップ強化の一環として盛り込まれ、日英関係を象徴する取り組みとして国家レベルでも位置づけられるようになった。佐野氏は「何が起ころうとも、日本とイギリスの友情は変わらない。日本の心である桜で、イギリスを元気づけたい」と述べ、植樹に込めた思いを語った。

イギリスの日常に根づく桜

日英桜植樹プロジェクトは、安全保障や経済協力といった国家間の関係を超え、日々の暮らしのなかで人と人とのつながりを感じさせる取り組みでもある。

住宅街に佇む桜の木(2026年3月21日)
住宅街に佇む桜の木(2026年3月21日)

イギリス在住の日本人は「桜は住宅街にも咲いていて、日本にいる時と同じように身近に楽しむことができる」と話し、桜がイギリス社会の日常に溶け込みつつあることを実感させた。

リージェンツパークでの花見イベントには100人以上が集まった(2026年3月30日)
リージェンツパークでの花見イベントには100人以上が集まった(2026年3月30日)

プロジェクトに7年前の立ち上げから携わっている鈴木大使は「イギリスの方々からプロジェクトを一緒に進めたいという、ものすごい情熱を感じている。日英友好のシンボルとして認められてきている」と誇らしげに語った。

1万本目の桜が植えられるその瞬間は、両国の友好の歩みを改めて印象づける節目となりそうだ。

天皇皇后両陛下による記念植樹(2024年)
天皇皇后両陛下による記念植樹(2024年)

さらに2024年には、天皇皇后両陛下がイギリス訪問の際、天皇陛下が留学時代を過ごした思い出の地、オックスフォード大学マートン・カレッジを立ち寄られ、記念として校内に桜を植樹された。この桜も、日英桜植樹プロジェクトから贈られたものだった。

桜の植樹は、日英両国の友好関係を示す取り組みとして、イギリス各地に着実に根を広げている。
(FNNロンドン支局 中島佑馬)

中島佑馬
中島佑馬

FNNロンドン支局カメラマン
2025年 報道局 国際取材部に異動し、カメラマン兼記者を目指し奮闘。
カメラを通してまだ見ぬ世界を感じ伝えたい。ひとつひとつの発見を大切に、物事の本質を見極められるよう取り組んでいきます。
2013年フジテレビ入社後は、制作技術統括部での業務を中心に、オリンピックやスポーツ中継の技術統括、音楽番組のカメラマン、ワンカメショードラマなどを担当。