ダイヤ改正で西九州新幹線の並行在来線の特急は新幹線開業前の4分の1以下に減便された。利用客減少で今後さらなる減便の可能性に危機感を抱く沿線の市町では、観光客増加に活路を見出す取り組みが始まっている。

特急列車の本数維持を求めてきたが…

西九州新幹線の並行在来線沿線の自治体や佐賀県が本数維持を求めてきた特急列車。
この春のJR九州のダイヤ改正で肥前鹿島から博多を結ぶ特急「かささぎ」が1日14本から10本に減便となった。

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西九州新幹線の開業前は45本だった特急は、4年間で4分の1以下に激減した。

特急激減で寂しさ漂う駅のホーム

特急列車の激減で並行在来線沿線の駅の風景も以前とは変わった。

ダイヤ改正後のある日、午前11時半ごろの肥前鹿島駅。これまで、この時間帯は特急列車が乗客を迎え入れていたが、現在はその光景はなくなり、静かな駅のホームは心なしか寂しさに包まれていた。

ダイヤ改正の当日、肥前鹿島駅では新たなダイヤへの戸惑いや落胆の声も聞かれた。

利用客:
「(特急が)減るのはちょっと(困る)帰りの便とか結構遅いのがない」
「来週は岡山からおばが来るが、その帰りの電車が全然ない。(減便されて)午前10時台の特急がないから9時に絶対乗せないといけないからバタバタです」

JR九州「少ない利用客が減便の要因」

なぜ特急列車を減便するのか。
JR九州は、利用客が少ない現状が大きな要因だと説明する。

JR九州 取締役常務執行役員 貞苅路也 鉄道事業本部長:
(特急列車)かささぎの利用状況を調べたところ、それほどご利用いただいていない

JR九州は、特急列車を減便する一方、普通列車の増便や、江北駅で停車する特急本数を増やし、乗り換えで減便分を一部カバーするダイヤ改正で利便性を維持したいとしている。

さらに減便の不安も「観光で活路を」

利用客が少ないことによって特急列車が減便された西九州新幹線の並行在来線。
今後さらに特急列車を減便する可能性についてJR九州の幹部は去年12月の会見で「現時点ではない」と述べたが、利用客が減少している現状を考えると沿線の自治体や住民の不安は消えない。

今後さらに減便となり利便性が低下することに危機感を抱く並行在来線沿線の市町では、“観光客の増加”に活路を見出そうという取り組みが始まっている。

鹿島市観光協会 中村雄一郎 代表理事:
私たちが特急に乗っても(このエリアの)人口的には限度がありますよね。むしろ観光客の方がどうしたら来ていただけるのか(考えるべき)

佐賀県や鹿島市は53億円以上を投じて肥前鹿島駅とその周辺を整備している。来年度中には宿泊施設を兼ね備えた新たな駅舎が完成するほか、駅周辺を含めた街づくりが4年後に完了する見込みだ。

鹿島市観光協会 中村雄一郎 代表理事:
地元の方々と一緒になって、“表玄関”で使っていくという考え方を浸透させて、みんなで守っていかなければならない

「地元住民が乗るだけの駅ではない」

西九州新幹線の並行在来線沿線には魅力的な観光スポットがある。
古くから宿場町や港町として栄え、伝統的な建物や酒蔵が今も残る佐賀・鹿島市の肥前浜宿もそのひとつだ。

昔ながらの街並みが広がるエリアにほど近い肥前浜駅は2018年、開業当時(1930年)の駅舎が復元され生まれ変わった。

昔のたたずまいが残っている町を求めて来る観光客もいるという。

観光客:
普段の通勤列車では味わえないような温かみを感じられてすごく良かった

地酒を楽しめるバーが併設されているこの駅には週末を中心に観光列車も訪れ、降り立った乗客を地元の人たちがもてなす。

鹿島市観光協会 中村雄一郎 代表理事:
単なる乗り物に乗るだけの駅ではなくて、みんなが自分の“表玄関”として頑張っている

「減便による不便を言い訳にしない」

地域の魅力を十分に味わってもらうには、各エリアをつなぐ鉄道以外の交通手段も必要で、公共交通機関の整備など課題は山積している。

しかし、厳しい環境だからこそ地元の意識も変わってきたようだ。
「減便による不便さ」を言い訳にせず、このエリアの持つ潜在能力を生かした“まちづくり”の必要性を観光協会の幹部は指摘する。

鹿島市観光協会 中村雄一郎 代表理事:
不便だということを口に出したら観光客に来なくていいよ、という発信をしているようなものなので、もうそれは絶対やめようと。PRをしていけばこの地域、絶対いけると思います

特急列車の本数が西九州新幹線開業前の4分の1に激減した春のダイヤ改正。
交通機関の利便性が大きく低下するという厳しい環境の中、並行在来線沿線の住民や自治体は活路を見出すための“まちづくり”に取り組んでいる。

サガテレビ
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