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プレスリリース配信元:日本電気株式会社

日本電気株式会社(以下NEC)は、社会的価値が求められる製品や空間(環境製品など)を対象に、そこに内在する文脈をひも解き、生活者から選ばれる機会をつくる活動を行っています。データの活用や価値の証明方法に着目し、NECはお客さまの実務現場に根ざした課題整理と仮説検証を行い、学術的な視点からの検証および妥当性の研究を、明治大学商学部 加藤拓巳准教授と共同で進めてきました。
今回は、都市再開発における持続可能性の向上を考えるうえで、完成予定図(パース)において、どのような人々が描かれているかに着目しました。多様な人が思い思いに過ごせるまちを実現するためには、空間そのものだけでなく、そこに魅力を感じさせる表現や設計も重要と考えられます。本検証では、再開発の空間を題材に、ベビーカーの描写がまちの魅力に与える影響を検証しています。



都市再開発での持続可能性を実現する1つの要因は、多様な人々が魅力を感じ、そこに訪れたくなる場づくりです。再開発を担う自治体や関連企業は、再開発の完成予定図(パース)でまちを描写し、その魅力を多くの人々に発信しています。しかし、パースの内容に関する議論では、建物や設備といった空間構成要素を中心に議論が進むことが少なくありません。
本研究は、そこで過ごす人々の描写によるまちの魅力の違いを分析しました。ここで注目した要素はベビーカーです。子どもや子育て家族の存在はまちの活気をもたらし、かつファミリーレストランに代表されるように心理的な参入障壁を下げることが期待されます。ベビーカーの有無によるまちの魅力の違いをランダム化比較試験で検証した結果、ベビーカーの描写がある方が有意に高い評価を得ることが明らかになりました。この効果は、性別や年齢を問わず有効でした。この知見は、パースでの訴求だけでなく、まちの制度設計にも活用できます。ベビーカーが入りやすい場づくりをすることで、多様な人々にとってその都市の魅力が高まることが期待できます。
本研究成果は、日本電気株式会社(NEC)と明治大学商学部加藤拓巳准教授の共同研究として、2026 International Conference on Management, Tourism and Technologiesで採択され、Business and Economics (Springer)に掲載されます。

本研究のポイント
- 世界の都市は住民の獲得をめぐり激しい競争を繰り広げており、都市ブランディングは自治体や都市開発事業者にとって重要な政策手段です。都市ブランディングで象徴として位置付けられるのが公園です。ロンドンのハイドパークやニューヨークのセントラルパークに代表されるように、緑は都市のシンボルとして機能します。さらに、持続可能性を高める観点からも緑は重要な役割を果たすため、多くの再開発でも公園や緑が活用されます。

- 持続可能性は、環境への配慮だけでなく、多様な人々が集まることで地域の経済が活性化することも同時に求められます。そこで、再開発を担う自治体や関連企業は、パース(完成予想図)でまちを描写し、その魅力を多くの人々に発信しています。

- パースの内容に関する議論は建物や設備に傾倒しがちで、描かれる「人物」がどのような影響を与えるかについては十分な知見が蓄積されておりませんでした。一般的なマーケティングコミュニケーションでは、消費者は商品・サービスよりも、それを利用する登場人物に注目する傾向があることを踏まえると、パースでもまちの人々の描写は重要であると想定されます。

- 本研究では、都市公園の再開発パースとして、ベビーカーのない画像(統制群、図1)とベビーカーのある画像(処置群、図2)を用意し、参加者をランダムに割り当てて、いずれか片方を提示しました。その後、このまちの魅力を評価してもらいました。その結果、統制群では64.4%がまちに魅力を感じたのに対し、処置群では74.1%が魅力を感じ、約10ポイントの有意差がありました。

- ベビーカーの効果は、性別や年齢を問わず確認されました。女性では11ポイント(68.2%→79.2%)、男性では7.9ポイント(61.0%→68.9%)の向上が見られました。年齢別では、20~44歳で10.7ポイント、45~69歳で8.4ポイントの向上が確認されています。また、公園への態度的関与が低い層では13.0ポイント(37.7%→50.7%)、公園の利用頻度が低い層では14.0ポイント(61.0%→75.0%)と、効果がより大きくなりました。つまり、ベビーカーは従来公園に関心の薄かった層を新たに惹きつける要因として機能しており、都市の潜在的な参加者層の拡大に寄与することが示されました。

- 本研究は、都市ブランディングの知見をマーケティングコミュニケーションの領域に拡張し、パースにおけるベビーカーの価値に関する貴重なエビデンスを提供しています。子どもや子育て家族の存在がまちの活気を象徴し、心理的な参入障壁を下げるという知見は、今後の都市開発やまちづくりの実務に直接応用できるものです。ベビーカーが入りやすい場づくりをすることで、多様な人々にとってその都市の魅力が高まることが期待できます。


図1. ベビーカーなしのまちの描写


図2. ベビーカーありのまちの描写


図3. ランダム化比較試験の結果


表1. 属性別の魅力を感じた人の割合の比較



今後の取り組み
NECは今後も、データと科学的検証を通じて、環境と生活者の双方にとって価値ある製品・空間づくりに取り組んでいきます。社会課題の解決と経済性の両立を見据え、企業・地域・研究機関との共創を通じて、生活者に届く表現や意思決定につながる具体的な示唆の導出に挑戦していきます。



この記事に関連するページ
加藤拓巳准教授Webサイト:https://takumi-kato.com/
NEC GX(グリーントランスフォーメーション):https://jpn.nec.com/energy/gx-solution/index.html

本件のお問い合せ
NEC GX事業開発統括部
E-Mail:gx-pj@ptg.jp.nec.com

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