神戸市北区で2010年に殺害された男子高校生・堤将太さん(当時16歳)の遺族が、加害者の元少年(33)とその両親に損害賠償を求めた裁判。

神戸地方裁判所は19日、元少年の両親に対し、遺族側が訴えていた元少年の両親の監督責任や「犯人であると知っていながら転居させて発覚を遅らせた責任」などについて認めず、賠償を命じなかった。

判決で神戸地裁は「元少年の関与を疑いながら、元少年の言うことを鵜呑みにして2日後に転居したのは客観的にみると、逃亡に寄与したといえる」と指摘。

しかし「両親は元少年の犯行を疑いつつも確定的に認識していたとまでは言えない」などとして「発覚を遅らせた」責任を認めなかった。

また両親の監督責任については「元少年が暴力的な傾向を見せていたのは、高校時代の元交際相手や関連する人物に限られていたほか、精神科を受診させ、対処をしていた」などとして認めなかったた。

一方で元少年については刑事裁判を通じて認められていたおよそ9300万円の賠償を改めて命じ、さらに将太さんの姉と兄の3人にそれぞれ110万円、あわせておよそ9600万円の賠償を命じた。

19日の法廷
19日の法廷
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裁判で将太さんの父・敏さんは「民事裁判、確かになにがしかの損害賠償請求してます。ただお金じゃないんです。息子を返してください。私たちの15年前の生活、返してください。それで私、何にも言いません」と訴えていた。

そして判決が言い渡された後、敏さんは次のように訴えた。

堤将太さんの父・敏さん:元少年や両親たちは、取り返しのつかないことをやらかしてしまったという意識が無いように思う。それを分からせるためにというとおかしいですけど『責任はどうであれ、ありますよ』という判決が欲しい。

堤将太さんの父・敏さん:どんな判決がでても痛みは変わらない。息子が返ってくるわけではない。事件から16年、今後も続いていくんだから。

閉廷後の記者会見で語る堤将太さんの父・敏さん
閉廷後の記者会見で語る堤将太さんの父・敏さん

■堤将太さんナイフで何度も刺され殺害 遺族が加害者の元少年(33)と両親に賠償求める

2010年、神戸市北区の路上で高校2年生だった堤将太さんは、ナイフで何度も刺されて殺害された。

事件からおよそ11年後に逮捕されたのは、当時17歳だった元少年(33)で、刑事裁判を経て懲役18年が確定し、服役している。

元少年には刑事裁判を経て、およそ9300万円の賠償が命じられたが、不服を申し立てたため、堤さんの遺族は元少年とその両親に、あわせておよそ1億5000万円の損害賠償を求める民事裁判を起こしていた。

事件現場
事件現場

■将太さんの父・敏さん「お金を求めているわけじゃない。『その責任をちゃんと果たしなさい』と」

提訴したとき、将太さんの父・堤敏さんは関西テレビの取材に対し、次のように述べていた。

堤将太さんの父・敏さん:お金を求めているわけじゃない。『その責任をちゃんと果たしなさい』と言いたいんです。

そしてその思いは、法廷でも語られた。

堤将太さんの父・敏さん:お金じゃないんです。息子を返してください。私たちの15年前の生活、返してください。それで私、何にも言いません。

堤将太さんの父・敏さん
堤将太さんの父・敏さん

■民事裁判での元少年や両親の主張は

堤さんの遺族は民事裁判で

・元少年に対し改めて事件の責任
・両親に対し、元交際相手などへの粗暴な行動があった元少年の監督を怠って事件が起きた責任
・事件2日後、千葉県に転居させ犯人であると知りながら、発覚を遅らせた責任

などを問うた。

元少年側は賠償の金額について争う姿勢を示し、両親は監督責任については十分に果たしていたと主張。

神戸地裁
神戸地裁

”犯人と知りながら逃亡させ、発覚を遅らせた責任”については、裁判の尋問で元少年が兄を通じて「自分が犯人かもしれない」と両親に伝えた記憶があると説明。

両親はそれぞれ次のように話した。

元少年の母:人を刺したかもしれない。混乱して分からないって自分で言いました。事件を目撃して混乱しているのではないかと思いました。

被告側代理人:もしかしたら犯人かもしれないと聞いた記憶はないですか?

元少年の父:元少年の兄からその内容を話したと教えてもらいました。妄想と現実の区別がついていないと思いました。

そして返り血がなかったことなどから、犯人とは思わず、転居は元少年が神戸での生活に孤独感を感じていたからだと説明していた。

関西テレビ
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