原油価格の急激な高騰が、私たちの身近な生活サービスにも深刻な影響を及ぼしている。石油製品や重油を多用するクリーニング業界では、燃料費の大幅な上昇に頭を抱える事業者が相次いでいる。

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富山県砺波市にある創業90年余りの老舗クリーニング店「アサヒヤクリーニング」でも、その影響は顕著に現れている。同店では月に一度、燃料となる重油およそ1200リットルを補充しているが、江尻政敏社長は深刻な表情を見せる。

「先月の価格が100円(1リットル当たり)切るぐらい」だった重油価格について、江尻社長は「多分倍近くになるんじゃないかなと。上がってほしくないというのが正直なところ」と胸の内を明かした。

クリーニング店にとって石油由来の製品は欠かせない。アイロンや乾燥機、ドライクリーニング用の溶剤はもちろん、包装資材やハンガーに至るまで、店舗運営の隅々まで石油製品が浸透している。急激な原油高により、これらすべてのコストが跳ね上がる事態となっている。

「全部右肩上がり。4月以降どうなるか全く見えないので、そこが心配なところ」と江尻社長は不安を隠さない。

この難局を乗り切るため、同店では知恵を絞った経営改善に取り組んでいる。溶剤の廃液を半値で仕入れ、自社で汚れを分離し再利用する仕組みを導入。さらに、衣類の仕分けを工夫して汚れ具合に応じて温度を調整し、燃焼率を抑制するなどコスト削減に努めている。

「油で乾燥機でやると1時間ぐらい回さなきゃいけない。そこにすごくお金がかかるので、半日干してその後に乾燥機かけたり工夫」と江尻社長は具体的な取り組みを説明する。

しかし、コロナ禍によるリモートワークの浸透や服装のカジュアル化により、クリーニング業界では客離れが進行している。そんな中での値上げ検討は、さらなる顧客減少のリスクを孕んでいる。

「値上げすると月一回来てた人が延びたり安い所に持っていったり、みなさん考えて生活されてるのでうちも対応したい」と江尻社長は顧客への配慮を示しながらも、厳しい経営環境への対応に苦慮している様子だった。

(富山テレビ放送)

富山テレビ
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