末期がんで夫を亡くした女性が闘病生活や息を引き取る最期の瞬間までをもカメラで記録し続け、「看取り」をテーマにドキュメンタリー映画を制作しました。
この映画が15日、長崎市で上映されるのを前に、作品への思いを聞きました。
映画「いきたひ」。
がんに侵された男性が47歳で亡くなるまでを追ったドキュメンタリー映画で、自宅で最期を迎え、見送るまでの家族の日々を描いています。
制作したのは埼玉県に住む妻の長谷川ひろ子さんです。
長谷川さんは病と闘う夫・秀夫さんの姿を2009年に撮り始めましたが、当初は映画制作のためではありませんでした。
映画「いきたひ」長谷川 ひろ子監督
「(夫は)薬学博士で末期がんの方を生還に導いてきた人だったので、本人が(余命)半年といわれたときに自らが生還していくストーリーを自らが示してくれると信じていたので、生還記録映像を撮ろうと」
カメラを向けてからわずか3カ月後、秀夫さんは妻と4人の子どもを残し、息を引き取りました。
しばらく映像を見返すことはできなかったといいます。
しかし、夫の死から約3年半後、あることをきっかけに映画制作に向けて動き出すことになりました。
映画「いきたひ」長谷川ひろ子
「もともと看取り士を知っていて、息絶えていく人を看取ることが仕事になっていることを主人が亡くなった後に知り、看取りびとにスポットが当たったらいいなと」
「看取りについて体験したことを伝えたいと思ったときに手元に映像があった」
脚本やナレーション、音楽などほとんど全てを自ら手がけ、約3年かけて完成させました。
2015年に公開してから日本だけではなく韓国やアメリカなど海外を含め上映回数は700回を越えました。
夫の看取りや映画制作を通して「死」と向き合う中で、長谷川さんは死ぬことは決して悲しいことばかりではないと感じています。
映画「いきたひ」長谷川ひろ子監督
「死は究極のご褒美、肉体からの解放、卒業」
「大事な人であればあるほど悲しみや喪失感が強いけど、映画を見ることで寿命だったんだなと」
「身内に余命宣告をされている人は遅かれ早かれその瞬間が来るので、映画を見ておいてもらえたら何かしらの答えを持ち帰ることができるのではないかと思います」
ドキュメンタリー映画「いきたひ」は、15日長崎県美術館で上映され、長谷川監督の講演会も予定されています。