中学3年間で得た成長と悔しさ

 バレーボールの全国中学生選抜主将としてイタリア遠征に参加した札幌大谷中3年の小西出隼翔(こにしで・はやと)さんが、中学3年間の成長と課題、そして4月から始まる高校バレーへの思いを語った。海外の強豪と対戦する中で、技術面だけでなく戦術や対応力の差も実感したという。

 小西出は中学時代を振り返り、早い段階から全国の舞台を経験できたことが大きかったと話した。「1年生から出させてもらって、全中も経験して、何が通用するのかが少しずつわかってきました。足りないところを1年生から2年生にかけて伸ばしていけたし、2年時の全国ベスト8も自分の中では一つの成長だったと思います」

 競技面だけでなく、生活面の意識も大きく変わったという。プレーの質は日々の生活と直結していることを学んだ。「どうやって体を使うか、食事や睡眠を含めてどんな生活をしたらいいのかが少しずつわかってきました。この3年間のいい経験も悔しい経験も、すべて自分の成長につながったと思います」

 一方で、悔しさも強く残っている。1年時の全中では手応えを得ながらも敗戦。3年時の全中では自身の体調不良もあり、思うような結果が残せなかった。だからこそ、JOC(ジュニアオリンピックカップ)での全国3位には特別な意味を持った。「3年間ずっと悔しい気持ちが残っていたので、JOCは自分の中でリベンジの大会でした。3位という結果で、先生方や応援してくださった方々に少しでも感謝を伝え、成長を見せられたのかなと思います」

 準決勝では慣れない会場に加えて相手に攻撃パターンを研究され、コースも読まれた。その経験は、次の課題を明確にした。「力で押し切るだけじゃなくて、しっかりコースを狙って打つことが大事だと感じました」

イタリア遠征で実感した世界との差

 2月にイタリアで行われた「ネイションズウインターカップ」では、1学年上の世代を含む各国代表と対戦した。日本はグループ戦ではイングランドに勝利した一方、イタリアとチェコに敗れ、最終的に5位で大会を終えた。

 その大会で特に印象に残ったのが、イタリアの修正力だった。「イタリア戦は入りが良くて流れもつかめていたんですけど、試合の後半になるにつれて相手がこちらのバレーに対応してきました。最後の1点を取り切れなかったけど、自分たちのプレーはできていたし、成長を感じた試合でもありました」

 勝負どころの差として感じたのは、サーブの質だったという。「イタリアは6人全員がジャンプサーブを打ってきました。日本はフローターサーブが多いですが、相手は全員がジャンプサーブで攻めてくる。試合が進むほどサーブのプレッシャーが強くなって、自分たちの流れが作れなくなりました」

 さらに、会場環境の違いも難しさの一つだった。イタリアの会場は天井が低く、日本での感覚のまま高くボールを上げるとプレーに制限が出たという。「日本の体育館の感覚で上げると、すぐ天井に当たりそうになるんです。そこを考えながらレセプションしないといけないのも難しかったです」

 大会を通じて「最も強かった」と感じたのは優勝したチェコだった。「セッターは小柄なんですけど、ジャンプ力があってサーブも速かったです。セッターもうまくて、ミドルも高くて、すごく速いバレーをしてきました」

 特に苦しめられたのが、Bクイックを軸にした速攻だった。「自分たちのサーブが弱いと、すぐBクイックを使われてしまう。そこに引っ張られると、ライトに振られたときにブロックが1枚になってしまって、止めるのが難しかったです」

 日本も各セットで中盤までは食らいついたが、次第にサーブで崩された。「チェコ戦はなかなか対応できませんでした。サーブが速くて、レシーバーの間に落とされたり、天井に当たったりして、レセプションがだんだん崩れていきました」

3月の大会に向け、高校生の中で練習
3月の大会に向け、高校生の中で練習
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 一方で、小西出は日本のサーブが通用しなかったわけではないと振り返る。フローターサーブでも十分に戦える感触があったと話す。「相手は力があるので、簡単にAキャッチさせないことを意識していました。アンダーで取らせることで、クイックを使いにくくする狙いがありました」サーブのコースを工夫し、相手セッターに後ろからトスを上げさせる形を作らせることで、速攻を制限しようとしていたという。「フローターでも狙うコースによっては通用していました」

 攻撃面でも世界レベルの中で学びがあった。全国中学生選抜では、Bクイックを軸に時間差も交えて組み立てるなど、戦術面でも多くの収穫があった。「オフェンスは考えながらできて、うまくいった部分も多かったです。ただ、ハイセットになったときはコースをしっかり打ち抜かないといけない。相手のブロックを見ながら、体重を乗せて打つことを意識していました」

 個人としても試合を重ねるごとに変化を感じたという。「最初は抜けないコースが多かったんですけど、ブロックアウトを狙いながら、だんだんインナーに打てるようになってきました。試合ごとに成長できた感覚はありました」

 5~8位決定リーグではエジプト、ドイツにフルセットで勝利。優勝の可能性はなくなっていたが、最後までチームとして戦い切った。「最後の方は、日本のバレーがかなり形になってきたと思います」

北海道中学校バレーボール大会・決勝戦(2025年8月)
北海道中学校バレーボール大会・決勝戦(2025年8月)

高校バレーで目指す舞台

 4月からは札幌大谷高に進学し、新たなステージに立つ。小西出にとって高校バレーは、中学とは異なる熱量を持つ舞台だ。「各地区の代表選手たちがぶつかり合って、1点に強い思いをかけて戦うのが高校バレーだと思います。中学とはまた違う雰囲気があると感じています」

 春高バレーの北海道代表決定戦を見てきた経験も、憧れにつながっている。「見ている側も緊張するくらいの雰囲気があって、その中でプライドを持って戦っているのがすごいなと思いました。自分もあの舞台に立ってみたいです」

 目標は明確だ。北海道を勝ち抜き、春高のオレンジコートで戦うこと。全国大会で上位進出を果たし、センターコートに立つことだ。「多くの人に見られるコートでプレーするのは高校での夢です。簡単に立てる場所ではないので、そこを目指したい。北海道で勝って、全国に行って暴れたい」

 高校ではフィジカル、スピード、ブロック、サーブと、あらゆるレベルが一段上がる。その中で小西出は、基礎を大切にしながら成長していく考えだ。「体つきも変わってくるし、力もスピードも中学とは違うと思います。中学でできたことを高校でも丁寧に続けながら、筋力もジャンプ力も上げていきたいです」

 すでに高校の練習にも参加しており、その後はU17代表合宿も控える。高校と日本代表という二つの舞台で、新たな挑戦が始まる。

春高バレー北海道代表決定戦・準決勝 札幌大谷-札幌藻岩(2025年11月)
春高バレー北海道代表決定戦・準決勝 札幌大谷-札幌藻岩(2025年11月)

支えてくれた人への感謝

 中学3年間で感謝を伝えたい相手として、小西出は監督の平本和久先生と両親の名前を挙げた。「平本先生には、代表合宿などで学校を空けることも多い中でも送り出していただいて感謝しています。ずっと応援してもらっているので、結果で応えたいと思っています」

 家族への思いも強い。「親が遠征費や移動費も含めてずっと支えてくれました。その支えがあって3年間やってこられたので、感謝しています」

 平本先生も、小西出の成長をこう語る。「この3年間で、選手としてだけでなく人としても大きく成長したと感じています。謙虚さや誠実さを持って努力を続けられる選手です。その土台を活かして、高校でも日本代表でも、さらに活躍してくれることを期待しています」

 この3年間で得た成功も悔しさも、イタリアで見た世界との差も、すべては次の挑戦につながっている。U17日本代表として世界を見据えながら、今度は高校バレーの舞台で新たな一歩を踏み出す。

札幌大谷中・平本和久監督
札幌大谷中・平本和久監督
北海道文化放送
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