青山氏解説 高市総理「正念場」の日米首脳会談 イラン核兵器保有意欲強化で泥沼化する中東情勢

ホルムズ海峡への機雷設置が報じられる中、日本のガソリン価格は最悪の場合、現在の倍以上となる1リットルあたり328円にまで跳ね上がる可能性があるという野村総合研究所の木内登英氏による試算が、日本経済に迫る危機を浮き彫りにしています。

関西テレビ「旬感LIVE とれたてっ!」では政治ジャーナリストの青山和弘氏が、イラン情勢が日本に与える深刻な影響について詳しく解説しました。


■日本の生命線・ホルムズ海峡に機雷設置か

イランがホルムズ海峡に“機雷”を設置したことで、日本のエネルギー安全保障は深刻な脅威にさらされています。

日本が輸入する原油の8割が、ホルムズ海峡を経由しており、この航路が遮断されればガソリン価格の高騰は避けられない状況です。

機雷とは水中に設置され、艦船が接近・接触すると爆発する兵器です。イランが保有する機雷の数は、およそ2000~6000個と推定されています。

トランプ大統領は、イランが機雷を撤去しない場合には「見たことのないレベルの軍事的措置に直面する」と警告。これを受けてアメリカ中央軍は、イランの機雷敷設艦16隻を破壊したと発表しました。

青山氏は機雷の脅威について、「数千個ではなく、いくつか敷設しただけでも、石油タンカーは怖くて通れない」と指摘します。

たとえ実際の設置数が少なくても、心理的効果だけでガソリン価格に一気に跳ね返ってくる可能性があるのです。

■最悪の場合、ガソリン価格は倍増

野村総合研究所エグゼクティブエコノミスト・木内登英氏による試算では、現在1リットルあたり161.8円のレギュラーガソリンが、ホルムズ海峡が完全封鎖された最悪の場合には328円と、倍以上になる可能性が示されています。

これは原油価格が1バレルあたり140ドルまで上昇するシナリオに基づいています。

原油輸送が長期化した場合でも、原油価格は87ドル、ガソリン価格は204円まで上昇すると予測されており、いずれのシナリオでも日本経済への深刻な打撃は避けられません。

日本は250日分の石油備蓄があるとしていますが、青山氏は「紛争が続けば、値段が上がってくれば、一気に300円まで上がることはないにしても、価格上昇は避けられない」との見方を示しました。

政府は16日に石油備蓄の放出を表明し、民間備蓄15日分と国家備蓄1カ月分を放出する予定です。

さらに19日からは補助金制度を再開し、小売価格を1リットルあたり170円程度に抑える方針を示しています。

しかし青山氏は、暫定税率で25円分下がったばかりであるにもかかわらず、「それを上回る価格上昇が起きつつある」と述べ、3月までの基金では最悪のケースに対応できない可能性を指摘しました。

■農業・医療現場にも波及する影響

ガソリン価格の高騰だけでなく、農業や医療の現場にも深刻な影響が及んでいます。

ある量販店では作物の生育に必要な窒素肥料が売り切れたということです。窒素肥料は天然ガスが原料となっているため、ホルムズ海峡の封鎖が長引けば、品薄状態が続く可能性があります。

医療現場でも同様の懸念が広がっています。点滴バッグなど石油製品から作られるものがなくなれば、手術ができなくなる可能性があるといいます。

■「世界一の技術」を持つ日本の掃海能力

今後アメリカ側から自衛隊に「機雷除去の協力要請」がある可能性がありますが、青山氏は日本の掃海技術が世界一と評価されていることを明らかにしました。

かつて太平洋戦争時に瀬戸内海などでアメリカ軍によって敷設された機雷を一つ一つ除去した経験が、日本の高い技術力につながっていると指摘。

掃海艇に取材で乗った経験から「非常に難しい技術。触れると自分たちもやられる」と、その危険性と技術的困難さを説明しました。

■憲法9条と国際法違反の壁

しかし、日本がペルシャ湾で掃海作業に参加することには高いハードルがあります。

「過去の掃海作業は紛争終結後に行われたものであり、現在のような紛争中の参加とは状況が全く異なる」と指摘。

「イラン側からみれば敵側に回ったということになり、攻撃を受ける可能性」を指摘します。

青山氏は「憲法9条」と「国際法」が壁になると解説します。

「憲法9条を持つ日本は戦争に加担することはできない。しかもこの戦争は、国際法違反だと指摘される中で、参加のハードルはますます高くなっている」と述べました。

仮に自衛隊を派遣する場合、「存立危機事態」に認定すれば、集団的自衛権の発動による掃海活動も可能になりますが、「戦争中に掃海作業を行うことは自衛隊の武力行使に当たる。また現在の状況が日本の存立が脅かされる明白な危険がある事態とまでは言いにくいため、非常にハードルが高い」と述べ、実現の困難さを改めて指摘しました。

■イランの強気姿勢と長期化の懸念

現在の状況をさらに複雑にしているのは、イラン側の強気な姿勢です。

「トランプ大統領はアメリカの石油の価格が上がり、自身の支持率に跳ね返ってきているので、『早くやめたい』と言っている。そんなトランプ大統領の足元を見たイラン側が、「停戦条件をよくするために『紛争終結を決めるのはイランだ』と原油を人質にとって強気の姿勢に出てきてる」と青山氏は指摘しました。


イラン側の戦略に立てば、長期化させて原油価格を上昇させたほうが有利ということになります。

その上で青山氏はトランプ大統領が『原油価格は上がらない』と言ったり『もう勝ったんだ』と主張しながらも、「戦闘をやめられないというジレンマに陥っている」と分析。現状は「アメリカがイランに足元を見られている状況」だと解説しました。

■核兵器保有への意欲ますます強める イラン

さらに深刻な問題が浮上しています。

青山氏はワシントンの関係者に取材したところ「イランは『核兵器を持ちたい』という意欲を強くしている」とアメリカ側が分析していることを明らかにしました。

トランプ大統領がイランに対して軍事行動を起こしたことが、感情的な反発につながっている形ですが、「これを完全に止めるには、地上部隊を突入させて、濃縮ウランをアメリカが確保しなくてはならない。そうすると戦闘は長期化して泥沼化する」と、出口の見えない状況を説明しました。

その上でイランの新指導者が殺害されたハメネイ師の息子となったことで「そう簡単には折れてこない」と指摘。「こういう状況が今、世界中を震撼させている」と述べ、事態の深刻さを強調しました。

(関西テレビ「旬感LIVE とれたてっ!」2026年3月12日放送)

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