医療ミスで、患者に重い後遺症を負わせた罪に問われた、赤穂市民病院の医師だった松井宏樹被告(47)の裁判。裁判所は執行猶予付きの有罪判決を言い渡しました。

【被害者の女性(去年11月)】「ああいう人(松井被告)を野放しにするのは、断固反対ですね。私みたいな被害者が出るかもわからないから」

車椅子に乗り、悲痛な思いを訴える女性。

怒りの相手は、業務上過失致傷の罪に問われている、主治医だった松井被告です。

裁判所はきょう(12日)、禁錮1年執行猶予3年の判決を言い渡しました。

■松井被告「神経の一部を誤って切断。両脚まひなど後遺症負わせた罪」問われる

発端は6年前。赤穂市民病院の医師だった松井被告は2020年1月、当時74歳だった患者の女性の腰の骨の一部をドリルで削る手術を執刀。

その際、適切な止血をせず視野が不十分なまま行ったことで、神経の一部を誤って切断しました。

その結果、女性に治る見込みのない両脚のまひなどの後遺症を負わせた罪に問われています。

女性はまひだけでなく強い痛みや、尿意や便意が感じられなくなる障害に今も苦しんでいます。

【患者女性の家族】「『この痛みを治してくれ。足を動くようにしてくれ。そうじゃなければ死ぬ』というようなことを言っていました」

■松井被告がかかわった医療過誤・事故を題材にした漫画「脳外科医竹田くん」

さらに病院の調査や民事裁判の判決によると、この手術のほかにも松井被告がかかわった10件の手術で、患者の死亡や後遺症が確認されています。

女性の親族は、松井被告の問題を世間に知らせるため「脳外科医竹田くん」という漫画をインターネット上で連載してきました。


■松井被告は起訴内容認めるも「上司の医師にも責任」主張

手術から6年の月日を経て始まった先月の初公判で、証言台に立った松井被告は、起訴内容を認めました。

しかし、その後の被告人質問では「私に責任はあるがひとりの責任にされるのは納得がいかない」と主張。

ミスの原因は上司の医師によく削れるドリルに変えさせられたことと、出血の吸引などが不十分で視野が悪くなったからと説明。

しかし、その後、検察側の質問に対しては「吸引が不十分だったのは直接的には関係ない」と述べました。

■被害者の女性 松井被告に「監獄に行ってほしい」法廷で流される

また法廷では、被害者の女性が手術後の苦しみを訴える動画が流されました。

【被害女性吹き替え】「脚が痛いんですよ。夜中、寝られないんですよ。悔しいなあ。ホンマに悔しいわ。(被告には)監獄に行ってほしい」

先月18日に審理は終了。検察側は松井被告に禁錮1年6カ月を求刑していました。

■判決「止血が不十分でどの部分を削っているのかわからないまま削り続けたこと」原因と指摘

迎えた判決で神戸地裁姫路支部は、手術ミスの原因は、止血措置が不十分でどの部分を削っているのか把握困難だったまま松井被告が骨を削り続けたことにあると指摘。

上司の指示でドリルを変えたことが原因とする松井被告の主張を認めませんでした。

その一方で、「経験の乏しい被告人をバックアップすべきチームが機能していなかった面があるのも否めない」と病院側の責任にも言及し、禁錮1年、執行猶予3年の判決を言い渡しました。

判決後、女性の家族は次のようなコメントを寄せました。

【被害者家族のコメント】「母の身体の自由や失われた時間が戻ることは二度とありません。患者の生命を軽視するような方は、医療に携わるべきではないと考えております」

赤穂市長と赤穂市民病院は、「判決を厳粛に受け止め信頼回復に努める」とコメントしています。

■菊地弁護士 松井被告の行政処分は「医業停止2年」の可能性指摘

松井被告には今後、行政処分が下る可能性があります。「戒告」「業務停止3年以内」、そして「免許取り消し」です。

今回のケースは、どういう判断になる可能性があるのでしょうか。菊地幸夫弁護士は「業務停止の可能性が高い」と指摘しました。

【菊地幸夫弁護士】「『免許取消』は、なかなかレアケースなんですね。ハードルがかなり高いと思います。ですから2番目の『医業停止業務』。

法令上は『最大で3年以内』なので、例えば『2年停止』などの可能性があります。『取り消し』まではなかなか難しいというのが、今までの相場です」

(Q.病院の管理体制が問われることになる?)
【菊地幸夫弁護士】「今回の判決が指摘していますが、患者さんに当たるチームとして、あるいは病院の組織として、今回のことは防ぐことが可能だったのではないか。

被告人に安易にメスを握らしてはいけなかったのではないか、ということは、問われるべきだと思います」

(関西テレビ「newsランナー」2026年3月12日放送)

関西テレビ
関西テレビ

滋賀・京都・大阪・兵庫・奈良・和歌山・徳島の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。