手術ミスで患者の女性に両脚のマヒなど重い後遺症を負わせた罪に問われた兵庫県赤穂市の市民病院の医師だった松井宏樹被告(47)に対し、神戸地裁姫路支部はきょう(12日)、禁固1年・執行猶予3年の有罪判決を言い渡しました。
■「適切な止血をせず…ドリルで削り神経の一部を誤って切断」両脚まひなどの後遺症負わせた罪問われる
赤穂市民病院の医師だった松井被告は2020年1月、81歳の患者の女性の腰の骨の一部をドリルで削る手術をしました。
その際、適切な止血をせず視野が不十分なまま腰の骨をドリルで削り、神経の一部を誤って切断。
女性に全治不能の両脚のまひなど後遺症を負わせた罪に問われています。
■被害者の女性「痛みを治してくれ。足を動くようにしてくれ。そうじゃなければ死ぬ」
手術を受ける前には自分の足で歩いていた患者の女性は、両脚のまひのほか、尿意や便意が感じられなくなる障害に今も苦しんでいます。
【女性患者の家族】「『死にたい』って。もう『この痛みを治してくれ。足を動くようにしてくれ。そうじゃなければ死ぬ』っていうふうなことを言っていました。
手術後に急に足が自由に動かなくなったりとか、普通手術って終わったら手術前よりも良くなってるようなものなのになんでこんなあの足が動かないんだとかそういうことに対して憤りとかも感じていた」
■「上司に急かされよく削れるドリルに変えた」など上司の責任主張も…
これまでの裁判で松井被告は起訴内容について「基本的には認めます」と述べました。
一方、裁判では「助手をしていた上司の医師にも責任がある」と主張。
被告人質問では神経切断に至った原因について、上司が出血などを流すためにかけた水が多く、吸引も不十分で、視野が悪くなったと説明しました。
しかし、その後行われた検察側の質問では上司による吸引などの作業は神経切断とは別問題だと説明を一転。
【松井被告】「削ろうとしているところが見えればいい。(手術箇所は)血液がたまって見えにくかったかというと、違います」
【検察側】「水をかけることと吸引が不十分だったことはミスと関係ない?」
【松井被告】「直接原因とは別問題と考えてもらっていいかもしれない」
一方、神経に近い部分を削る際に、「日が暮れる」と上司に急かされ、よく削れるドリルに変えたことがミスにつながったと主張しました。
■被害者の長女「母に手術を勧めてしまったこと一生後悔の念が消えることはない」
審理の最終日には、被害者の女性の長女が家族の苦しみを訴えました。
【被害者の長女の意見陳述より】「母に手術を勧めてしまったことは、悔やんでも悔やみきれず、一生後悔の念が消えることはないと思います。
手術動画には、血の海の中に、何処を削っているのかもわからない状態でドリルが突っ込まれている様子が映っていました。素人目に見ても、あれでは神経切断事故が起きて当たり前だと思います」
また松井被告がSNSの「X」に投稿したことについても訴えました。
女性の親族は、この手術ミスやほかに松井被告が関わった医療事故を題材に「脳外科医竹田くん」という漫画をインターネット上で連載し、問題を訴えていました。
【被害者の長女の意見陳述より】「『脳外科医竹田くんがバズって私が起訴された』と投稿し、まるで被害者家族が描いた漫画が原因で起訴されたという主張をし、被告人が自分の責任と向き合わず、被害者家族のせいで社会的制裁を受けているという構図を作ろうとしているとしか思えません」
この漫画を巡って、松井被告は被害者の長女や漫画を描いた家族を名誉毀損の疑いで刑事告訴していましたが、関係者によると不起訴処分となっています。